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生活習慣を見直す

2024年05月01日

昨年、石油元売り最大手のENEOSホールディングスは、懇親会の場で同席していた女性に酒に酔って抱きつくという不適切な行為をおこなった社長を解任しました。これで立て続けにグループの首脳3人が相次いで引責辞任するという不祥事が続いたわけですが、再発防止策として、取締役が会食時に飲酒しすぎていないか、同行者が監視するルールを新たに設けたと新聞が報道しました。日本を代表する大企業のトップが、監視付きでないとお酒が飲めないってかなり笑えませんか。そんな中、厚生労働省が初めて飲酒に関するガイドラインを2月に公表しています。やり玉に挙がっているのがアルコール度数9%のいわゆる「ストロング系酎ハイ」です。ぼくもよく飲みましたが、息子から「そんなの飲んでいるとアル中になるぞ!」とよく言われたものです。そのストロング系は、「安く酔える」を売りに2010年前後から需要が拡大してきたということですが、今年に入り飲料各社が、アルコール度数8%以上の缶酎ハイの新商品を販売しない方針を示すなど、ストロング系からの撤退の動きが活発化しているそうです。ぼくは定期的に血液検査を受けていますが、担当医からは「アルコールを何グラム飲んでいるかわかっていますか」と聞かれるようになりました。先ほどのガイドラインでは、酒量よりも純アルコール量に着目することが重要だとしています。その計算式は、お酒の量(ml)×アルコール度数/100×0.8=純アルコール量(g)となっていて、ガイドラインによると1日20グラム以上摂取するとガンの発症リスクが生じるとされます。20グラムというのは、酒量でいえばビール中瓶1本、日本酒は1合となります。また、避けるべき飲み方としては、不安・不眠を解消するために飲むことや、アルコールハラスメントといわれるような他人に飲酒を強要することが挙げられています。厚労省によると「体への影響は年齢や体質によって異なり、ガイドラインを参考に自分に合った飲酒量を決めることが大切だ」とされます。最近では、タバコの次はお酒がターゲットになったといわれているようです。

もうひとつ厚労省から睡眠について興味深い数字が発表されています。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると「適正な睡眠時間」と「睡眠休養感」の確保のため、小学生は9~12時間、中高生は8~10時間、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保するよう推奨しています。また、高齢者には長時間睡眠は健康リスクだとして、「床上時間(寝床で過ごす時間)」が8時間以上にならないよう示したうえで、8時間以上の睡眠、長時間の昼寝を避けることを提案しています。ぼくも最近は、5時間くらいしか眠れないけどいいのかなと思っていましたが、それで十分に普通なんですね。また、ガイドでは睡眠で休養が取れているという「睡眠休養感」を高めることも大切だとしています。寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まないとか、就寝直前の夜食や飲酒は控えなさいとか、覚醒作用があるカフェイン摂取は1日400ミリグラムを超えると眠りにくくなる可能性があるからコーヒーは1日にカップ4杯までにしなさいとか。厚労省は、いつからか私たちの生活習慣の指導に力が入るようになったみたいです。

昨年、脳・心臓疾患等の疾病についての労災認定基準の一部が改正されて「脳心臓疾患の労災認定基準」では、過重労働や長時間労働の影響を重要視するようになりました。「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること。」と定義していますが、これは睡眠時間がもとになっていて「1日6時間程度の睡眠が確保できない状態」が1か月継続すると1日4時間程度の時間外労働を行った場合に相当するとされ、「おおむね80時間を超える時間外労働が想定される」としています。また「1日5時間程度の睡眠が確保できない状態」だと1日5時間程度の時間外労働を行ったこととして「おおむね100時間を超える時間外労働が想定される」としています。労災認定においては、1日4~6時間以下の睡眠時間は良くないということのようです。

脳心臓疾患は元気に働いていた人が急に倒れるという病気です。そして、労災認定を受ける人は、40代以上が8割を占めるといわれています。40歳を過ぎたら他人からどうこう言われなくても、自分にあったからだの休ませ方を知ることが大切ですね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

過労死等発生企業  再発防止対策を強化  全社的な対応へ指導  厚労省・過労死防止大綱素案

厚生労働省は、今年7月の閣議決定をめざしている新たな過労死等防止対策大綱の素案を作成しました。

素案では、国が取り組む重点対策として、時間外労働の上限規制の遵守徹底や、脳・心臓疾患または精神障害に関する労災保険支給決定が行われた企業における再発防止対策の強化、勤務間インターバル制度の周知などを掲げました。

上限規制については、4月から建設事業や自動車運転業務などでも適用が開始されたことから、労働基準監督署で遵守徹底を図ります。建設業では短い工期設定、自動車運転者では長時間の荷待ちなどが課題になっているため、施主や荷主などの取引関係者に対しても、長時間労働改善に向けた協力を呼び掛けていきます。

一方、過労死等の再発防止対策の取組みとしては、これまで行ってきた発生事業場に対する監督指導・個別指導に加えて、企業本社における全社的な再発防止対策の策定を求める指導を実施します。企業本社への指導は、事業場を通じて実施します。

さらに、一定期間内に複数事案を発生させた企業に対しては、企業の本社を管轄する都道府県労働局長から「過労死等の防止に向けた改善計画」の策定を求め、同計画に基づく取組みを企業全体に定着させるための助言・指導(過労死等防止計画指導)を実施するとしました。

◆ニュース

職安が延長適否判断 育休給付巡り雇保則改正 厚労省

 厚生労働省は、子供を保育所に入所させる意思がないにもかかわらず、労働者が育児休業給付の受給期間を延長する目的で自治体へ入所を申し込む行為を防止するため、雇用保険法施行規則を改正し、期間延長手続きを厳格化します。施行は来年4月1日。入所申込みなどに関する労働者本人の申告内容をハローワークが確認し、延長の適否を判断します。

 子が1歳および1歳6カ月を超えた後も労働者が育児休業給付を受給するためには従来、保育所の入所を希望したにもかかわらず入所できないことが要件になっていました。その確認は原則として、市区町村が発行する入所保留通知書や入所不承諾通知書で行ってきました。

 雇保則改正により、受給を延長する要件として、「市区町村に申し込んだ内容が速やかな職場復帰のために保育所等における保育の利用を希望しているものと公共職業安定所長が認めるものであること」を追加。入所保留通知書に加え、本人が記載する申告書と、市区町村への利用申込書の写しを提出させて、申し込んだ施設が、合理的な理由なく自宅や勤務先から遠隔地の施設のみになっていないかどうかなどを確認します。

あらゆる危険に対応 中小へBCP策定ガイド 東商

東京商工会議所は中小企業向けに、自然災害や感染症、サイバー攻撃などさまざまなハザード(危険)に対応できる「オールハザード型BCP」の策定ガイドを発行しました。ハザードごとにBCPを策定するのではなく、ハザードにより生じる人員や設備などの資源への影響に着目して、経営資源ごとに復旧戦略を検討するよう勧めています。

まずは重要な事業を選定し、事業を遂行するために必要な経営資源として、決裁者やスキルを持った人員を決めておくべきとしました。何らかのハザードによってその人員を活用できなくなった場合の対策を立てておけば、想定外の災害も含めてどんなハザードが起きても対処できます。具体的には、決裁者の代行順位の設定、スキル保有者の在宅勤務などを検討しておくよう促しています。


カテゴリー:所長コラム

24年度の年金額改定

2024年04月01日

先日、受講したセミナーでとても心に残る言葉を教えていただきました。「明日死ぬかのように生きろ、永遠に生きるかのように学べ」ガンジーの言葉だそうです。最近の自分はどうだろうといろいろな場面で思うことが多かったので、まず、何をするのにも遅くはないと考え行動することにしました。なんとなく新しいことに挑戦しなくなっているように感じていたからです。次に自分が言ったことは、必ず守るということ。これはコンサルタントの小宮一慶さんに教えていただいたことです。「信」という言葉は、人の言葉と書きます。人からの信頼を得られるかどうかは、言ったことを守るかどうかにかかっていて、相手が誰であれ、言ったことは行うこと、それをしないと、やらない人になってしまう。信用を得るとともに、実行力をつける意味でも言ったことをやる習慣を持つことが大切だといいます。なので、身近なところでいえば、相手が誰であっても「今度、飲みに行こう!」と言ったからには、必ず行くようするそうです。くだらないことのように聞こえますが、これがなかなか難しくて出来ない。「言ったことは必ずやる」となると何も言えなくなってしまうものなので、小宮さんは言わなくても自分が思ったことはやりなさいと言います。たとえば、こういう勉強をしてみようとか、海外旅行したいな、などとふと思うことがあったときにそんな必要はないかと思いとどまったり、時間やお金の制約があって、実際には、行動せずに終わったりしていると、実行力も上がらないし、何も変わらないことになります。できる範囲で、思ったことを行動に移す、そうしていると、必ず人生がステップアップするそうです。人生のステージが上がると、付き合う人も増えるし、仕事もランクアップし、収入も増える。そうすると、思ったことがもっとできるようになります。思ったことを行う行動力が、自分を自由に大きくする。松下幸之助さんは「自己観照」という言葉を残しています。自己観照とは、自分の心を取り出し、身体の外に置いて、自分で観てみる、ということで、客観的に自分の心を観ることをいうそうです。一日を振り返る時間を作り、あれはまずかったなとかあんなこと言わなきゃよかったということに気づいて反省する。失敗することは誰でもあるので、それを反省することが大事なことなのだろうと思っています。

最近、有名人や芸能人が受給している年金額を調べるテレビ番組が人気だそうです。高収入のイメージがある芸能人はさぞかし高額の年金を毎月受け取っているであろうと興味をそそるのでしょう。ちなみにビートたけしさんが、「オレ、国民年金って(通知書を)ビーっとはがしてみたけど、1か月に6万円だったもん。めまいがして倒れた」とその番組で話しています。多くの芸能人は、会社員ではないので国民年金にしか加入していないし、そもそも厚生年金制度では、どれだけ高額の収入がある人でも、その収入は月額65万円とみなされてしまいます。ようするに、いくら高額の年収がある人でも65万円分の保険料しか払わせてくれない仕組みになっているというわけです。

そもそも月額30万円以上の受給者は全体の0.1%である1万2490人しかいません。ぼくはこれまでに1度だけ30万円以上の方の年金相談を受けたことがありますが、その人の職業は、若いころから日本酒を作っている能登の杜氏さんでした。高額な年収だったのでしょうね。当時の年金額の計算方法は現在とは異なっているので、もうそのような人に会うことはないだろうと思います。

厚生労働省が24年度の年金額改定について公表しました。年金額は2.7%引上げとなり、国民年金で月額6万8000円(+1750円)、モデル厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)で月額23万483円(+6001円)となりました。年金額の毎年の増減は、受給者から注目されているところですが、先ほどのように、厚生年金を月額30万円以上受け取っている人がいる一方で、2人に1人以上は月額15万円未満であることもわかっています。また、今後の年金制度に大きな影響を与える日本の人口ですが、2月に発表された2023年の出生数は75万8631人で、前年から5.1%減少しました。減少ペースは想定より速く、この傾向が続くと2035年にも50万人を割り込み、結婚適齢期の人口が急減してしまいます。この「2030年の壁」を超えてしまうと、出生数の反転は難しくなるといわれていて、あと残された数年が少子化トレンドを脱却するラストチャンスだといわれています。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

女性活躍推進 ハラスメント対応強化へ 有識者検討会で議論 厚労省

厚生労働省は「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」を設置しました。

企業に対して行動計画の策定などを求める女性活躍推進法は、10年間の時限立法として平成28年度から施行されており、令和8年3月末で失効することになっています。令和元年に成立した女性活躍推進法等改正法では、行動計画の策定義務および女性活躍に関する情報公表義務の対象を、常用労働者101人以上企業にまで拡大し、事業主におけるパワーハラスメント防止措置義務も新設。さらに4年7月には、省令改正によって、301人以上企業に対して男女の賃金の差異を公表するよう義務付けるなど、女性の活躍に向けて規定を充実させてきました。

その一方で、男女の賃金差異は依然として大きく、女性の管理職割合も国際的にみると低い状態です。都道府県労働局に寄せられるハラスメントに関する相談件数も高止まりしています。セクシュアルハラスメント・パワハラのほか、妊娠・出産に関するハラスメントなどの相談件数は令和4年度1年間で13万件に達します。厚労省の調査によると、顧客などからの著しい迷惑行為(カスハラ)を受けたことがある労働者も少なくありません。

このため、同検討会において、女性活躍推進に関する現状・課題を改めて整理し、めざすべき方向性・対応について議論します。2月29日の初会合では、生理や更年期障害など女性特有の健康問題への対応や、カスハラを含めたハラスメント対策の強化を検討課題とする声が多く挙がりました。

◆ニュース

本社一括届出を拡大 1カ月変形時間制など 厚労省

厚生労働省は、事業場ごとの届出を求めている1カ月単位の変形労働時間制に関する労使協定などについて、電子申請に限り、本社機能を持つ事業場が一括して届け出ることを認める通達を、都道府県労働局長に向けて発出しました。2月23日から適用しています。

従来、本社一括届出の対象は、就業規則のほか、時間外・休日労働協定、1年単位の変形労働時間制に関する協定に限られていました。

新たに電子申請による本社一括届出が認められるのは、①1カ月単位の変形労働時間制に関する協定、②1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定、③事業場外労働のみなし労働時間制に関する協定、④専門業務型裁量労働制に関する協定、⑤企画業務型裁量労働制に関する決議、⑥企画業務型裁量労働制に関する定期報告――の6つの手続きです。

いずれの手続きも、本社の協定・決議・報告と、本社以外の事業場の協定などの「内容が同一」でなければならないとしました。

たとえば、1カ月単位の変形労働時間制の場合は、業務の種類、変形期間(起算日)、変形期間中の各日および各週の労働時間・所定休日などが、一括届出を行う事業場間で同一である必要があるとしました。

◆調査

配偶者収入も実質減に 家計調査報告(2023年平均)

 総務省は家計調査の2023年平均結果を公表しました。世帯主が会社などに勤めている「勤労者世帯」について、2人以上の世帯をみると、2023年の実収入(現金収入)平均は1世帯当たり60万8182円でした。前年比に関しては、名目では1.5%減少、実質では5.1%減少となりました。3年連続で実質減少が続いています。

実収入のうち、配偶者収入の平均は9万7670円でした。名目では0.3%増加していますが、実質では3.4%の減少となっています。実質減少したのは、6年ぶりとなりました。世帯主の収入は44万1862円で、名目では2.0%減少、実質では5.6%減少しました。実質減少となるのは2年連続。勤労者世帯のうち総世帯の実収入平均は、1世帯当たり52万2334円でした。名目2.4%の減少、実質6.0%の減少となりました。


カテゴリー:所長コラム

精神障害の労災認定基準改正の影響

2024年03月01日

昨年、金沢地検の50代の男性検察事務官が、捜査の協力関係にある機関の職員に電話で「そんなことサルでもできるでしょ」などと発言したとして戒告の懲戒処分にしたと報じられました。事務官は職員とのやりとりで「捜査協力しないのなら捜査妨害やぞ」「そちらの上司に言いふらすぞ」「そんなことも知らないのか」とも発言したそうです。事務官は「要望にそった回答が得られずいらだった」と話しました。

パワーハラスメントに対する社会からの風当たりがどんどん強くなっています。数年前であれば、強く注意しただけで済んだことが済まなくなってきています。先日、ある都市の監督署に用事があり訪問した際に、そこの副署長さんと話す機会がありました。その副署長さんは、本当に業務がどんどん大変になっていると話してくれました。パワハラがあって精神疾患が発症したことについて労災認定を求めることに加えて、最近では職場でパワハラがあるため家に帰って毎日のようにお酒を飲まずにはいられずアルコール依存症になったとか、パワハラが恐くて胸がドキドキするようになった、これは狭心症だとかいって労災申請がガンガン出てくる。それらが労災認定されるケースがドンドン増えているということでした。「それじゃ何でも労災になるのでは」と、その副署長さんに問うたところ、「現状はそうなっています。」という返事でした。部下を持つ上司の方々は、部下の指導に当たって、正しい知識を身につけておく必要があるようです。

これらのことは、2023年9月の精神障害の労災認定基準の改正が影響しているようです。従来、精神障害、自殺の事案があり労災申請がされた場合、2011年に策定された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災保険の支給決定が行われてきましたが、現在は新たな認定基準により決定されているということです。今回の改正は、「業務による心理的負荷評価表」の見直しが大きなポイントといわれています。その負荷評価表の改正項目は次の4つです。①カスタマーハラスメント項目を追加②感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事したことによる負荷を追加③パワーハラスメントの全6類型を明記④性的指向・性自認に関するハラスメントを明記、となっています。また、注意しなければならないのは、精神障害の悪化について業務起因性が認められる範囲が見直されて広くなっていることです。従来はもともと精神疾患を持つ治療が必要な労働者が、心理的負荷がかかる業務に従事した際、特に強い心理的負荷となる出来事がなければ労災認定されませんでしたが、業務による強い心理的負荷により悪化した場合には、専門家による判断のうえで、悪化した部分について労災認定される可能性があるようになったそうです。そして、精神疾患の既往歴があり、通院、服薬を継続しているものの、症状がなく病状がすでに安定していて、通常勤務を行っている場合については、悪化ではなく新たな発病として判断されることになったということです。最近、入社後数か月しか経っていないのに職場でのパワハラを理由に精神疾患を発病したという労働者が増えていることが気にかかるところです。そうした場合には、本当の原因がわからず事業主も対応に苦慮することが多く、今後はますます入社時の健康状態の見極めが重要になるのではないでしょうか。

職場におけるパワハラ対策義務化は、2022年4月1日以降中小企業にも適用されていて、対応が済んでいる企業も多いと思います。厚労省が公表した「令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、民事上の個別労働紛争における相談、助言・指導の申出、あっせんの申請の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」の件数が最多となっているそうです。この傾向は長年にわたって続いていることですが、労災申請の可能性が高まっている現在、企業におけるパワハラ対策がより一層求められているといえます。また、被害者が会社に相談していたり、会社がパワハラを把握していながら適切な対応をせず、改善がなされなかったりした場合は労災認定の可能性が強くなります。ありがちですが、見て見ぬふりをしないように、会社としてどうすることが適切なのか検討することが大切です。今回の改正では「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」が追加されました。いわゆるカスタマーハラスメントです。社外の人たちからのパワハラも今後は企業にとってのリスクになります。カスタマーハラスメントの現場での対応は限界があります。ひどいケースであれば取引中止も含めた検討が必要です。従業員を守るという決断を経営者ができるのか、その経営者の姿勢を周りが見ていることを忘れてはなりません。 (「企業実務2024.1月号」より)

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

育児期残業免除 小学校就学前まで延長 子の看護休暇も拡大対象 来年4月に施行へ

厚生労働省は1月30日、育児に伴う残業免除期間の延長などを盛り込んだ育児・介護休業法などの改正法案要綱を労働政策審議会に示し、「おおむね妥当」との答申を得られました。

改正案要綱では、子を養育する労働者が請求した場合に、事業主が所定労働時間を超えて労働させてはならない労働者の範囲を、現行の「3歳に満たない子を養育する労働者」から「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者」へ拡大するとしました。勤続1年未満や、所定労働日数が週2日以下の労働者に対しては、引き続き、労使協定で適用を除外できます。

子の看護休暇制度については、感染症に伴う学級閉鎖や、子の行事参加にも利用できるようにするとともに、請求できる期間を小学校3年生修了時まで延長します。対象となる行事は改正省令で示す予定としており、子の入園式や卒園式、入学式などが盛り込まれる方向です。労使協定によって勤続6カ月未満の労働者への適用を除外できる仕組みは廃止します。取得理由の拡大を踏まえ、制度の名称は「子の看護等休暇」に変更します。

いずれも施行予定日は来年4月1日。今通常国会に改正法案を提出する方針です。

◆ニュース

見込みも届出必要に 社保適用拡大でQ&A 厚労省

 厚生労働省は10月に控える短時間労働者に対する社会保険適用拡大に関するQ&Aをまとめました。事業所の新規適用時や合併時に、厚生年金保険の被保険者の総数が50人を超える見込みがある場合は、50人を超えた実績がなくても、特定適用事業所該当届の提出が必要としています。該当年月日は50人を超えると見込まれた事実の発生日としました。50人超の要件は、12カ月のうち、6カ月以上50人を超えることが見込まれるかどうかで判断します。

 現行制度では、所定労働時間・労働日数が通常の労働者の4分の3以上に満たない場合であっても、週所定労働時間20時間以上、所定内賃金月額8万8000円以上、被保険者数100人超の企業――などの要件を満たすとき、社会保険を適用しています。10月の適用拡大は企業規模要件を100人超から50人超に緩和するものです。

 雇用時には所定内賃金月額が8万8000円以下だった労働者が、遡及する給与改定によって8万8000円を超えた場合は、給与改定日から社会保険を適用します。業務の都合によって恒常的に労働時間が増加したケースでは、連続する2カ月間要件を満たし、引き続き同様の状態が見込まれる場合に、3月目の初日に被保険者資格を取得するとしています。

◆送検

36協定が期限切れ 15人違法残業させ送検 立川労基署

東京・立川労働基準監督署は、36協定の期限が切れていたにもかかわらず、労働者15人に対し、週40時間を超える時間外労働を行わせたとして、食品加工業者と同社代表取締役を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで東京地検に書類送検しました。

同社は令和5年9月11~17日の1週間において、週40時間を超えて最大39時間の時間外労働を行わせた疑い。直前の7月21日~8月20日の1カ月間は、15人中3人が月100時間を超えていました。定期監督で違反が発覚し、行政指導を挟まずに送検しています。

同労基署は数年前にも同社に定期監督に入り、長時間労働を確認していました。その際、36協定が締結されていなかったため、是正勧告を出して改善を求めました。同社は協定を締結・届出して是正報告しましたが、その後一度も協定を更新せず、期限切れになっていました。今回の定期監督は、当時の違反の記録を端緒に行っています。

同労基署は違反を繰り返した点や月100時間と時間外労働が長かった点を悪質とみて、送検に踏み切りました。36協定の未締結や期限切れは、労働時間に関する違反のうち、定期監督で最もよくみられるものといいます。


カテゴリー:所長コラム

環境整備の大切さ

2024年02月01日

2024年は元旦に起こった能登半島地震からスタートとなりました。大変な痛ましい状況に亡くなられた方、ご遺族の方にはお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申しあげます。

先月、早起きが重要な習慣ですとお伝えいたしましたが、もうひとつよく言われることが「環境整備」です。環境整備といえばイエローハットの創業者である鍵山秀三郎氏が有名です。鍵山氏は「掃除をすると人が変わる」といいます。先日、鍵山氏の掃除研修に参加した方のお話をたまたま聞くことができました。その研修では、トイレ掃除をするとき素手で便器を磨くといった話は聞いていましたが、なんとその方はキレイにした後の便器の水をすくって飲んだそうです。「飲んでも問題ないくらいキレイにしたから」ということだそうですが、良い悪いは置いておいてそれくらい清潔にすることにこだわった掃除をするそうですね。ぼくも毎日、会社のトイレ掃除をしていますが、いくらなんでもそこまではできません。

「利益を追うな、仕事を追え」といわれます。鍵山氏は「会社で何が大事かというと、利益より社風をよくすることだと思います。社風が悪い会社で未来永劫よくなった会社はありません。社員というのは、命令や規則あるいは職務規定によって仕事をするということは絶対にありません。どんな会社にでも厚い規定集がありますが、その規定によって仕事をしている人は一人もいません。」「つまり、規定にしたがって仕事をしているということはないということです。何にしたがっているかというと、社風にしたがって仕事をしているわけです。ですから、いい社風になれば、いい仕事ができるわけです。いい社風をつくるためには、まず会社、それから、もちろんトイレ、車、道路をきれいにするといいと思います。」と掃除の大切さを説きます。あと、「気づく」ことが結果をよくしていくために求められることだともいいます。気づくといってもいろいろあるわけですが、「人との関係において、自分のやっていることがどうなのかということにたえず気づく。あるいは、この人のためにどうしたらいいかということを基本にして気づく人にならないと駄目だ」ということです。ようするに、特別なことではなく、当たり前の、だれでも知ってはいるけれども、やっていない小さなことに目を向けて、それを徹底できるかどうかが大事なことだと鍵山氏は言っているのではないでしょうか。話を掃除にもどしますが、鍵山氏が主宰する掃除研修には全国から経営者や幹部の方が参加されるそうです。なかにはものすごく感激した社長がキレイにすることは素晴らしいことだから、早速、全社で取り組みたいと言うことがあるそうですが、鍵山氏は「そんなに感激したのなら、まず、あなたが明日からやってほしい。できれば最初は誰にも知られないように。」と指導するそうです。

経営コンサルタントの一倉定氏は、「社長は、社員に対しては、一生懸命やっている限り、寛大にならなければならない。会社の業績は、社長の考え方と行動によって決まるのであって、『企業は人なり』というのは、社長次第ということであって、社員のことではない、と解釈するのが、社長としては正しいのである。」といっています。((一倉定の社長学第7巻より)ぼくは、そのとおりだと思っていて、いつも自分に言い聞かせるようにしています。「悪い経営者はいても、悪い会社はない」ということですね。

この大災害にあたりコンサルタントの小宮一慶氏は松下幸之助さんの言葉から「逆境は尊い。しかしまた順境も尊い。要は逆境であれ、順境であれ、その与えられた境涯に素直に生きることである。謙虚の心を忘れぬことである。素直さを失ったとき、逆境は卑屈を生み、順境はうぬぼれを生む。逆境、順境そのいずれをも問わぬ。それはそのときのその人に与えられた一つの運命である。ただ、その境涯に素直に生きるがよい。素直さは人を強く正しく聡明にする。逆境に素直に生き抜いてきた人、順境に素直に伸びてきた人、その道程は異なっても、同じ強さと正しさと聡明さを持つ。」(「道をひらく」より)と、お悔やみの言葉とともに紹介していました。このような状況でも、能登の被災地では強く立ち上がろうとする人がいます。本当に頭が下がる思いです。松下幸之助さんは、前向きであればどんな状況でも道は必ず開けると言います。その言葉を信じて未来に進みたいと思いました。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

育児休業給付 国庫負担「8分の1」に引上げ 財政基盤強化狙う 厚労省案

厚生労働省は、雇用保険の育児休業給付に関する財政基盤を強化するため、現在暫定的に「80分の1」に引き下げている国庫負担割合を、令和6年度から、同法で原則として定める「8分の1」に戻す方針です。

保険料率については、当面の間現行の0.4%を据え置きつつ、7年度から保険財政の状況に応じて弾力的に調整できる仕組みを導入します。規定上の料率を0.5%に引き上げたうえで、実際の保険料率は弾力的に0.4%に引き下げられるようにします。

育児休業給付については、育児休業取得者の増加を受けて支給額が増加傾向にあり、男性育休の取得推進によって今後さらに伸びることが見込まれています。

近年の収支状況をみると、労使から徴収している保険料(労使折半0.4%)と国庫負担(給付費用の80分の1)を合わせた収入額が、令和2年度以降7700億~8000億円弱で推移しているのに対し、令和2年度に6648億円だった支給額は、3年度6656億円、4年度7117億円、5年度7780億円と急増しています。

4年4月以降の雇用保険料率を定めた改正雇用保険法の附則で、「6年度までをめどに、育児休業給付の財源のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは所要の措置を講じる」とされていることを踏まえ、厚労省は、財政基盤の強化策の方向性を労働政策審議会雇用保険部会に提示。昨年12月26日の部会で示した報告書案にも盛り込みました。

◆ニュース

雇保適用「週10時間以上」へ拡大 基本手当の給付制限短縮

 厚生労働省の労働政策審議会雇用保険部会は1月5日、雇用保険制度の見直しに向けた部会報告書をまとめました

 雇用のセーフティネットを広げる観点から、現在、週の所定労働時間が20時間以上の労働者に限定している雇用保険制度の対象者について、10時間以上にまで拡大するべきとしました。新たに対象に加わる労働者も、現行の被保険者と同様に、基本手当のほか、育児休業給付や教育訓練給付などの対象とします。令和10年度中の実施をめざします。

 基本手当については、正当な理由がない自己都合離職者に設定している給付制限期間を、現行の原則2カ月から1カ月に見直します。その際、給付目的の早期離職を防止するため、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職を繰り返す場合は、給付制限期間を3カ月とします。離職期間中や、離職日前1年以内に、自主的に教育訓練を行った場合には、給付制限を解除します。期間短縮と制限解除は、令和7年度からの導入を見込んでいます。

6年度保険料率 10%維持を決定 協会けんぽ

全国健康保険協会(協会けんぽ)は、来年度の全国平均保険料率について、10%の維持を決めました。決算では黒字が続いているものの、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る赤字構造が解消されておらず、中長期的な財政運営の観点から、10%を維持する必要があると判断しています。

平均保険料率については、協会けんぽが平成30年度に「中長期的な観点で考える」とする方針を表明しました。以降方針に変更はなく、単年度収支で黒字が見込まれる場合であっても、料率を引き下げず、準備金残高を積み上げてきました。

維持を決定した運営委員会では、事業主代表から少子化対策支援金の動向を懸念する声が出ました。労使は追加の拠出を求められるため、これまでと同様「中長期的な視点だけで10%を維持するという一点だけではもたない」と強調しています。


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早起きの実践

2024年01月05日

 2024年1月から新しいNISA制度が始まります。通常、株や投資信託の売買で生じた利益には、20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で買った場合、将来どれだけ儲かっても税金がかからないという制度です。最近、モノの値段が上がっています。食品や日用品は言うに及ばず、電気代から通信費、ガソリン代などさまざまな「値上げラッシュ」を日々実感しているところです。原因として、コロナ禍で停滞した経済活動の反動や人手不足が深刻化しているとか、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が上昇しているとか理由はさまざま挙げられています。では、それらの原因が解決したら物価は下がるのかということですが、もう物価は以前の水準には戻らず、さらに上昇し続けると言われます。なぜかというと世界経済はすでに完全なインフレ基調だからだそうです。日銀が1999年に「ゼロ金利政策」を導入して以降、ほぼ一貫して金融緩和政策がとられました。つまり日本はもう30年以上もの間、インフレではない状態が続いてきたわけで、インフレを知っている人はほとんどいません。以前、老後2000万円問題が話題になったこともあって「貯蓄から投資へ」の風潮が強まったことがありましたが、いまだに日本の金融資産約2053兆円のうちの50%超を「現金・預金」が占めています。インフレに強い資産とされる株式や投資信託などは15.4%しかありません。現預金を貯めこんでいる人は、インフレでどんどん貧しくなっていると言われます。というのもインフレではモノの価値が上がる一方でお金の価値が下がるからです。例えば、仮にこの先、年2%のペースで物価上昇が続くとした場合、金庫に2000万円を保管したまま20年後に使うとすると、お金の実質的な価値は約67%にまで減ってしまいます。20年後に現金2000万円はそのままですが、現在の金額に割り戻すと約1346万円となって、約654万円も目減りしてしまうことになります。そもそも、日本の金融政策がおかしいともいえるわけです。昨年暮れに日銀は金融政策会合を開きました。植田総裁が日銀の金融政策について「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになると思っている」と発言していたことから注目されていましたが、日銀は金融緩和策の現状維持を決めました。マイナス金利政策の解除の見極め段階に入ったといわれていますが、次は今年の1月後半の決定会合で判断されるとのことです。金利の上げは経済への影響も大きく慎重にあるべきだと思いますが、早く正常化してもらいたいと思います。

社会教育家の田中真澄氏が、「八起会」の創設者である野口誠一氏について「到知」2023年10月号で話されていました。野口氏は自身の放漫経営で会社を倒産させてしまい塗炭の苦しみを味わった経験について講演などを通して、伝え続けた方だそうです。八起会には、会社を潰さないための五つの指針「八起五則」(早起き、笑顔、素直、感謝、いい出会い)というものがあり、どれもが会社経営をうまくいかせる大切な心得と言われているということですが、その中でも「早起き」が最も重要な習慣であり、松下幸之助氏や稲盛和夫氏の会社はどこも早起きを奨励していたことや「毎朝七時半までに出勤する社長の会社は倒産しない」として、経営者も社員も共に早起きをして、勤勉な生き方を志向することの大切さを訴えているそうです。田中氏は、「最近はグローバリズムの影響からか、勤勉な生き方や早起きを否定する言論もマスコミで散見しますが、こんな意見に惑わされないことです。日本人は昔から勤勉性を重視し、朝早くから真面目に、誠実に働くことを善しとしてきました。この習慣はどんなに時代が変わっても、未来永劫、変わることのない正しいものなのです。」といいます。また、田中氏の受け持つ大学の講座の中で、「卒業して就職したら、最初の一年間だけでもいいから毎朝、職場へ一番に出社し、整理整頓に努め、早め早めに仕事の準備をして能率を上げること。これを心掛ければ、その後の人生でどれだけ得をするか計り知れないものがあるということです。」と伝え続けたそうです。実際にこの話を実践した卒業生が何人もいたそうですが、その採用先の企業からはその働きぶりに感心したと大学側に連絡がたくさんあったそうです。ぼくもいつの間にか早起きが習慣になっていますが、毎朝、家から外へでたときのまだ世の中が動き出していない空気感が大好きです。それに朝早くからの仕事はずいぶんとはかどりますよ。

人生をうまく生きることや会社経営を成功させることに必要なことはワンパターンで決まっていると言う人がいます。そのことに早く気づいて実践することが必要だそうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

応援手当支給へ助成 育休取得時で最大125万円 厚労省

厚生労働省は、育児休業取得者の業務を代替する労働者に“応援手当”を支給する中小企業への助成を拡充しました。両立支援等助成金に新コースを追加する雇用保険法施行規則の改正省令を公布しています。施行は2024年1月1日で、育休中に業務を代替する労働者に手当を支給した場合、育休取得者1人につき最大125万円を支給します。

追加するのは「育休中等業務代替支援コース」です。同コースでは、育休や育児短時間勤務中の業務体制整備のため、業務を代替する労働者への応援手当(業務代替手当)の支給や、代替要員の新規雇用(派遣含む)を実施した中小企業を支援します。

育休中の手当支給に対しては、制度利用者1人当たり、業務体制整備の経費(原則5万円)のほか、手当額の4分の3(最大120万円)を助成します。手当への助成では、1カ月当たり上限10万円で最長12カ月支援します。

時短勤務中に手当を支払う場合は、業務体制整備経費が定額2万円、手当への助成が最大108万円(上限月3万円、子が3歳になるまで)。育休取得者や時短勤務利用者が有期雇用の場合、10万円を加算します。

◆ニュース

新制度「育成就労」創設へ 技能実習を廃止し 有識者会議・最終報告

 外国人技能実習制度と特定技能制度の見直しの検討を進めていた政府の有識者会議は11月30日、最終報告書をまとめ、小泉龍司法務大臣に提出しました。

技能実習について最終報告書は、労働力の需給調整の手段として利用してはならないという基本理念を掲げている一方、実際には実習生が国内企業の貴重な労働力として受け止められてきたと指摘。技能実習制度を廃止し、人材確保と育成を目的とする新たな制度「育成就労」を創設するよう提言しています。

新制度での受入れ分野は特定技能の分野に合わせ、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育成します。

技能実習では原則的に認めていなかった他社への転職については、同一企業で1年を超えて就労するなどの要件を満たした場合に認めます。転職の期間要件に関しては、必要な経過措置を検討するよう政府に求めました。

「推薦なし」理由に昇格差別 役職との差額支払い命令 都労委

東京都労働委員会は、都内の運輸業者が所属長の推薦がないことを理由に組合員2人を未だに昇格させていないのは、組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たると認定しました。平成30年11月末付けで2人を指導員以上の職位に昇格したものとして取り扱い、現在までの賃金額と指導員以上の職位ならば支払われるべき賃金額との差額を支払うよう命じました。

合同労組に加入している組合員2人はトレーラーの運転者で、入社以来20年以上にわたって役職者に昇格することなく、最低位の職位のままでした。会社は組合との団体交渉で、昇格は所属長などからの推薦に基づいて実施しているため、推薦がないと昇格できないと回答していました。

都労委は、昇格に関する手続きを明確に定めた社内規程はなかったと認定しました。全運転者198人のうち、役職者は59人と約3割を占めていますが、推薦によって昇格したのは7人だけでした。一方で、組合員らの所属部署では、勤続18年以上の従業員のなかで、役職者になっていないのは両名のみとなっています。

組合員らに勤務成績が低いなどの役職者に不適任な事実はなく、非組合員との間に不自然な差異が生じていると疑わざるを得ないとしています。推薦という形式的な部分にかこつけて、昇格を回避していたと判断しました。


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