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日本の若者

2025年11月04日

ぼくが会社勤めだった頃は、上司やお客様から注意されると、事をスムーズに運ぶために、たとえ自分に非はなかったとしても、まず「すみません」とひとこと謝っていたように思います。でも、最近は「謝らない人」が増えているそうです。「申し訳ありません。」と言えば済むところを絶対に自分の非を認めないということだそうですが、心理学博士の榎本博明氏は、その原因のひとつに「褒めて伸ばす」という方針が広く浸透し、子どもを叱ることが少なくなった最近の学校教育が原因ではないかといいます。榎本先生は、「『傷つけてはならない』として、たとえ義務を果たさなくても受け入れる風潮の中で育った若者は、失敗を指摘されることに慣れておらず、注意されると人格を否定されたように感じてしまいます。まずは『すみません』と謝ってから事情を説明するという基本的な対応ができないまま、社会に出てくる人が増えているのです。」と指摘しています。今の若者が受けた学校教育の「褒めて伸ばす」という教育方針で、子どもは教師から叱られることは少なくなっているし、部活動やサークル活動への参加が減って、他者との人付き合いが苦手な子どもが増えているということのようです。(「PRESIDENT」2025.9.12号)

しかし、世界を舞台に大活躍している若者もたくさんいます。大谷翔平、八村塁、羽生結弦選手といったスポーツ界のスーパースターの存在や、経済協力開発機構(OECD)の令和4年国際成人力調査では、日本が「問題解決能力」「数的能力」「読解力」において世界トップクラスとの評価を受けていて、若い世代ほど成績が良かったという結果が出ているそうです。また、若者を中心としたアニメやゲーム産業も世界有数のクオリティを誇り、世界には多くのファンがいます。これは、日本の若者が高い専門性とグローバルな視点を備えた人材である証といえそうです。

このどちらもが今の若者の実態です。企業にとって今の若手社員は「宝物」のような存在だともいわれています。その理由は、そもそも人数が少ないということもありますが、「スマホネイティブ世代」といわれるように、IT、デジタル力が強みだからです。生まれたときからスマホをおもちゃにしているので、ソフトを駆使して情報やデータを収集する能力が高いうえに、変化への対応力もあります。残念ながら、こういった能力は、多くの中高年にはないものばかりです。三菱電機が、53歳以上の正社員を対象にして、募集人数を定めない早期退職を募集すると発表しました。三菱電機は2026年3月期に最高益が予想される一方で、従業員には早期退職を促しています。三菱電機の場合は社内の年齢層が高めに偏っている人員構成を是正して「若返り」をはかり、次世代への継承を推進することが目的だといわれています。今、このような若返りのための黒字リストラを行う企業が相次いでいるそうです。

このように切り捨てられていく高齢者ですが、日本経済においてはそういった人たちの活用も大切な課題になってきています。この30年間で15~64歳の生産年齢人口が8700万人から7300万人に激減する一方、65歳以上の人口が1800万人から3600万人に倍増しました。健康寿命は、男性が73歳、女性は75歳に達しているため、日本の生産年齢人口は、少なくとも70歳にまで引き上げるべきだといわれています。総務省によると、高齢者の就業状況は、2024年の65歳以上の就業者が930万人(うち男性538万人、女性391万人)となり、ちょうど生産年齢人口の減少分を補っているようにも見えます。大企業に比べ中小企業はこれからますます採用が出来なくなります。会社を存続させるために今後も採用をしなければならないことは変わりませんが、まずは今いる社員の定着を良くすることです。中小企業では大企業のように優秀な人ばかり入ってくるわけではないので、今いる社員が育つ職場環境を整えることも必要になります。

冒頭の謝らない人たちに対して職場での対応はどうすればよいのでしょうか。榎本先生は、「こうした人たちの性格を根本的に改善させるのは、ほぼ不可能」「まずはこの現実を受け入れて、過度な期待を持たないことが先決です。」といいます。どうもガマンするしかなさそうですね。 

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

個人事業者業務上災害 注文者に報告義務課す 安衛則改正案・厚労省

厚生労働省は、建設業の一人親方など個人事業者の業務上災害の報告制度の創設に向け、労働安全衛生規則などの改正案要綱を労働政策審議会に諮問し、「妥当」との答申を受けました。令和9年1月に施行する予定です。

昨年5月に公布された改正労働安全衛生法および作業環境測定法では、個人事業者などの業務上災害報告制度の創設を盛り込みました。個人事業者の業務上災害を網羅的に把握する仕組みがなかったことから、報告制度により、効果的な労働災害防止施策などの検討につなげるのが狙いです。報告主体や報告事項などの詳細については、省令などで示すこととしていました。

改正省令案要綱によると、個人事業者と同一の場所で仕事を行う直近上位の注文者(特定注文者)に対し、労働者と同一の場所で作業を行う個人事業者が業務に起因する負傷・傷病によって4日以上休業したことを把握したとき、所轄労基署に遅滞なく報告するよう義務付けます。罰則は設けません。特定注文者が存在しない場合には、災害発生場所を管理する事業者が報告義務を負います。

被災者である個人事業者が災害発生の事実を伝達できる場合には、個人事業者本人が特定注文者または管理事業者に遅滞なく報告する必要があります。報告を受けた事業者は、必要事項を補足したうえで労基署に遅滞なく報告しなければなりません。

脳・心臓疾患および精神障害事案については、本人が直接、労基署に報告できることとします。

◆ニュース

建設など8分野は2年 育成就労の転籍制限期間 入管庁案

 外国人技能実習制度に代わって令和9年4月に開始される育成就労制度を巡り、出入国在留管理庁と厚生労働省は、分野ごとの転籍制限期間に関する案を有識者会議に提示しました。外国人本人の意向で職場を移る「転籍」を制限する期間について、建設や工業製品製造、飲食料品製造、介護など8分野で、就労開始から2年としました。宿泊や物流倉庫、ビルクリーニングなど9分野は1年での転籍を可能とします。

 今年3月に閣議決定した基本方針では、「転籍制限期間については、1年とすることをめざしつつ、当分の間、育成就労産業分野ごとに、業務内容を踏まえて、1年から2年までの範囲内で分野別運用方針において設定する」としています。1年を超える期間を設定する分野の受入れ企業は、原則として、分野ごとの基準を満たす待遇向上策を講じなければなりません。

 出入国在留管理庁などの案では、各分野の制限期間をその理由とともに示しました。たとえば、建設分野では、外国人が安全に作業を行えるようになるために、一定の時間をかけて安全衛生教育を行う必要があることなどを理由として、2年に設定しました。

 政府は、分野別運用方針について、年内の閣議決定をめざしています。

店長年収2000万円へ 部下の満足度で評価 トリドールHD

㈱トリドールホールディングスは、運営するうどんチェーン「丸亀製麺」の店長職をアップグレードし、主な役割を従業員のハピネス(満足度)の最大化と顧客の感動づくりに設定します。新役職「ハピカンキャプテン」は4段階で処遇し、最上位では年収2000万円に到達可能としました。ハピネスについては、音声対話型生成AIによるヒアリングで測定します。

従来の店長の年収は520万円が上限となっていました。新役職のキャプテンは500万円を下限とし、3年で300人体制をめざします。そのうち10人程度は最上位の2000万円クラスとなることを見込んでいるとしました。

キャプテンにはハピネス向上のため、従業員の誕生日を祝ったり、交流会を開く予算を与えます。従業員や顧客と直接触れ合う機会を増やすため、シフト作成・発注管理、帳簿管理などの管理業務は副店長に移管します。

顧客の感動度は、食後に記入してもらうアンケートの結果から分析し、スコア化します。


カテゴリー:所長コラム


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