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上がりつづける最低賃金

2025年10月01日

最近は、悩みのある小中学生はAIに相談するそうですね。カウンセラー会社(ZIAI東京都渋谷区)の調査によると、人間のカウンセラーよりも、AIカウンセラーのほうに人気があって、AIカウンセラーを利用した子どもの相談件数は人間のカウンセラーよりも10倍以上も多く、さらに満足度についても9割を超えたそうです。「先生や家族に言えないことも、AIになら簡単に言える」「相談しても、誰にもばらされないから」「人相手よりも自分の気持ちを素直に伝えられた」「どんなお話でも、お悩みでも、最後までしっかりと聞いてくれて、親しみやすくて、時には解決してくれるから!」と感想が寄せられたそうです。驚くことに自殺防止の相談電話もAIが受けているという話を聞きましたが、感情をもたない相手への相談なんて、ぼくにはとてもじゃないですが理解できることではないです。

 2025年の最低賃金が出そろいました。今回の改定で初めて47都道府県の全てで1000円を超え、東京の1226円が最も高くなり、高知、宮崎、沖縄の1023円が最も低くなりました。国が示した引き上げの目安に上乗せして最低賃金額を決定するケースも多く、最大の引き上げ幅となったのは国の目安の64円に18円を上乗せして82円とした熊本です。これまでは東北、北陸、四国、九州はすべての県が1000円に達しておらず、最も低い秋田県は951円で、1000円以上になるには大幅な引上げが必要なので注目されていましたが、秋田が決定した額は、なんと1031円で、県内世論の後押しで国が示した目安を16円も上回る引き上げとしました。その結果、鳥取を1円上回り、最下位から抜け出したということです。そして、その3日後には後を追うように隣の952円の岩手が同じ1031円にすると決めています。ただし、最低賃金の発効日は来年3月31日としてできるだけ影響が小さくなるよう遅らせる配慮もみせています。2010年代は全国で見ても最低賃金は国の目安に上乗せしても数円程度で、5円を超えることはほぼなく、発効日も10月1日が多かったわけですが、この秋田の年度末とした発効日は半世紀ぶりとなるそうです。昨年はワースト2位の徳島県で現状に危機感をもった知事が「全国で下から2番目の最低賃金では人材の県外流出が止まらない」として関係先に働きかけを行い、84円もの過去最大の引き上げで980円として全国27位に躍進したことが話題となりましたが、まるで全国での「脱・最下位」競争のような様相を呈しています。最低賃金の大幅な引き上げは地域間の賃金格差を是正して人口流出に歯止めをかける狙いがありますが、当然に会社経営に与えるダメージは大きいわけで、岩手県の審議会では使用者側の委員5人全員が退席した中で答申が決まるという事態になりました。この30年間に賃上げをしてこなかったツケがまわってきたということなのでしょうけれど、これまでの人件費の低さのため、本来なら機械化すべき場合でも人手に頼るなど、企業は生産性を上げる努力を怠ってきたともいえるわけです。そのため日本の失業率が海外に比べて極めて低いという意見もあるくらいです。

従業員の退職が影響した「従業員退職型」の倒産が、2024年に過去最多の87件に達したそうです。労働力人口の減少による人手不足の影響が広がっていますが、これからは「賃上げ難倒産」が増えるのではないかと言われています。政府は「最低賃金時給1500円を2020年代中に実現する。」と発表しています。インターネットでの買い物ができる時代において、地方が都市部よりも物価が安く、生活費も安く済むなんていうことは昔の考えなので、地方での賃上げが今よりも過熱することになってもおかしくないことになります。賃上げしたくても収益力が乏しい中小零細企業は数多くありますが、「待遇改善しないことのリスク」がそういった企業を中心に急速に広まっているといわれます。ただ、先ほどの岩手での審議会で途中退席した使用者側委員のひとりは最低賃金の大幅アップについて「納得以前に理解できない」と言葉を残したそうです。時代の変化なのか、どうもよく理解できないことが世の中にあふれ始めているようです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

最賃平均1121円に 過去最大の66円引上げ 答申結果

 厚生労働省は、全国すべての地方最低賃金審議会で令和7年度の地域別最低賃金の改定額を答申したと発表しました。47都道府県の引上げ額は63~82円で、改定後の全国加重平均額は66円(6.3%)上昇して1121円になります。上昇額は5年連続で過去最大となり、39県で中央最低賃金審議会が示した「目安」を上回りました。

改定後の最高額は東京の1226円で、最低額は高知、宮崎、沖縄の1023円となります。最高・最低額の差は現在の212円から203円に縮まり、最高額に対する最低額の比率も81.8%だったものが83.4%に高まるなど、地域間格差が縮小します。

ストレスチェックの義務拡大で 手引き作成に着手 厚労省

労働安全衛生法の改正によりストレスチェックの実施義務が労働者50人未満の事業場まで拡大することを受け、厚生労働省が小規模事業場向けのマニュアルの作成に乗り出しました。

メンタルヘルス対策に関する有識者検討会の下に設置するワーキンググループで、今年11月ごろまで50人未満の事業場に適したストレスチェックの実施方法について検討します。その後、有識者検討会や労働政策審議会安全衛生分科会での議論を経て、今年度末~来年度初めをめどにマニュアルを公表し、周知を進める方針です。

ワーキンググループでは、ストレスチェックの実施を外部委託する際の事業者のかかわり方や委託先の選定方法のほか、労働者が安心して面接指導の申出をできる環境整備のあり方などを論点とします。労働者のプライバシー保護の観点に留意した集団分析・職場環境改善の取組みについても検討します。

ストレスチェックに関する改正は、令和10年5月までに施行されます。

求人票の書き方助言 外国人材活用を積極化 東京労働局

 東京労働局は、人手不足に悩む企業に対し、外国人活用を積極的に働き掛けていきます。求人に応募が来ない事業所に対し、ハローワークから「〇〇国籍の方が活躍中」といった、外国人求職者の目を惹くような求人票の書き方を指南します。

 同労働局管内では、在留資格「留学」の外国人が就労ビザに移行するほか、資格外活動を行うケースを中心に、外国人の求職申込みが増えています。今年6月に開いた留学生対象の合同就職面接会には、例年の3倍近い2700人が集まりました。

 同労働局職業対策課は、「日本で働きたい外国人と、人手不足の企業とが、うまくマッチしてほしい」と話します。応募が集まらない企業や外国人受入れに興味がある企業に対し、外国人の応募が増えるよう支援します。具体的には、事業所の状況やニーズを拾いながら、「〇〇国籍の方が〇人勤務しています」、「海外で活躍できる人材を募集します」などの文言を求人票に盛り込むようアドバイスします。

 外国人雇用に障壁を感じる企業には、「外国人雇用管理アドバイザー」の活用を勧めます。アドバイザーは、都道府県労働局ごとに設置されており、同労働局では、社会保険労務士や出入国管理機関の出身者など3人が担当しています。外国人から需要の高い一時帰国への対応、文化への配慮など、専門的な助言を行っていきます。


カテゴリー:所長コラム


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