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日本の近代化

2022年11月01日

群馬県にある富岡製糸場が今年10月4日で開業から150周年を迎えたと聞き、東京出張の帰りに立ち寄ってみました。富岡製糸場は、明治5年(1872年)に明治政府が設立した日本初の官営の製糸工場で、2014年に世界遺産に登録されてからは来場者数が年100万人を超えることもあるそうです。

当時の日本の外貨獲得のために重要な輸出品であった生糸の品質向上と増産のために器械製糸技術を普及させる目的でフランス人技術者を招いて設立され、そこには渋沢栄一も深く関わっていたそうです。そして富岡製糸場は、後に日本の製糸技術を世界一の水準に引き上げる原動力となりました。その建物の構造は西欧の建築方法によるものですが、屋根は日本瓦で葺くなど、日本と西洋の技術を見事に融合させたものになっていて、主要な施設が創業当時のまま、ほぼ完全に残されていました。

展示物の中で一番興味深かったのは、当時の女性工員(女工)の労働条件に関するものです。富岡製糸場は、明治日本の威信をかけた官営の模範工場で、生産技術だけでなく、労働環境もフランス式に整備されており、1日8時間労働や夏冬の長期休暇など、明治期の労働環境としては、世界でもまれなほど恵まれていたようです。展示資料によると設立当初に働いていた女工は約400人いて、勤務時間は年平均1日7時間45分、休日は日曜日(七曜日制が導入)のほか、暑休(夏休み)や年末年始の休暇もあったようです。給料は能率給による月給制で、習熟によって昇給がなされていました。そして福利厚生面では、女工には宿舎が用意され、食事も支給されていて、入浴も毎日できたそうです。また場内の診療所では、診察料および薬代は工場の負担で診療が受けられました。在勤期間についても、1年以上3年まで女工の希望によることとされていたそうです。しかし、1872年2月に始まった工女の募集ですが、「フランス人が工女の生き血を採って飲む」という噂が流れて思うように進まなかったそうです。

その後、明治26年(1893年)に民間に払い下げられて以降は、生糸の量産化に貢献し近隣農家の養蚕技術の改良にも主導的役割を果たすことになります。その一方で、利益を追求するあまり、民営化以降は、工女たちの就業時間は徐々に長くなり、1日10~12時間に及び、休日も月2日となるなど労働環境はだんだんと悪化したそうです。富岡製糸場で訓練された女工たちは、その後、地元の工場に戻り中心となって活躍しますが、その地元の工場の労働環境はかなり劣悪だったようです。当時の製糸工場の労働時間は、14時間以上で、休日は年末年始と旧盆に数日しかなく、工場内では、熱湯を使用するため工場内の湿度は上がり、水蒸気が天井で冷やされ、大粒の水滴が雨のように落ちてくる中で、女工はずぶ濡れになって働いていており、結核で命を落とす女工も多くいたそうです。

そうした労働環境が、現在の労働基準法の前身となる「工場法」の制定につながります。明治の前期から政府は日本国内における職工や工場に関する状況の調査を開始します。この調査をもとに法案の作成が進められますが、業界の反発や日清、日露戦争の勃発によって難航しました。日露戦争終結後の1909年(明治42年)に政府は議会に工場法案を提出することになりますが、繊維産業や中小企業を中心とした反対が強く法案は撤回となりますが、その後の努力により1916年(大正5年)9月1日についに施行されました。そして工場法施行に伴い警視庁と大阪など8道府県の警察部に工場監督官が設置されます。労働基準監督署の前身なのでしょうね。しかし工場法は、10人未満の小規模工場には適用されなかったため多くの工場が適用除外となり、労働者保護には不十分だったそうです。そして戦後になり工場法は戦前の労働者法規を集大成した労働基準法に形を変えていくことになるわけです。

今年10月14日には、明治時代の1872年に日本初の鉄道が新橋-横浜間で開業して150周年を迎えています。開業当時の列車は時速30キロ程度だったそうですが、徒歩で一日がかりだった新橋-横浜間は約1時間に短縮されたそうです。今の世界は150年前と同じく第四次産業革命の時代だと言われています。AIとロボットが生産性を向上させて、社会が大きく変化し、私たちの生活も大きく変わろうとしています。乗り遅れないようにしなければならないですね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

厚生労働省は令和5年度、時間外労働の上限規制の適用が猶予されている業種などにおける長時間労働の解消を後押しするため、働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)を新設する考えです。

適用猶予分野(建設事業、自動車運転の業務、医師、砂糖製造業〔鹿児島県・沖縄県〕)の中小企業が対象で、労働時間短縮に必要な経費の4分の3を支給します。具体的には、①就業規則の作成・変更費用、②労務管理担当者や労働者への研修費用、③専門家によるコンサルティング費用、④労務管理用機器の導入・更新費用、⑤労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新費用、⑥人材確保に関する費用となっています。労働能率増進設備としては、運送業における洗車機や、建設事業での土木工事積算システムなどが想定されます。

支給上限額は、分野ごとに定める成果目標の達成状況に応じて設定。自動車運転業務では、36協定見直しによる時間外労働の削減と勤務間インターバル制度導入で最大400万円を支給します。

建設事業では、協定見直しと週休2日制の導入で計350万円まで支給。休日については、4週4休から4週8休まで、休日が1日増加するごとに25万円、最大で100万円を支援する方針です。

◆ニュース

荷主へ周知徹底を 改正改善基準告示で報告

労働政策審議会の自動車運転者労働時間等専門委員会は、自動車運転者の改善基準告示の見直しに関する報告書を取りまとめました。

バスとタクシー・ハイヤーに関する見直し案を示した今年3月の中間報告の内容に、同委員会の作業部会が9月にまとめたトラックの見直し案を追加したもので、いずれの業態も拘束時間の削減と休息期間の拡大を図る内容となっています。全業態で継続8時間としていた休息期間を「継続11時間を基本とし、9時間を下限」に見直すとしました。拘束時間は、トラックが現行の1年3516時間から原則3300時間に短縮、バスが3380時間(年換算)から原則3300時間に短縮となります。

改正告示の履行確保を図るため、荷主や貸切バス利用者など発注者側にも周知すべきとしました。とくにトラックについては、長時間の荷待ちを発生させないよう荷主に対して労働基準監督署による「要請」を実施することが適当と指摘しています。

デジタル払い 来年4月スタートへ 口座残高上限100万円に

厚生労働省は、賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする労働基準法施行規則の改正省令案を明らかにしました。

キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進むなか、労基則を改正し、一定の要件を満たす資金移動業者の口座への賃金支払いも行えるようにします。

改正によって賃金の支払い先として追加されるのは、資金決済法上の「第2種資金移動業」を営む移動業者のうち、厚生労働大臣の指定を受けた移動業者の口座。労働者の同意を得た場合に、本人が指定する口座へ支払うことができます。

指定要件には、口座残高上限額を100万円以下とすることや、ATMを利用して1円単位で通貨を受け取れることなどを盛り込みます。企業には、賃金支払い方法の選択肢として、銀行口座や証券総合口座への振込みなども労働者に示すよう義務付けます。公布は今年11月、施行は来年4月1日の予定となっています。


カテゴリー:所長コラム

産後パパ育休がはじまります

2022年10月07日

先日、テレビを見ているとあるお父さんが笑顔で「今日は家族サービスで久しぶりのお出かけです。」とインタビューを受けていました。なんとなく違和感があったので、ネットで調べてみると…

「家族サービスという言葉を使う人は、普段家族に何もしていないですよね?家族に対して、何かすることが特別なことだと思っているからこそ、そういう言葉を選んで、使っているのでは?」「『休日は家族にサービスする』ふむふむ、何様のつもりでしょうか(笑)」など、『家族サービス』という言葉に嫌悪感を持つ人がたくさんいました。言葉の受け取り方って今の社会を反映しますからね。気を付けたいものです。

令和3年6月に公布された改正育児介護休業法が、今年の4月1日の一部施行に続いて、10月1日にも施行されます。今回の改正法の施行により育児休業制度が大幅に変更となります。

まずは、令和4年4月1日に施行された「個別周知・意向確認措置の義務付け」です。利用できる育児休業等の制度を知らない、理解が出来ていないという理由で、育児休業等の申出をしないことを防ぐための措置です。労働者本人又は配偶者の妊娠、出産についてその労働者から申出があったときは、その労働者に対して育児休業の制度等について知らせる(個別周知)とともに、育児休業等の取得の意向を確認するための面談等の措置(意向確認)を講じることが義務付けられました。個別周知と意向確認は、社内で周知をするだけではなく、「個別に」実施することが必要です。次に、雇用環境整備措置が義務となっています。育児休業を取得しやすい職場環境を整備し、育児休業の申出が円滑に行われるようにするため、育児休業についての研修の実施、育児休業に関する相談体制の整備、雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供、雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知の4つの措置のうちいずれか1つ以上を実施しなければなりません。この措置については、対象となる従業員が社内にいるいないにかかわらず、実施する必要があります。育児期の従業員でなかったとしても、養子をもらうケースがあるからのようです。

最後に10月1日から施行される「産後パパ育休(出生時育児休業)」です。新たに子の出生直後の男性の育児休業取得を促進することを目的とした、出生時育児休業の制度が創設されました。産後パパ育休は、子の出生後8週間の期間内に4週間以内の休業を取得できる制度です。赤ちゃんが生まれてお母さんが産後休業をとっている間にお父さんも休業を取得するということになります。また、この産後パパ育休中においては、労使合意の上で、働くことも可能です。そもそも育児休業中は、これまで一時的・臨時的に働くことしか認められていませんでしたが、産後パパ育休についてはその休業期間中の所定労働日数又は所定労働時間の半分以下の範囲内で就労することが可能となっています。しかし、働き方によっては、休業期間中に受けられる育児休業の給付金が大幅に減額されるケースも生じることになりそうです。厚労省のQ&Aでは、就労を認める対象となる労働者を、1日勤務できる者や特定の職種に限定することも可能としました。

あと、実務で注意する点として社会保険料の免除についての仕組の変更があります。施行日は本年10月1日となっています。育児休業を取得している期間は、社会保険料が事業主・被保険者とも免除されます。その期間は「育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月まで」とされています。そうなると、月の末日に育児休業を取得していればその月の保険料が免除されるため、月の末日の1日だけ休業したとしてもその月の給与・賞与の社会保険料が免除されることになります。しかし、月のほとんどが育児休業だったとしても月の末日を含んでいなければ社会保険料が免除されず不公平が生じていました。10月1日後は、給与の保険料は月の途中で14日以上(同一月内に限る)休業する場合も保険料が免除されることになり、賞与についても休業期間が1か月を超える場合に限り免除されるようになりました。改正前においては保険料の免除を狙ったと思われるような育児休業の取得が見られることもありましたので、納得の法改正だといえるのではないでしょうか。(参照:2022.10ビジネスガイド「特集2」より)

特定社会保険労務士 末正哲朗

実務に役立つQ&A

残業代を含めるか 社会保険適用拡大の8.8万円

Q 令和4年10月以降の社会保険の適用拡大について、週20時間以上働くパートですが、残業代は8.8万円に含まないとの理解で正しいですか。

A 被保険者となることができない者が、健保法3条等に列挙されています。同条9号ハに報酬に関する要件があります。すなわち、厚生労働省令で定めるところにより、法42条1項の規定の例により算定した額が、8.8万円未満としています。ここでいう報酬から、最低賃金法(略)4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除きます。省令は健保則23条の4を指し、ここに「所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金」があります。

一方で、適用除外に該当せず被保険者資格を取得するときについてですが、「適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者の(略)報酬月額の算出方法は、従来からの被保険者資格取得時の報酬月額の算出方法と同一」(令4・3・18事務連絡)としています。資格取得時の標準報酬月額を決定する際においては、当初見込まれる残業代を記載することになると解されています。

最新・行政の動き

厚労省は令和5年度、産業雇用安定助成金に新コースとして「スキルアップ支援コース」(仮称)を追加する方針です。

新コースでは、新型コロナウイルスの影響による事業活動の縮小がなくても、労働者の能力向上を図る目的で在籍型出向を行う場合に、出向元事業主に対して助成金を支給します。

在籍型出向は、自社にはない実践の場での経験から新たなスキルを習得することが期待できるため、賃金の一部を助成することで在籍型出向を推進し、企業活動の活性化を促すのが狙いです。助成金の活用場面として、DXをめざす企業がIT企業への出向を通じて従業員にデジタル技術を習得させるケースのほか、自動車関連工場への出向により、モノづくりにおける品質管理と工程管理に関する手法・考え方を習得させるケースなどが想定されます。

助成対象は、出向元事業主が負担した出向労働者の賃金で、助成率は中小企業が3分の2、大企業が2分の1。最長1年間にわたり、最大5人分まで支給します。1人1日当たり8355円を上限とする考えです。

新米社労士 越田のつぶやき

経営の神様の異名を持つ松下幸之助さんの言葉に[成功とは成功するまでやり続けることで、失敗とは成功する

までやり続けないことだ]というシンプルなものがあります。私自身この言葉に助けられた経験があります。

私は、社労士試験で2度不合格となり、3度目で合格しました。2度目の受験時は合格点に2点足りずに不合格

となり、正直社労士になるのを諦めようかと思っていましたが、この言葉を胸にもう1年頑張ることにし、無事

合格することが出来ました。松下幸之助さんの言葉は、何か人を熱くさせるものばかりですね。


カテゴリー:所長コラム

社会保険の調査にて

2022年09月01日

夏の甲子園大会が終わりましたね。今大会は、大阪桐蔭高校の春夏連覇に注目が集まりましたが、準々決勝で敗れてしまいました。どう見ても強すぎるので、「あれだけの選手を集めれば勝って当たり前」と言われ、完全に今大会のヒール役となっていたように思います。こんな「憎らしいほど強い」チームに育て上げた西谷監督はどういう人物なのでしょうか。

西谷監督は23歳で大阪桐蔭高校に赴任し、その当時の校長先生から「教えられる教師はたくさんいるけど、育てられる教師は少ない」という言葉があり、勉強や野球の技術を教えるだけでなく、子供たちを成長させるために信頼関係を大事にしたそうです。子どもたちから「この人の言うことなら間違いない」と思ってもらえる存在になることが必要だと思い、一人ひとりといかにコミュニケーションを取るか、つまり話を聴くかが重要だと考えたそうです。そんな西谷監督も、かつては子どもの言動を否定し、一方的に自分の意見を伝え、延々と説教をするようなダメ先生だったそうです。32歳のときに部内で不祥事があり半年くらいグランドに出られなかった時期があり、そのことをきっかけに指導者としてのあり方を勉強し直したそうです。また、もう一つ、監督として心掛けていることがあると言います。それは、「日本一」という言葉を日々の練習の中で使い続けているそうで、一日に最低十回は「日本一」を口にしているそうです。日本一と言ったから日本一になれるわけではないけれど、意図的に繰り返すことで、本気で日本一を目指す風土が醸成されていくのだそうです。「指導者が常日頃どのような態度で子どもたちと接し、どのような言葉を発しているか。それによってチームの成長、勝負の分かれ目が決まる。」西谷監督の二十年もの監督経験からの実感だということです。(「1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書」致知出版社より)しっかりと目的や存在意義を明確にして、トップの「志」を組織に浸透させることで、目標が達成されます。高校野球も会社経営と同じなんですね。

先日、弊社のお客様の会社に年金事務所の社会保険の調査がありました。その際に永年勤続表彰制度により対象となった社員に支給された祝金が賞与にあたると指摘されることがありました。結果として追加で社会保険料の支払いを求められることになったわけですが、こういった動きは全国であるらしく、他県の社会保険労務士の情報では、福祉関係の事業所で通常の給与として支払っていた年末年始手当が賞与であるとされた事例もあるそうです。具体的には、12/30~1/3の間に出勤した場合に、1日5,000円の年末年始手当を支給していたところ、それが賞与だと指摘を受け、賞与支払届の提出をすることになったそうです。

社会保険における報酬は、「賃金、給料、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものをいい、金銭(通貨)に限らず現物で支給されるものも含む。」となっていて、報酬に該当しないものとして大入袋、見舞金、退職手当、交際費、慶弔費などがあります。そういったことからすると、祝金も報酬に該当しないものに含まれるように思われます。これまで、永年勤続表彰の祝金や年末年始手当については、賞与になるとは思いもしなかったというのが正直なところですが、どうも今後はそういうわけにいかないようです。

弊社のお客様の永年勤続表彰の祝金の件について、日本年金機構本部やいろんな年金事務所の調査担当者の方に話をうかがわせていただいたところ、基本的には“賞与になる”というのがぼくの感じたところです。ただ、あくまでもその一時的に支払われたお金が、「労務の対償」ではなく、「福利厚生」であると事業所が主張した場合、ある担当者からは、お祝金が社員及びその家族に対する福利厚生目的であることを規定に定めたうえで、福利厚生費で会計処理がなされていれば、賞与にはならないという回答もありました。しかし、絶対にこうだとは言い切れないように思います。年金事務所として明確な基準を持っていないようなので、各年金事務所の担当者の判断次第ということになりそうです。また、その他にも勤続手当、資格合格手当、バースデーギフト、社長賞などが「賞与」とされた事例があるということです。通常の給与以外に、額の多少にかかわらず、一時的な手当を支給するときは注意が必要ですね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

● 最新・行政の動き

厚労省は、精神障害に関する労災認定請求の大幅増加を受けて、認定基準の見直しに向けた検討を進めています。認定基準全般を検証し、より迅速・的確に心理的負荷を評価できるようにするのが狙いです

厚労省は、見直しに向けて議論している有識者検討会に対し、業務による心理的負荷につながる具体的出来事を記載した「評価表」の見直し案(たたき台)を提示。現行の評価表において、上司とのトラブルや、同僚等からの暴行または(ひどい)いじめ・嫌がらせなどを具体的出来事として示している「対人関係」に関する項目として、カスタマーハラスメントを追加するとしました

カスハラに関する具体的な項目として、「顧客や取引先、施設利用者等から(著しい)迷惑行為を受けた」を盛り込みます。迷惑行為の例には、暴行、脅迫、暴言のほか、著しく不当な要求を挙げる方針です。

また、最近の職場環境の変化を踏まえ、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務への従事」も具体的出来事に追加する考えです。

● 調 査

「いじめ」相談9%増 民事上の個別労働紛争

厚労省は、令和3年度の個別労働紛争解決制度の実施状況をまとめました。民事上の個別労働紛争の相談が増加しており、相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が10年連続でトップになっています。

法制度の問合せも含め、全国の「総合労働相談コーナー」に寄せられた労働相談は124万2579件で、前年度比3.7%減少。このうち民事上の個別労働紛争は28万4139件で、同1.9%増加しました。

都道府県労働局長が行う助言・指導の申出は同7.1%減の8484件、紛争調整委員会のあっせん委員が仲介するあっせん申請は同11.6%減の3760件でした。

紛争内容では、民事上の紛争の相談、助言・指導申出、あっせん申請のすべてで「いじめ・嫌がらせ」が最多。いじめ・嫌がらせ関連は、相談が同8.6%増の8万6034件で、相談全体の約4分の1を占めました。助言・指導申出は7.8%減の1689件、あっせん申請は7.1%減の1172件でした。

【新米新米社労士 越田のつぶやき】

最近、中学卒業以来会っていなかった友達と10年ぶりぐらいにご飯に行く機会がありました。

その友達とは、中学時代は部活や漫画の話ばかりしていました。しかし先日ご飯にいった際には、

自然と仕事や結婚の話をしていました。その時のことを振り返ると、生意気ながら自分も少しは

大人になったなあと感じました。仕事においてもそう感じる日がくるといいのですが、恥ずかし

ながらまだまだだなあと感じる日々です。


カテゴリー:所長コラム

夏季休業のお知らせ

2022年08月08日

いつもお世話になりありがとうございます。

誠に勝手ながら8月13日(土)~8月16日(火)まで夏季休業(お盆休み)とさせて頂きます。

8月17日(水)より通常営業となります。

ご迷惑をお掛けいたしますが宜しくお願いいたします。


カテゴリー:お知らせ

男女共同参画白書

2022年08月01日

先日、新潟に行った際に、全国でも希少な眼病に効くという奥湯沢の貝掛温泉というのがあると聞いたので立ち寄ってみました。“目薬の湯”といわれていて、温泉の泉質は、ロート製薬の目薬の成分とほぼ同じだそうです。簡単に言うと、目薬の中に浸かるような感じです。ここの温泉は、白内障や眼底出血などの病気によく効くらしく、温泉の湯口で目を洗う人もたくさんいました。100%源泉かけ流しで加温なしのぬる湯なので、長い時間入っていられるし、湯に顔をつけて目をパチパチしてみると気持ちよかったです。上杉謙信の隠し湯としても知られる歴史ある秘湯だそうなので、おススメです。

政府は、2022年版の男女共同参画白書を閣議決定しました。その中で、未婚や事実婚など人生や家族の姿が多様化したことを「もはや昭和ではない」と表現しました。「さまざまな政策や制度が高度成長期のまま」だとも書いてあります。内閣府が21年12月~22年1月に行った調査結果によると、30歳時点の未婚女性の割合は1980年の11.3%から2020年に40.5%へ上昇しています。婚姻歴のない30代男女の4人に1人は結婚願望がないと答えています。また、共働き世帯は、1985年の718万世帯から2021年には1177万世帯に増加し、専業主婦世帯は936万世帯から458万世帯に半減しています。

離婚件数は年間およそ20万件で「女性にとってもはや結婚は永久就職先ではなくなった」と記載され、「女性の経済的自立を可能にする環境整備」が重要だといわれています。白書は妻が仕事を抑制したほうが税負担は減る「配偶者控除」などにふれていて、女性が就業調整しないよう「さらなる取り組みが必要だ」と記しています。

ただ、「永久就職はもはや過去のもの」と最近では使われなくなった昭和の死語を、なぜいまさら公の文書で引き合いに出したのかと疑問の声もあります。また、「永久就職」という言葉は、「夫は仕事、妻は家事育児」という性別役割分担が社会に出来上がっていた時代に、家庭や夫を「会社」に見立てて、女性が良い相手を見つければ生涯、不自由なく暮らしていけるというたとえです。終身雇用制のもとで、安定した経済成長のもとだからこそ成り立つ話です。こういった時代に形作られたのが、「専業主婦モデル」という考え方で、制度の代表例が、1961年創設の「配偶者控除」と、1985年の「第3号被保険者」の仕組です。(参照:政経週報 卒・昭和の覚悟)この「専業主婦モデル」が崩されようとしています。

今年10月に短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所で、①1週の所定労働時間が20時間以上であること②雇用期間が2カ月を超えて見込まれること③賃金の月額が88,000円以上であること④学生でないことの4つの要件を満たすと、社会保険が適用となります。そして、2年後の令和6年10月には、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所にまで拡大されます。将来的には、事業所規模にかかわらず社会保険の加入が求められることになりそうです。

他にも女性が夫の扶養の範囲で働くにあたって、意識される収入の「壁」は、100万円、103万円、130万円、150万円、201万円があります。最初の100万円と103万円は税金の壁です。その壁を超えると住民税・所得税の納税義務が生じます。ただ、税金は超過部分にかかるので、実質的には「損」とはいえません。しかし、夫の会社から扶養手当が支給されていた場合にカットされることがあり、手取りが減ることになります。次の130万円は、社会保険料の壁になります。年収130万円以内であれば、夫の被扶養者として社会保険に保険料負担なしで加入することができますが、年収130万円を超えてしまうと、被扶養者からはずれて、自分で保険料を負担することになり、大きく手取りが減ってしまうので「大損」と考える方が多いようです。そして、最後の150万円と201万円は、その額を超えてしまうと配偶者特別控除が減額され、夫の税負担が増加することになります。

物価高が続いており、節約を心がける主婦には、壁を超えて家計収入が減ることは大きなダメージになると思います。しかし、今後は「壁」を意識しない働き方、つまり「壁」に関係なく働くことが求められるようになるのでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

裁量制の見直し議論加速 規制改革計画を決定 政府

裁量労働制見直しへ議論加速――政府は規制改革実施計画を閣議決定し、柔軟な働き方の実現に向けた各種制度の活用・見直しを改革メニューに盛り込みました。労働時間制度の見直しのほか、テレワークや副業・兼業、選択的週休3日制などの活用に向けた施策を検討するとしました。

働き手がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる環境を整備するため、厚生労働省に設置した労働時間制度に関する有識者検討会での議論を加速し、裁量労働制などの見直しについて今年度中に結論を得る方向です。健康・福祉確保措置のあり方も併せて検討します。

企業で導入が進んできているテレワークや副業・兼業、教育訓練休暇、選択的週休3日制の活用をさらに促進するため、厚労省において好事例の周知に努めます。各制度を活用している企業が、求職者に認識される方策も検討していくとしました。

休業手当支払いを命じる コロナで所定労働減 東京高裁

東京都内に複数店舗展開するホテル業者で働いていた労働者が、新型コロナウイルスの感染拡大により同意なく所定労働時間を減らされたと訴えた裁判で、東京高等裁判所は減少した時間分の休業手当支払いなどを命じた一審を維持しました。

労働者は令和2年3~7月にかけ、1日の所定労働時間を2時間~3時間15分減らされました。勤務時間の変更について、従業員との間の個別合意や就業規則の変更はありませんでした。

同ホテル業者は二審で、銀行からの借入や不動産の売却など、懸命な経営努力をし、赤字経営を続けたと主張。所定労働時間の変更は自社の体力と従業員の生活への影響に配慮した結果と強調し、さらに、新型コロナの感染拡大は外部に発生した事故で、「使用者の責に帰すべき事由」による休業とはいえないと訴えました。

同高裁は経営努力があったとしても所定労働時間を一方的に変更できる法律上の根拠にならないとしました。新型コロナについても、影響は事業によってさまざまで、一律に休業しなければならない状況ではなかったと指摘。同ホテル業者は自身の裁量判断で事業を継続しつつ、従業員の勤務時間を減らす選択をしており、「使用者の責に帰すべき事由」に当たるとして、訴えを退けています。

実習生 時給500円で働かせる 口裏合わせ隠蔽画策 岐阜労基署

岐阜労基署は、中国人技能実習生13人の基本給を月額9万円(時給約500円)とし、最低賃金を上回る額を支払わなかったとして、縫製業2社と両社の代表取締役である夫婦の計2法人2人を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反の疑いで岐阜地検に書類送検しました。

同労基署が令和元年に臨検した際には、被疑者らは賃金台帳を改ざんし、隠蔽を図りました。さらに、実習生への事情聴取に当たり、女性の実習生の胸部にボイスレコーダーを仕込んだうえで、「録音しているから本当のことを言うな」と指示していたことが、後の調査で判明しています。

2年2月、同労基署は複数人から証拠の提供を受けて再度両社を臨検し、是正勧告を出しました。被疑者らは最賃法違反などを事実と認めたものの、改善しなかったため、送検に踏み切りました。

同労基署によると、「同県の縫製業では同様の違反が頻発しているが、証拠隠滅が横行し、摘発が難航している。強制捜査や逮捕も辞さず、厳正に処罰していく」としました。


カテゴリー:所長コラム



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