環境整備の大切さ
2024年02月01日
2024年は元旦に起こった能登半島地震からスタートとなりました。大変な痛ましい状況に亡くなられた方、ご遺族の方にはお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申しあげます。
先月、早起きが重要な習慣ですとお伝えいたしましたが、もうひとつよく言われることが「環境整備」です。環境整備といえばイエローハットの創業者である鍵山秀三郎氏が有名です。鍵山氏は「掃除をすると人が変わる」といいます。先日、鍵山氏の掃除研修に参加した方のお話をたまたま聞くことができました。その研修では、トイレ掃除をするとき素手で便器を磨くといった話は聞いていましたが、なんとその方はキレイにした後の便器の水をすくって飲んだそうです。「飲んでも問題ないくらいキレイにしたから」ということだそうですが、良い悪いは置いておいてそれくらい清潔にすることにこだわった掃除をするそうですね。ぼくも毎日、会社のトイレ掃除をしていますが、いくらなんでもそこまではできません。
「利益を追うな、仕事を追え」といわれます。鍵山氏は「会社で何が大事かというと、利益より社風をよくすることだと思います。社風が悪い会社で未来永劫よくなった会社はありません。社員というのは、命令や規則あるいは職務規定によって仕事をするということは絶対にありません。どんな会社にでも厚い規定集がありますが、その規定によって仕事をしている人は一人もいません。」「つまり、規定にしたがって仕事をしているということはないということです。何にしたがっているかというと、社風にしたがって仕事をしているわけです。ですから、いい社風になれば、いい仕事ができるわけです。いい社風をつくるためには、まず会社、それから、もちろんトイレ、車、道路をきれいにするといいと思います。」と掃除の大切さを説きます。あと、「気づく」ことが結果をよくしていくために求められることだともいいます。気づくといってもいろいろあるわけですが、「人との関係において、自分のやっていることがどうなのかということにたえず気づく。あるいは、この人のためにどうしたらいいかということを基本にして気づく人にならないと駄目だ」ということです。ようするに、特別なことではなく、当たり前の、だれでも知ってはいるけれども、やっていない小さなことに目を向けて、それを徹底できるかどうかが大事なことだと鍵山氏は言っているのではないでしょうか。話を掃除にもどしますが、鍵山氏が主宰する掃除研修には全国から経営者や幹部の方が参加されるそうです。なかにはものすごく感激した社長がキレイにすることは素晴らしいことだから、早速、全社で取り組みたいと言うことがあるそうですが、鍵山氏は「そんなに感激したのなら、まず、あなたが明日からやってほしい。できれば最初は誰にも知られないように。」と指導するそうです。
経営コンサルタントの一倉定氏は、「社長は、社員に対しては、一生懸命やっている限り、寛大にならなければならない。会社の業績は、社長の考え方と行動によって決まるのであって、『企業は人なり』というのは、社長次第ということであって、社員のことではない、と解釈するのが、社長としては正しいのである。」といっています。((一倉定の社長学第7巻より)ぼくは、そのとおりだと思っていて、いつも自分に言い聞かせるようにしています。「悪い経営者はいても、悪い会社はない」ということですね。
この大災害にあたりコンサルタントの小宮一慶氏は松下幸之助さんの言葉から「逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境はうぬぼれを生む。逆境、順境そのいずれをも問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。ただ、その境涯に素直に生きるがよい。素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ。」(「道をひらく」より)と、お悔やみの言葉とともに紹介していました。このような状況でも、能登の被災地では強く立ち上がろうとする人がいます。本当に頭が下がる思いです。松下幸之助さんは、前向きであればどんな状況でも道は必ず開けると言います。その言葉を信じて未来に進みたいと思いました。
特定社会保険労務士 末正哲朗
◆最新・行政の動き
育児休業給付 国庫負担「8分の1」に引上げ 財政基盤強化狙う 厚労省案
厚生労働省は、雇用保険の育児休業給付に関する財政基盤を強化するため、現在暫定的に「80分の1」に引き下げている国庫負担割合を、令和6年度から、同法で原則として定める「8分の1」に戻す方針です。
保険料率については、当面の間現行の0.4%を据え置きつつ、7年度から保険財政の状況に応じて弾力的に調整できる仕組みを導入します。規定上の料率を0.5%に引き上げたうえで、実際の保険料率は弾力的に0.4%に引き下げられるようにします。
育児休業給付については、育児休業取得者の増加を受けて支給額が増加傾向にあり、男性育休の取得推進によって今後さらに伸びることが見込まれています。
近年の収支状況をみると、労使から徴収している保険料(労使折半0.4%)と国庫負担(給付費用の80分の1)を合わせた収入額が、令和2年度以降7700億~8000億円弱で推移しているのに対し、令和2年度に6648億円だった支給額は、3年度6656億円、4年度7117億円、5年度7780億円と急増しています。
4年4月以降の雇用保険料率を定めた改正雇用保険法の附則で、「6年度までをめどに、育児休業給付の財源のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講じる」とされていることを踏まえ、厚労省は、財政基盤の強化策の方向性を労働政策審議会雇用保険部会に提示。昨年12月26日の部会で示した報告書案にも盛り込みました。
◆ニュース
雇保適用「週10時間以上」へ拡大 基本手当の給付制限短縮
厚生労働省の労働政策審議会雇用保険部会は1月5日、雇用保険制度の見直しに向けた部会報告書をまとめました。
雇用のセーフティネットを広げる観点から、現在、週の所定労働時間が20時間以上の労働者に限定している雇用保険制度の対象者について、10時間以上にまで拡大するべきとしました。新たに対象に加わる労働者も、現行の被保険者と同様に、基本手当のほか、育児休業給付や教育訓練給付などの対象とします。令和10年度中の実施をめざします。
基本手当については、正当な理由がない自己都合離職者に設定している給付制限期間を、現行の原則2カ月から1カ月に見直します。その際、給付目的の早期離職を防止するため、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職を繰り返す場合は、給付制限期間を3カ月とします。離職期間中や、離職日前1年以内に、自主的に教育訓練を行った場合には、給付制限を解除します。期間短縮と制限解除は、令和7年度からの導入を見込んでいます。
全国健康保険協会(協会けんぽ)は、来年度の全国平均保険料率について、10%の維持を決めました。決算では黒字が続いているものの、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る赤字構造が解消されておらず、中長期的な財政運営の観点から、10%を維持する必要があると判断しています。
平均保険料率については、協会けんぽが平成30年度に「中長期的な観点で考える」とする方針を表明しました。以降方針に変更はなく、単年度収支で黒字が見込まれる場合であっても、料率を引き下げず、準備金残高を積み上げてきました。
維持を決定した運営委員会では、事業主代表から少子化対策支援金の動向を懸念する声が出ました。労使は追加の拠出を求められるため、これまでと同様「中長期的な視点だけで10%を維持するという一点だけではもたない」と強調しています。
カテゴリー:所長コラム