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運を良くする

2021年08月02日

新型コロナウィルスの影響で1年延期された東京オリンピックが開催されました。東京では緊急事態宣言が発出されていて、ほとんどの会場が無観客で競技が行われることになり極めて異例な状況で行われる大会となっていますが、選手たちはそんなことなど全く関係ないように競技に打ち込んでいるように見えます。本当に一流選手の精神力のすごさには驚かされます。

また、最近では大リーグの大谷翔平選手がMBLオールスターゲームで歴史に残る二刀流での活躍にも驚かされました。そんな大谷選手の高校時代に書いた目標達成シートが話題になりました。高校生の大谷選手が、最終的に達成したい目標にドラフト1位指名を8球団から受け、日本のプロ野球に進むこととして、またその目標を達成するためにさらに8つの項目を挙げているのですが、注目したいのはその中に「人間性」と「運」を選んでいることです。体力、技術、精神面での強さは誰でも考えますが、やはり超一流になる人は違うのでしょうね。「運」を手に入れるために大谷選手は、「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「あいさつ」「審判さんへの態度」「本を読む」「応援される人間になる」「プラス思考」「道具を大事に使う」を実行するとしました。「運」の良さは誰もが欲しいと思うものですが、その人の意思や努力ではどうしようもないことだと一般的には考えられていることですね。大谷選手は、自分自身の日頃の行動や態度、ようするに考え方で「運」を引き寄せることが出来ると考えて、そのことを自身が身をもって示してくれているのはスゴイことだと思います。

長年、松下幸之助の薫陶を受けてこられた青年塾の代表である上甲晃氏は月刊誌致知に書いています。「運の良し悪しがどうしたら見極められるのか、私は長年疑問を抱いてきました。ある時、プロ野球の日本ハムファイターズの白井一幸元コーチと玄米酵素の鹿内正孝社長との会話の中に、その答えを得ました。鹿内社長から「運の強い人を先発メンバーに使うそうですが、どうしたら運が強いかが分かるのですか」と質問を受けた白井コーチは、「どんな平凡なゴロを打っても、全力で一塁まで走る人は運が強い」と答えていたのです。どんな平凡なことでも手抜きをしない。これこそが人生の真理だ!とハッとさせられました。」

iPS細胞の山中伸弥教授と稲盛和夫氏の対談でのことです。山中教授が「百メートル走では死に物狂いで全力疾走しますが、それをマラソンであると必ず途中で力尽きてしまう。ですから、いいタイムで完走するためにはペース配分をきちんと考えて、途中で水分や栄養も補給しながら、ペースを乱さずに走り切ることが大切です。実際、体力も走力も高かった二十代の時よりも、いまのほうがマラソンのタイムは速いんです。研究開発もそれと同じで、特に医学の分野では二十年、三十年という長い歳月を要します。途中で息切れしないように、ペース配分を考えて毎日頑張っています。」と話されました。稲盛さんは、「僕は違う。いつも全力疾走だ」「会社経営はマラソンと同じで、全速力で走っては長く続かないと皆さん言いますが、それでは本当の競争にはなりません。会社経営の経験のない素人がちんたら走っていたら、自分では走っているつもりかもしれないけど、全然勝負にならないでしょう。だから僕は、走り切れなくてもいい、最初の数キロだけでも一流選手に伍していこうという思いで、常に全力疾走してきました。周りはいつまで続くかと見ていたのでしょうが、走っているうちにそれが自分の習い性となり、今日まで続いている。最初から全力で走ろうと決めて、必死になって先頭集団に追いつこうと意気込んで走り続けてきたからこそ、実を結んだと思っています。」と話されました。山中教授は「まだまだアマチュアなのだ、勘違いしてはいけない」と思い知らされたというのですが、それもスゴイですね。最近は、こういった話に「昭和だね」という反応を返えす人もいます。ぼくもとてもではないですが、マネすることすら無理だと思っています。ただ、今の社会を良くするために、こういう生き方を貫いている人たちがいるのだということはわかっておくべきなんでしょうね。やはり、自分のためではなく、誰か他人のため社会のために必死の努力を続けられる人は結果をしっかり残すことができるのでしょう。それは、企業経営においても、スポーツにおいても同じことなんだと思います。(月刊誌致知2021.4「特集稲盛和夫に学ぶ人間学」より)

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

厚労省は、過労死等の労災請求事案の労働時間認定に関する質疑応答・事例集を作成し、都道府県労働局労災保険課長に通知しました。過労死等の労災請求事案が増加傾向を示す中、適切な労働時間認定と迅速な労災認定を推進するのが目的です。

事例集では、14個の質疑応答と7つの参考事例を収録しています。質疑応答では、具体的な考え方と併せて、参考となる判例・労働保険審査会裁決も示しました。

持帰り残業や出張先ホテル等での作業に関しては、使用者が作業を義務付けているか否かを評価し、指揮命令下にあったかどうかは関係者への聴取等も踏まえて判断します。

◆ニュース

ワクチン職域接種で手引き 本人の意思確認を

新型コロナウイルスの予防に向け、職域接種がスタートしています(現在は、新規受付一時休止)。厚労省は円滑な推進のため、「職域接種向け手引き」(現在は第2版)を公開しました。

実施に際しては、市町村と委託契約を結んだ医療機関が企業・職域単位でワクチン接種を行います。形態としては、①企業内診療所が実施、➁外部医療機関が企業に出張、③非接種者が外部医療機関に出向く、の3とおりがあります。

 同一会場で2回の接種を済ませることを基本とし、実施企業は、医療機関の確保、申請入力・連絡調整、会場の手配、自治体等との連絡を担う事務局体制を確保することが条件となります。

手引では、正規・非正規等の雇用形態により一律に対象者を区別することは望ましくなく、「接種を受けるかどうかは自ら決定する」という考え方に基づき、強制は避けるように留意を求めました。

5割超の退職金減額は無効 「接待漬け」で諭旨解雇

クラブ接待を繰り返し受けた等として諭旨解雇された元従業員が、退職金の減額は無効と訴えた事件で、東京地方裁判所は「5割を超える減額は無効」と判示しました。

元従業員は、不動産サブリース専門会社の支店勤務で、管理建物の修繕工事等の発注に関する業務上の権限を有していました。

その権限を行使して、業務の受注先を元部下が経営する会社に変更した後、繰り返し高額なクラブで接待を受けました。さらに、元部下に対して、クラブで働く外国人ホステスの在職証明書偽造も頼んでいました。

内部調査で不正が発覚し、会社は諭旨退職処分としましたが、退職金規定に基づき、退職金は全額が不支給となりました。

裁判所は、元従業員の「元部下からの接待は、個人的関係によるもの」という主張は退けましたが、退職金の減額のうち5割を超える部分は無効という判断を示しました。

接待金額が非常に高額とはいえず、偽造証明書も実際に使用されなかった点を踏まえ、「過去の勤続の功をすべて抹消するまでの背信行為といえない」と述べています。


カテゴリー:所長コラム

男性育休の取得義務化

2021年07月01日

イエローハットの創業者である鍵山秀三郎さんがあるところで若い人たちに、「成功のコツは二つある」と話されたそうです。「何だと思われますか?」との質問に対し、会場からいろいろな答えが返ってきましたが、鍵山さんは「コツは二つといったでしょう」と言って「コツコツ」と板書されたそうです。会場ではどっと笑いが起こったようですが、これは笑い話ではなく真面目な人生の真実のようです。松下幸之助さんは、「成功するとは成功するまで続けることだ」と言いました。また、97年の生涯を生きられた仏教詩人の坂村真民さんが生前に「一つのことをコツコツと誠心誠意続けていると、不思議なことが起こってくる」と仰っていたそうです。月刊誌「致知」の編集長である藤尾秀昭さんは「だから、本当にコツコツ、倦まずたゆまず希望をもってやり続けていくと、天地が味方をして、何か不思議なことが起きてくる、というのが私の実感です。」と話していました。ぼくは、先日、たまたま大腸の内視鏡検査する機会があって、診てもらったところまずいポリープが見つかり、早めに切除することが出来ました。ぼくの父親は58歳の時に大腸ガンで亡くなっているので、同じ運命を辿っていたのだと思いますが、なんとかぼくは助けられたようです。これからまだまだ世の中のために一生懸命がんばりなさいと言われたように感じました。(「はじめて読む人のための人間学」藤尾秀昭 致知出版社 より)

オリンピックを前に通常国会は閉会となりましたが、気になるのは労働関係の法改正のことです。厚生労働省は、新型コロナウィルス感染症対策に時間をとられて、これまで大きく進んできた働き方改革はいったんお休みとなっていて、今国会での労働関係の法案提出は、育児介護休業法改正案のみになりました。その内容は、男性の育児休業取得促進のために、子の出生直後の時期に柔軟な取得を可能とする制度の創設が柱になっています。男性社員は、子の出生後8週間以内に4週間まで休業を取得できて、2回までの分割取得が可能になります。それに伴い、この改正で、従来の育児休業も新たに2回までの分割取得が可能となりました。また、休業取得の申出は、現行の「1か月前」よりも短縮して「2週間前」となり、取得しやすくなります。さらに労使協定を締結することにより、新制度の育児休業中に就業することが認められました。男性社員が取得し易くするための配慮ですね。次に企業に対して、妊娠・出産の申出をした労働者に対して、事業主側から制度の周知と休業の取得意向の確認を個別に行うよう義務付けられました。これは男性社員の側から言い出しにくいという状況の解消が目的のようです。従業員数が1000人超の企業に対しては、育児休業の取得の状況についての公表も義務付けとなりました。この法律の施行は、原則として令和4年4月1日となっています。

男性の育児休業を取りやすくするその改正育児介護休業法は成立しましたが、内閣府が公表した数字では、子育て世代の男性で育児休暇を取得しない人が4割を超えているそうです。その調査結果の内容ですが、20~30代の既婚男性に育休の取得予定を聞いたところ「取得しない」42.2%、「取得予定」39.4%となっていて、取得期間については「1週間未満」17.1%、1~2週間未満8.9%、「1か月以上」8.4%の順だそうです。長期の育休を取らない理由は、「職場に迷惑をかけたくない」が最も多くなっていますが、「職場が男性の育休を認めない雰囲気である」などの回答も多く、男性の育休への職場の理解不足が取得への壁になっていることがわかります。内閣府の担当者は、「取得が進まないのは、制度より職場の雰囲気にあり、変えていかなければならない」と強調していますが、一方で、男性労働者が育児休業を取得することは良いと思うが、大企業はともかく、小零細企業では代替要員を確保できないために死活問題となりかねないという意見も多くあるようです。

ただ、男性社員が抜けることと女性社員が抜けることの企業へのダメージは本来、一緒である社会を日本は目指しているのではなかったでしょうか。仕事上、女性よりも男性のほうが、重要なポジションに多く就いているということなんでしょうね。こんなところに日本社会の考え方が垣間見えるように思いました。どうも問題は違うところにあるという見方もできるのではないのかなと感じました。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

総合職で22万円超え 令和4年大卒初任給

インターネット上の求人情報を対象として労働新聞社が実施した調査によると、令和4年3月卒業見込みの大卒初任給は、総合職の平均が初めて22万円を超えた(22万826円)ほか、他の職種も上昇傾向を示しました。

総合職(主として首都圏勤務の全国転勤型。事務・企画・営業系)の集計企業のうち、23%が水準を引き上げ、残りの77%が据置きを選択しています。

技術系は22万3281円で、特に高齢化・人材不足に直面している建設業では、全体の3割強が初任給を増額しました。

このほか、一般職(事務系)は19万1160円、営業職は23万3822円という結果でした。前年調査と比べると伸び幅はほぼ半減していますが、大卒初任給に対する経済停滞の影響は限定的となっています。

国家公務員の定年65歳へ 賃金は60歳前70%に設定

通常国会で、国家公務員の定年の段階的引上げが決まりました。国家公務員法の改正案上程は前年に続き2度目です。前回は検察幹部の特例規定に対する批判により廃案となりましたが、今回は特例部分がカットされています。

令和5年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、13年度に65歳とします。現在、民間企業に対しては「希望者全員65歳まで継続雇用(60歳定年で継続雇用による場合等も可)」が義務付けられていますが、65歳定年は公務員が民間をリードする形になります。

 60歳以降の賃金は当分の間、60歳以前の70%に設定、同時に管理監督職は60歳までとする役職定年制を設けます。13年度までには、給与全体を見直し、賃金カーブを緩やかにする方向で、検討を進めるとしています。

民間企業の定年引上げに関しては、賃金体系がネックとなっています。段階的引上げの間に、人事院がどのような制度設計を提示するのか注目されるところです。

なお、今国会では、改正育介法、改正健保法も成立しました。

雇保料率の引上げを 財務省審議会が意見

雇用保険料率は平成29年度以降、5年連続で1000分の9という低水準で据え置かれています。一方、新型コロナウイルスによる失業防止のため雇用調整助成金の支出が3兆円を超えるなど、財政状況がひっ迫しています。

財務省の財政制度等審議会は、この問題について「まずは保険料引上げによる対応が検討されるべき」という意見を表明しました。

現在の雇用保険料率は本則ではなく、附則により「時限的」に引き下げられています。附則の期限(令和2年度に一度延長)は令和3年度末までとなっているので、令和4年度以降の対応は、今年度末に労働政策審議会で議論する方針です。

ただし、雇用保険財政の悪化は、上記とは別に国庫負担を軽減する特例(平成19年度から実施)によるという指摘もあり、議論は曲折が予想されます。


カテゴリー:所長コラム

国家公務員の定年引上げ

2021年06月01日

最近、よく「他の会社は、定年年齢をいくつにしてるの?やっぱり引き上げる傾向にあるの?」と聞かれます。今年の4月から改正高年齢者雇用安定法が施行されて、70歳までの就業機会の確保が努力義務化されました。現行の高年齢者雇用安定法が全員の雇用を義務付けているのは65歳までとなっています。以前にもお伝えしましたが、従業員の60歳定年制としている事業主は、さらにその労働者を65歳まで雇用する義務に加えて、65歳から70歳までについて就業機会を確保するための措置を講ずる努力義務を負うことになっています。

そもそもの定年年齢を何歳にしたらよいのか、また60歳以降の賃金などの労働条件をどのように決定したらよいかと悩む会社がとても多いようです。そういった中で、政府は4月に「国家公務員法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。この改正法案には、国家公務員の定年年齢を段階的に65歳へ引き上げることなどが盛り込まれており、民間企業での労働条件を決める際に参考になるのではないかと思いました。

まず、定年年齢ですが令和5年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、13年度には65歳に達して引上げの完成形となります。そして、60歳以降の賃金は当分の間、60歳以前の70%に設定することにしています。次に組織活力を維持するために、管理監督職の職員に対して役職定年制(60歳まで)の導入も行われました。また、65歳定年制の導入にあたって高齢期における多様な職業生活設計の支援も行われることになっていて、60歳以後定年前に退職した者の退職手当は、定年前の退職を選択した職員に不利にならないよう、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当の額を算定することとし、あわせて60歳以後定年前に退職した職員については、本人の希望により、いったん退職した後に、短時間勤務者として採用することができる定年前再任用短時間勤務制が導入されています。

民間企業においては先ほどの65歳までの雇用確保措置の義務化と70歳までの就業確保措置の努力義務化が決められています。その現状として、厚労省の2020年「高年齢者の雇用状況」集計結果によると、高年齢者雇用確保措置の実施状況については、65歳までの雇用確保措置のある企業は計99.9%に達していますが、65歳定年企業は18.4%にとどまります。国家公務員での調査によると、できるだけ長く働きたいと回答される者も多くいて、官民にかかわらず高齢期の賃金と老齢年金での生活に不安を抱えているということのようです。民間企業においては今後の定年の引上げに当たって賃金水準や退職金制度の再設計をどうするかということが一番のネックになりそうです。公務員は70%の水準に見直すということになりましたが、民間企業においては、仕事内容に全く変更がないまま賃金だけが下がっているケースも多く見受けられ、同一労働同一賃金との整合性を検討する必要もありそうです。

今、国が対応を求められている高齢期の問題ですが、まずは目の前に団塊の世代の全ての人が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」があります。これは医療・介護費の急増が問題になるということで、すでに消費増税がなされています。そして、この先には「2040年問題」への対応が急を要するといわれています。2040年は、団塊ジュニア世代(昭和46年から昭和49年生まれ)が、65歳以上の高齢期に入るため、65歳以上の高齢者人口がピークとなり、その人口は、約4000万人に達すると推定されています。どのような社会になるかというと、2040年の現役世代の人口は約6000万人となるので、1人の高齢者を1.5人(ほぼ1人)の現役世代で支えることになります。いわゆる「肩車」っていう状態ですね。

コロナ禍の影響で少子化が一気に進み、2021年の出生数が過去最少を更新して、戦後初めて80万人を割り込む可能性があるそうです。日本の人口構造は、生産年齢人口や労働力人口の減少の問題をこれからも抱え続けることになりますが、それは現役世代の負担を意味します。少子高齢化で若者世代の減少が止まらないのであれば、いつまでは働きたいという希望なんて関係なく、高齢者が支え続けなければならないのでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

「無期転換ルール」見直しへ 不当な抑制策の規制検討

無期転換ルールは、平成24年改正労契法で創設されました。その際、附則により「施行後8年を経過した場合」、見直しの要否を検討する旨定められていました。

これを受け、厚労省では、検討会を設け、改正に向けた議論を開始しました。労契法18条では、有期労働契約期間が通算5年を超えると、労働者に無期転換申込権が生じるとしています。

しかし、通算期間が法定条件を満たしても、権利の行使をためらう(あるいは、よく理解していない)労働者も少なくありません。

一方、企業側についても、契約の回数・期間に制限を設けたり、クーリング期間を挟み込んだりする等により、転換申込みの抑制対策を講じるケースが散見されます。

検討会では、無期転換をバックアップするため、阻害要因の洗い出しや、対策の検討を進めます。併せて、「多様な正社員制度」をめぐるトラブル防止策等についても、提言を行う予定です。

拡大続く「営業秘密持出し」 警察庁の検挙件数

警察庁の統計によると、営業秘密の不正持出しの件数は、昨年1年間で22事件38人に上り、過去最高を更新しました。

検挙事件数は、平成26年が11件、27年が12件、28~30年が18件、令和元年が21件と、増加傾向が続いています。

昨年発生した事案では、人材ビジネス会社で派遣労働者の情報ファイルを複製し、営業秘密を不正に取得したとして、3人の元従業員が逮捕されています。

営業秘密の漏えいは不正競争防止法の規制対象ですが、平成27年の法改正で罰則等が強化され、違反者(個人)には10年以下の懲役または2000万円以下の罰金が科されます。

賞与の変動枠を6割に 70歳までの就労確保

ダイキン工業㈱は、再雇用制度を拡充し、希望者全員を70歳まで継続雇用する制度を整備しました。これに合わせ、賃金制度も仕事内容を評価する仕組みに転換しています。

公的年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられていることを踏まえ、65歳未満と65歳以上に分けて、制度設計がなされています。標準年収としては、従来制度の水準を維持しつつ、賞与に重点を置いて成果配分する点が特色です。

目標に対する成果をA・B・C・標準の4段階で相対評価し、Aでは1.6倍、Bでは1.3倍相当の賞与額を支給します。

2018年から労使間で協議している65歳への定年延長については、今後も検討を続ける方針です。


カテゴリー:所長コラム

時代の移り変わり

2021年05月06日

あるテレビ番組を見ていたところ、視聴者からの投稿で、4歳の娘が板チョコレートを片手に持ち、それを耳に当てて電話ゴッコをしているのを見た父親が「〇〇ちゃん、電話ならこっちのバナナのほうがいいんじゃない?」と声をかけたところ、訝しげな顔をされたそうです。お父さんは、固定電話の受話器をイメージしていたのですが、その○○ちゃんにとっての電話というのはスマートフォンだったんです。よくおじさんが、片手の親指と小指を広げて電話しているポーズをとっている様子をみることがありますが、すでに時代遅れだったようです。今の子供にとっての電話は「板チョコ」だったんですね。時代はどんどん変わっているようです。

以前から「週休3日制」が議論されるようになっています。これまでは、時間が短くなる分、給与が減るのが一般的ですが、給与を減らさない場合には、1日10時間働くことになるので、なかなか制度の導入はすすまなかったように思います。その週休3日制ですが、政府・自民党内で導入論が浮上してきているようです。自民党1億総活躍推進本部は、希望に応じて週休3日を選べる「選択的週休3日制」の普及を目指しているそうです。休日を増やすことが、育児・介護との両立や、地方での副業など多様な勤務形態の後押しになると指摘しています。提言案は政府に提出されるそうですが、政府としては、人件費抑制を目的とした導入をどう防止できるかが課題で、利点としては「日常とは異なる経験が個人の活躍や能力発揮に役立つと提唱しています。そして、週休3日制を安定した雇用と組み合わせることで幸福感や所得の向上が可能となり、社会の安定につながる」としています。少し理解に苦しみますが、ぼくの頭の中もまた時代遅れなのでしょうね。

先日、未払残業代の訴訟について弁護士さんとお話をする機会がありました。何回か法律事務所が未払の残業代について訴えてくるといったことを書いたことがありますが、だんだんと訴訟が増えてきていると話されてました。あと、弁護士が突いてくるポイントも決まっているそうなので、取り上げてみます。まずは、変形労働時間制を導入している会社は要注意です。たとえば、1年単位の変形労働時間制をとる場合には、就業規則にその旨を規定し、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定を労働基準監督署に届け出なければなりません。変形労働時間制は、変形期間の働き方が特定されているということが必要です。そこで、求められるのは、所定労働時間、休憩、休日について変形労働時間制を定める規定の中に書いてあることです。弁護士さんがいうには、規定が不十分で、裁判になると変形労働時間制が、否認されるケースがとても多いということだそうです。労働基準監督署が認めている手続きがとられている場合であってもです。裁判になると、一般的な書籍に載っている規定の仕方では対応できないということですので、十分に注意をすることが必要です。

変形労働時間制が否定されると、残業時間が原則通りに計算されるので、大幅に残業時間が増えることになります。あと、ポイントになるのは変形労働時間制の協定書が社内で周知されているかどうか、協定書の従業員代表が民主的な方法で選任されているかどうかといったところです。

また、固定残業手当を支給している場合も注意が必要です。固定残業手当は、毎月決まった時間数の残業代を支払うものです。月の残業時間数が、その決めた時間数に満たなくても支払う手当ですが、その時間を超えてしまった場合には追加して支払うことが求められます。その差額が支払われていなかった場合や含まれている残業時間数が労働条件通知書などによって明示されていない場合は、固定残業手当は認められず、残業代の支払いを命令されます。

通勤手当、家族手当や住宅手当など、残業代の単価を算出する場合に除かれる手当があります。しかし、なんの条件も設けずに、たとえば通勤距離に関係なく一律に同じ金額を通勤手当として支給している場合などは、除くことはできないので、残業代の再計算を命じられます。

これらのことは、以前は認められてきたようなことなので、意外と多くの会社で見られることです。しかし、今では裁判になった場合に、確実に会社が負けてしまうことになるので、早めの対応が必要です。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

「賃上げの流れ」は維持 2021春季労使交渉

春季労使交渉の集中回答日となった3月17日、先行する大手企業では、回答を得た51組合がすべて賃金構造維持分を確保しました。

金属労協の高倉明議長は、「8年連続となった賃上げの流れを継続できた」と総括しました。中小製造業の組合が多くを占めるJAMでも、「大手追従から脱却の流れ」を評価しています。

4月5日時点で連合がまとめた集計結果(2136組合)では、平均賃金方式での定昇相当込み賃上げ額・率は5463円・1.82%(前年比298円・0.12ポイント減)という状況です。

300人未満の中小組合(1369組合)は4639円・1.84%(同169円減・0.09ポイント減)で、率では全体を上回る健闘ぶりです。

「偽装一人親方」を排除へ 労働者性あり2割

国土交通省は、一人親方問題に関する中間とりまとめ案を明らかにしました。「社会保険の加入逃れ」などの不正防止のため、下請ガイドラインを改正する方針です。

実態が雇用形態であることが明らかな技能者を一人親方として取り扱う企業は、下請け企業に選定しないなど規制を強化します。

不適正な例として、①実務経験年数が10年以上なく、建設キャリアアップシステムのレベル3相当以上の技量のない20歳台労働者、➁特定会社に専属従事し、始・終業時刻を指定され、具体的な指揮命令を受けている個人事業主等を例示しました。

防止策として、元請企業に対し、現場入場時のチェックリスト活用、ヒアリング等の実施を求めるとしています。

JILPT(労働政策研究・研修機構)は、過去に「労働者性」が問題となった事案を分析した結果、22.1%で個人事業主に該当しないという研究結果を公表しています。

◆監督指導動向

休業装い不正受給 雇調金の新型コロナ特例 秋田労働局

秋田労働局は、新型コロナ特例の雇用調整助成金を不正受給した事業主名を公表しました。

特例では、助成率や支給上限額を引き上げるほか、通常は休業を実施する前に提出する計画届を不要とするなど、事業主に対するサポートを手厚くしています。

3月31日時点で、雇調金の支給額は全国で3兆1579億円、支給決定件数307万8648件に上っています。

不正はそうした中で発覚したもので、公表対象となった宿泊業者は、実際は勤務していた労働者を休業と偽って水増し申請をしていました。受給した助成金の総額は545万円余で、一部は既に返還されているとのことです。


カテゴリー:所長コラム

デジタル社会の生き方

2021年04月01日

ぼくが大学を卒業後に入社した生命保険会社で同期だった友人が転勤で3年前に金沢支社に赴任してきましたが、この3月に埼玉県のほうに転勤することになりました。懐かしくも楽しい3年間でしたが、最後に二人で送別会をしたときに「最近は、保険の販売に対するノルマがなくなったんだよ。営業職員の新規採用の人数も制限してんだよ。会社は経営方針を変えてきているんだけど“CX”って知ってるか?」

ぼくが勤めていた頃は、保険の販売と採用の2つのノルマが毎月あって、その2回のノルマ達成に本当にシンドイ思いをしていたわけですが、そのノルマが本当になくなったというんです。そして、その後に経営戦略の中心に据えたのが「CX(カスタマー・エクスピアリエンス)」という考え方だそうです。簡単に言うと、生命保険に加入してもらうことを企業利益と考えず、顧客が、保険の加入を考えたときに自社を選んでもらえることこそを企業利益とするのだそうです。保険の販売時や販売後のアフターサービスなどの過程を通じて企業価値の訴求を重視するという意味なのだそうです。今、このCXという概念は大企業を中心に広まっているようです。ただ、この友人に「意味分かってる?」って聞くと「何をしていいのかわからないよ。」と笑っていました。以前、日本製の携帯電話を、ガラパゴス化しているという意味で「ガラケー」と言ったことがありました。一橋大学の神岡教授は、「顧客視点に立って、本当に顧客にとって価値があることは何かを考えることがCXの基本となります。細分化されたサービスがあれば、その個々ではなく全体としてのサービスで評価することが重要です。」と保険業界に対して提言をしています。自社の商品、サービスがどういったものかを顧客に提示することが大切なのではなく、その商品、サービスを利用することで顧客の生活がいかに豊かになるかを顧客自身に経験してもらうことのほうが大切だということなんでしょうね。また、神岡教授は航空会社を例にあげて顧客視点に立つことの実践について話しています。「ある航空会社は定刻到着率の高さをアピールしています。しかし、顧客の立場では、定刻に着陸することに、あまり意味はありません。むしろゲートに何時に着くのかが重要ですよね。着陸後の滑走路で機内に30分待たされることもあるので、着陸した時刻ではなく飛行機から降りた時刻が大切なわけです。つまり、顧客が何を経験したかを見ずに、我社はこれだけ上手くやりましただけでは、真の顧客視点に立ったことにはならないのです。」

デジタル改革関連法関係等6法案が2月9日閣議決定され、現在、令和3年9月1日施行に向けて国会で審議されています。この法案の概要は、IT基本法を廃止して、デジタル社会形成の基本方針などを定めたデジタル社会形成基本法を制定することで、デジタル庁を日本の官民のデジタル化を牽引する司令塔とすることになります。菅首相は、「誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができる、世界に遜色のないデジタル化を実現したい」と衆院本会議で強調しました。課題は多いようですが、日本のデジタル化に多いに期待したいです。

これから社会の進むスピードがこれまで以上に速くなっていきます。20世紀に比べると、21世紀は情報量だけでも1万倍になっているそうです。18世紀に生きた一人の人間が、生涯を通じて得ていた情報量は、現代人に換算すると、朝刊1週間分程度だそうです。もちろん情報の質も全く違います。

こんな話があります。「一頭のカバが川を渡っているときに自分の片方の目を川に落としました。カバは周囲を必死になって探しました。カバの激しい動きが周囲の水を濁らせました。そのため目の行方はわからず、見つかりません。川岸にいる鳥や動物が、カバに向かって『少し休んだほうがいい』と助言しますがカバは言うことを聞きません。目を亡くしたくないカバは、休むことなく一心不乱に目を探し続け、ついに疲れ果ててその場に座り込んでしまいました。カバが動きまわるのをやめると、川は静寂をとり戻し、カバがかき回して濁らせていた水は泥が沈み透き通って見えるようになったのです。こうしてカバは自分の目を見つけることができました。」( 参照 「座右の寓話」著 戸田智弘)人は何も考えずにぼんやりしているときにこそ、ひらめきが降りてくるという話があるそうです。ひらめきという訪問者は、忙しい人を嫌い、ぼんやりしている人を好むそうです。人はずっと走り続けることは良いことではなく、出来ることでもないので、しばらく走ったら休息をとり、自分の走りを見直すのが賢明だそうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

「カスハラ」でマニュアル作成へ 省庁連携し対応策示す

厚労省は、「顧客からの著しい迷惑行為」に関する防止対策の推進に向け、関係省庁横断的な連携会議をスタートさせました。  

対象となるのは、カスタマーハラスメントやクレイマーハラスメント(顧客・消費者・取引先からの悪質なクレームや不当な要求)です。

連携会議には、厚労省のほか、経済産業省、国土交通省、農林水産省に加え、オブザーバーとして法務省、警察庁も参加します。

仕事上で接する顧客等には、会社の就業規則の適用がないため、効果的な対策を取るのは困難です。一方で、企業は労働契約締結に伴い、安全配慮義務が生じ、外部からの迷惑行為についても、労働者の心身の健康確保が求められます。

会議では、職場のパワーハラスメントとの相違点を踏まえた実態調査を踏まえ、令和3年度中にマニュアルをまとめる方針です。

部下の過労死で重過失 取締役に賠償命令

従業員の遺族が脳出血による死亡は長時間労働が原因と訴えた事案で、東京高等裁判所は会社と取締役に2355万円の賠償金支払いを命じました。

営業技術係長だった従業員は、自宅トイレ内で倒れ、搬送先の病院で死亡しました。発症1カ月前の時間外労働は85時間、2カ月前は月111時間など、残業が続く中での脳疾患死です。

争点は、会社の安全配慮義務違反のほか、取締役の賠償責任です。会社法429条1項では、「役員は、重過失によって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。

判決によると、「直属の取締役は、過労死の危険性を容易に認識できたにもかかわらず、『他の従業員に代わってもらうよう声がけする』等のほか、業務量を減らす実効性ある措置を講じていなかった」と述べ、重過失があったと認定しました。

一方、本社常駐の社長・会長については、遠隔地にある支社の増員検討等には一定の時間が必要であったとし、賠償責任を否定しました。

全国どこでも「居住地不問」 テレワーク化で可能に

転職サービス業のパーソルキャリア㈱は、令和3年4月から、居住地を問わない「フルリモートワーク制度」を順次導入します。

所属長への申請・許可を得て、「原則出社なし」の働き方に移行しますが、その後は住む場所を問いません。

介護のため帰郷したり、配偶者の転勤で引っ越したりしても、当初の所属・業務に変わりありません。ただし、全国に30ある拠点のいずれかに片道2時間程度で出社できることが条件となります。

従来は東京勤務が前提だったエンジニアなどの職種に、転居せずに挑戦することもできます。全社員5500人のうち、職業紹介に従事しない2000人を対象とします。


カテゴリー:所長コラム



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