人事・労務のエキスパート、石川県金沢市の社会保険労務士法人 末正事務所。人事・労務管理相談、社会保険労働保険手続き、紛争解決、組織活性、給与計算、人材適正検査まで、フルサポートします。

seminar

seminar

contact

ブログ

社会保険の調査にて

2022年09月01日

夏の甲子園大会が終わりましたね。今大会は、大阪桐蔭高校の春夏連覇に注目が集まりましたが、準々決勝で敗れてしまいました。どう見ても強すぎるので、「あれだけの選手を集めれば勝って当たり前」と言われ、完全に今大会のヒール役となっていたように思います。こんな「憎らしいほど強い」チームに育て上げた西谷監督はどういう人物なのでしょうか。

西谷監督は23歳で大阪桐蔭高校に赴任し、その当時の校長先生から「教えられる教師はたくさんいるけど、育てられる教師は少ない」という言葉があり、勉強や野球の技術を教えるだけでなく、子供たちを成長させるために信頼関係を大事にしたそうです。子どもたちから「この人の言うことなら間違いない」と思ってもらえる存在になることが必要だと思い、一人ひとりといかにコミュニケーションを取るか、つまり話を聴くかが重要だと考えたそうです。そんな西谷監督も、かつては子どもの言動を否定し、一方的に自分の意見を伝え、延々と説教をするようなダメ先生だったそうです。32歳のときに部内で不祥事があり半年くらいグランドに出られなかった時期があり、そのことをきっかけに指導者としてのあり方を勉強し直したそうです。また、もう一つ、監督として心掛けていることがあると言います。それは、「日本一」という言葉を日々の練習の中で使い続けているそうで、一日に最低十回は「日本一」を口にしているそうです。日本一と言ったから日本一になれるわけではないけれど、意図的に繰り返すことで、本気で日本一を目指す風土が醸成されていくのだそうです。「指導者が常日頃どのような態度で子どもたちと接し、どのような言葉を発しているか。それによってチームの成長、勝負の分かれ目が決まる。」西谷監督の二十年もの監督経験からの実感だということです。(「1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書」致知出版社より)しっかりと目的や存在意義を明確にして、トップの「志」を組織に浸透させることで、目標が達成されます。高校野球も会社経営と同じなんですね。

先日、弊社のお客様の会社に年金事務所の社会保険の調査がありました。その際に永年勤続表彰制度により対象となった社員に支給された祝金が賞与にあたると指摘されることがありました。結果として追加で社会保険料の支払いを求められることになったわけですが、こういった動きは全国であるらしく、他県の社会保険労務士の情報では、福祉関係の事業所で通常の給与として支払っていた年末年始手当が賞与であるとされた事例もあるそうです。具体的には、12/30~1/3の間に出勤した場合に、1日5,000円の年末年始手当を支給していたところ、それが賞与だと指摘を受け、賞与支払届の提出をすることになったそうです。

社会保険における報酬は、「賃金、給料、手当、賞与などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものをいい、金銭(通貨)に限らず現物で支給されるものも含む。」となっていて、報酬に該当しないものとして大入袋、見舞金、退職手当、交際費、慶弔費などがあります。そういったことからすると、祝金も報酬に該当しないものに含まれるように思われます。これまで、永年勤続表彰の祝金や年末年始手当については、賞与になるとは思いもしなかったというのが正直なところですが、どうも今後はそういうわけにいかないようです。

弊社のお客様の永年勤続表彰の祝金の件について、日本年金機構本部やいろんな年金事務所の調査担当者の方に話をうかがわせていただいたところ、基本的には“賞与になる”というのがぼくの感じたところです。ただ、あくまでもその一時的に支払われたお金が、「労務の対償」ではなく、「福利厚生」であると事業所が主張した場合、ある担当者からは、お祝金が社員及びその家族に対する福利厚生目的であることを規定に定めたうえで、福利厚生費で会計処理がなされていれば、賞与にはならないという回答もありました。しかし、絶対にこうだとは言い切れないように思います。年金事務所として明確な基準を持っていないようなので、各年金事務所の担当者の判断次第ということになりそうです。また、その他にも勤続手当、資格合格手当、バースデーギフト、社長賞などが「賞与」とされた事例があるということです。通常の給与以外に、額の多少にかかわらず、一時的な手当を支給するときは注意が必要ですね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

● 最新・行政の動き

厚労省は、精神障害に関する労災認定請求の大幅増加を受けて、認定基準の見直しに向けた検討を進めています。認定基準全般を検証し、より迅速・的確に心理的負荷を評価できるようにするのが狙いです

厚労省は、見直しに向けて議論している有識者検討会に対し、業務による心理的負荷につながる具体的出来事を記載した「評価表」の見直し案(たたき台)を提示。現行の評価表において、上司とのトラブルや、同僚等からの暴行または(ひどい)いじめ・嫌がらせなどを具体的出来事として示している「対人関係」に関する項目として、カスタマーハラスメントを追加するとしました

カスハラに関する具体的な項目として、「顧客や取引先、施設利用者等から(著しい)迷惑行為を受けた」を盛り込みます。迷惑行為の例には、暴行、脅迫、暴言のほか、著しく不当な要求を挙げる方針です。

また、最近の職場環境の変化を踏まえ、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務への従事」も具体的出来事に追加する考えです。

● 調 査

「いじめ」相談9%増 民事上の個別労働紛争

厚労省は、令和3年度の個別労働紛争解決制度の実施状況をまとめました。民事上の個別労働紛争の相談が増加しており、相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が10年連続でトップになっています。

法制度の問合せも含め、全国の「総合労働相談コーナー」に寄せられた労働相談は124万2579件で、前年度比3.7%減少。このうち民事上の個別労働紛争は28万4139件で、同1.9%増加しました。

都道府県労働局長が行う助言・指導の申出は同7.1%減の8484件、紛争調整委員会のあっせん委員が仲介するあっせん申請は同11.6%減の3760件でした。

紛争内容では、民事上の紛争の相談、助言・指導申出、あっせん申請のすべてで「いじめ・嫌がらせ」が最多。いじめ・嫌がらせ関連は、相談が同8.6%増の8万6034件で、相談全体の約4分の1を占めました。助言・指導申出は7.8%減の1689件、あっせん申請は7.1%減の1172件でした。

【新米新米社労士 越田のつぶやき】

最近、中学卒業以来会っていなかった友達と10年ぶりぐらいにご飯に行く機会がありました。

その友達とは、中学時代は部活や漫画の話ばかりしていました。しかし先日ご飯にいった際には、

自然と仕事や結婚の話をしていました。その時のことを振り返ると、生意気ながら自分も少しは

大人になったなあと感じました。仕事においてもそう感じる日がくるといいのですが、恥ずかし

ながらまだまだだなあと感じる日々です。


カテゴリー:所長コラム

男女共同参画白書

2022年08月01日

先日、新潟に行った際に、全国でも希少な眼病に効くという奥湯沢の貝掛温泉というのがあると聞いたので立ち寄ってみました。“目薬の湯”といわれていて、温泉の泉質は、ロート製薬の目薬の成分とほぼ同じだそうです。簡単に言うと、目薬の中に浸かるような感じです。ここの温泉は、白内障や眼底出血などの病気によく効くらしく、温泉の湯口で目を洗う人もたくさんいました。100%源泉かけ流しで加温なしのぬる湯なので、長い時間入っていられるし、湯に顔をつけて目をパチパチしてみると気持ちよかったです。上杉謙信の隠し湯としても知られる歴史ある秘湯だそうなので、おススメです。

政府は、2022年版の男女共同参画白書を閣議決定しました。その中で、未婚や事実婚など人生や家族の姿が多様化したことを「もはや昭和ではない」と表現しました。「さまざまな政策や制度が高度成長期のまま」だとも書いてあります。内閣府が21年12月~22年1月に行った調査結果によると、30歳時点の未婚女性の割合は1980年の11.3%から2020年に40.5%へ上昇しています。婚姻歴のない30代男女の4人に1人は結婚願望がないと答えています。また、共働き世帯は、1985年の718万世帯から2021年には1177万世帯に増加し、専業主婦世帯は936万世帯から458万世帯に半減しています。

離婚件数は年間およそ20万件で「女性にとってもはや結婚は永久就職先ではなくなった」と記載され、「女性の経済的自立を可能にする環境整備」が重要だといわれています。白書は妻が仕事を抑制したほうが税負担は減る「配偶者控除」などにふれていて、女性が就業調整しないよう「さらなる取り組みが必要だ」と記しています。

ただ、「永久就職はもはや過去のもの」と最近では使われなくなった昭和の死語を、なぜいまさら公の文書で引き合いに出したのかと疑問の声もあります。また、「永久就職」という言葉は、「夫は仕事、妻は家事育児」という性別役割分担が社会に出来上がっていた時代に、家庭や夫を「会社」に見立てて、女性が良い相手を見つければ生涯、不自由なく暮らしていけるというたとえです。終身雇用制のもとで、安定した経済成長のもとだからこそ成り立つ話です。こういった時代に形作られたのが、「専業主婦モデル」という考え方で、制度の代表例が、1961年創設の「配偶者控除」と、1985年の「第3号被保険者」の仕組です。(参照:政経週報 卒・昭和の覚悟)この「専業主婦モデル」が崩されようとしています。

今年10月に短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所で、①1週の所定労働時間が20時間以上であること②雇用期間が2カ月を超えて見込まれること③賃金の月額が88,000円以上であること④学生でないことの4つの要件を満たすと、社会保険が適用となります。そして、2年後の令和6年10月には、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所にまで拡大されます。将来的には、事業所規模にかかわらず社会保険の加入が求められることになりそうです。

他にも女性が夫の扶養の範囲で働くにあたって、意識される収入の「壁」は、100万円、103万円、130万円、150万円、201万円があります。最初の100万円と103万円は税金の壁です。その壁を超えると住民税・所得税の納税義務が生じます。ただ、税金は超過部分にかかるので、実質的には「損」とはいえません。しかし、夫の会社から扶養手当が支給されていた場合にカットされることがあり、手取りが減ることになります。次の130万円は、社会保険料の壁になります。年収130万円以内であれば、夫の被扶養者として社会保険に保険料負担なしで加入することができますが、年収130万円を超えてしまうと、被扶養者からはずれて、自分で保険料を負担することになり、大きく手取りが減ってしまうので「大損」と考える方が多いようです。そして、最後の150万円と201万円は、その額を超えてしまうと配偶者特別控除が減額され、夫の税負担が増加することになります。

物価高が続いており、節約を心がける主婦には、壁を超えて家計収入が減ることは大きなダメージになると思います。しかし、今後は「壁」を意識しない働き方、つまり「壁」に関係なく働くことが求められるようになるのでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

裁量制の見直し議論加速 規制改革計画を決定 政府

裁量労働制見直しへ議論加速――政府は規制改革実施計画を閣議決定し、柔軟な働き方の実現に向けた各種制度の活用・見直しを改革メニューに盛り込みました。労働時間制度の見直しのほか、テレワークや副業・兼業、選択的週休3日制などの活用に向けた施策を検討するとしました。

働き手がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる環境を整備するため、厚生労働省に設置した労働時間制度に関する有識者検討会での議論を加速し、裁量労働制などの見直しについて今年度中に結論を得る方向です。健康・福祉確保措置のあり方も併せて検討します。

企業で導入が進んできているテレワークや副業・兼業、教育訓練休暇、選択的週休3日制の活用をさらに促進するため、厚労省において好事例の周知に努めます。各制度を活用している企業が、求職者に認識される方策も検討していくとしました。

休業手当支払いを命じる コロナで所定労働減 東京高裁

東京都内に複数店舗展開するホテル業者で働いていた労働者が、新型コロナウイルスの感染拡大により同意なく所定労働時間を減らされたと訴えた裁判で、東京高等裁判所は減少した時間分の休業手当支払いなどを命じた一審を維持しました。

労働者は令和2年3~7月にかけ、1日の所定労働時間を2時間~3時間15分減らされました。勤務時間の変更について、従業員との間の個別合意や就業規則の変更はありませんでした。

同ホテル業者は二審で、銀行からの借入や不動産の売却など、懸命な経営努力をし、赤字経営を続けたと主張。所定労働時間の変更は自社の体力と従業員の生活への影響に配慮した結果と強調し、さらに、新型コロナの感染拡大は外部に発生した事故で、「使用者の責に帰すべき事由」による休業とはいえないと訴えました。

同高裁は経営努力があったとしても所定労働時間を一方的に変更できる法律上の根拠にならないとしました。新型コロナについても、影響は事業によってさまざまで、一律に休業しなければならない状況ではなかったと指摘。同ホテル業者は自身の裁量判断で事業を継続しつつ、従業員の勤務時間を減らす選択をしており、「使用者の責に帰すべき事由」に当たるとして、訴えを退けています。

実習生 時給500円で働かせる 口裏合わせ隠蔽画策 岐阜労基署

岐阜労基署は、中国人技能実習生13人の基本給を月額9万円(時給約500円)とし、最低賃金を上回る額を支払わなかったとして、縫製業2社と両社の代表取締役である夫婦の計2法人2人を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反の疑いで岐阜地検に書類送検しました。

同労基署が令和元年に臨検した際には、被疑者らは賃金台帳を改ざんし、隠蔽を図りました。さらに、実習生への事情聴取に当たり、女性の実習生の胸部にボイスレコーダーを仕込んだうえで、「録音しているから本当のことを言うな」と指示していたことが、後の調査で判明しています。

2年2月、同労基署は複数人から証拠の提供を受けて再度両社を臨検し、是正勧告を出しました。被疑者らは最賃法違反などを事実と認めたものの、改善しなかったため、送検に踏み切りました。

同労基署によると、「同県の縫製業では同様の違反が頻発しているが、証拠隠滅が横行し、摘発が難航している。強制捜査や逮捕も辞さず、厳正に処罰していく」としました。


カテゴリー:所長コラム

労働時間管理について

2022年07月01日

6月9日に「16億円賃金未払い すかいらーく 9万人対象」という残業代未払いの新聞報道がありました。外食大手の「すかいらーくHD」が、従業員の労働時間に関し5分未満の端数を切り捨てる運用をしていたことについて労働組合が是正を求めた労使交渉の結果、パート・アルバイト約9万人を対象に賃金を1分単位で再計算し、過去2年分の計16億~17億円を支払うことを決めました。そしてこれからは残業時間数の計算を1分単位で行う運用すると発表しています。この記事では、厚生労働省の担当者は「一般論として労働時間の端数を切り捨てる運用は違法の可能性がある」また、すかいらーく側は取材に対して「5分単位の勤怠管理自体が違法である認識はない」とコメントしています。では、なぜ違法だと判決が出たわけではなく、会社も違法ではないと考えているのに切り捨てた端数にあたる賃金を支払ったのか、が気になるところです。そこについて、すかいらーくは、残業時間数の計算方法を1分単位に切り替えるにあたり、「新管理方式への円滑な移行と従業員への配慮の観点」から支払ったことを理由に挙げました。

賃金の支払いについては、労働基準法によりその全額払いが使用者に義務付けられています。割増賃金の支払い方法のルールは、1日ごとの時間外労働時間数を30分単位で切り上げたり、切り捨てたりすることはできず、月ごとの合計で時間外労働時間数を計算する場合についてのみ30分未満を切り捨て、30分以上を1時間として切り上げることは問題ないとされています。ただ、実務では1日の残業時間数を15分単位で切り捨てている会社も多く、このすかいらーくの報道は多くの会社に影響を与えそうです。今回は、最高裁の判決が出たわけでもないので、この件をもとに監督署が「1分単位」の指導を行うことは考えにくいですが、最近の監督署の労働条件調査で労働時間管理を1分単位に変更するよう検討するよう指導されたケースも出てきています。

また、民法改正により2020年4月から賃金の時効が2年から当面3年に延長されているのはご承知のとおりですが、すでに今年の4月(2022年4月1日)以降に支払われる賃金に適用され始めているということになります。4月以降は、未払残業代の請求可能となる月数が1か月分ずつ3年分まで増えることになります。こうしたことからも、労働時間管理を一度、見直しておくことが必要になります。

一方、厚労省の「労働時間適正把握ガイドライン」(平成29年1月20日基発0120第3号)では、タイムカードの記録と合わせて、使用者が、自ら労働時間を現認することによって確認することも認められています。「1分」という言葉に反応してしまいがちですが、労働時間管理の本質は、「働いた時間であるかどうかを確認する」ことにあります。一番してはいけないことは、タイムカードを打刻させておいて、その打刻された時間が労働時間かどうか確認しないでそのままにしておくということではないでしょうか。

落語家の三遊亭歌之介(現 圓歌)さんの話です。歌之介さんは、林家こぶ平さんと一緒に真打ちに昇進しましたが注目されるのはこぶ平さんばかりで歌之介さんには誰も見向いてくれなかったそうです。悔しくてどうしようもない歌之介さんに、ジュポン化粧品の故養田実社長が言ったそうです。「歌さん、浮かぬ顔をしてどうしたんだ」「ウサギとカメの童話があるだろう。ウサギはどうしてのろまのカメに負けたのか、言ってごらん」歌之介は「ウサギにはいつでも勝てると油断があった。人生油断してはいけないという戒めです。と答えました。養田社長は「それは零点の答えだ」と強く言ったそうです。「カメにとって相手はウサギでもライオンでもよかったはずだ。なぜならカメは一度も相手を見ていない。カメは旗の立っている頂上、つまり人生の目標だけを見つめて歩き続けた。一方のウサギはカメのことばかり気にして、大切な人生の目標を一度も考えることをしなかった。君の人生目標はこぶ平くんだけはないはずだ。賢いカメになって歩き続けなさい。」「どんな急な坂道があっても、止まってはダメ。苦しい時には、ああ、なんと有り難い坂道なんだ、この坂道は俺を鍛えてくれていると感謝しなさい。有り難いというのは難があるから有り難いんだよ。」この一言が歌之介さんの迷いは吹っ切れたそうです。会社経営も本質を見失わないようにしないといけませんね。(月刊致知「挑戦と創造」より)

特定社会保険労務士 末正哲朗

●最新・行政の動き

厚労省は、求人メディア(募集情報等提供事業者)や職業紹介事業者などに情報の正確性・最新性を保つための措置を義務付ける改正職業安定法が今年10月に施行されるのを踏まえ、関係政省令と指針を改正します。

省令では、正確性・最新性の確保措置として、情報が正確でないことなどを自ら確認した場合は、速やかに募集企業への訂正依頼または掲載中止を行うこととします。求人メディアについてはさらに、求人充足時や内容変更時に速やかに通知するよう募集企業に依頼するか、掲載する募集情報の時点の明示のどちらかを講じます。

募集企業に対しては、指針において、募集の変更・終了時には速やかな掲載内容変更・終了を求めます。さらに、掲載媒体である求人メディアに対する掲載内容変更または終了を依頼するよう定めます。一方、求人メディアから不適正な募集情報の訂正を依頼された場合には速やかに対応することとしました。

施行は同法と同じ今年10月1日です。

◆ニュース

男女間賃金差を開示 300人超企業に義務付けへ 政府

岸田総理大臣は5月20日に開いた第7回新しい資本主義実現会議で、一定規模以上の企業に対して、男女間の賃金差の開示を義務付ける方針を表明しました。

同会議では、男女間格差や賃金、人材育成といった「人への投資」や取引適正化について議論しました。そのなかで岸田総理は、「男女間の賃金格差を解消するため、早急に女性活躍推進法の制度改正を実施する」と話し、労働者300人を超える事業主を対象に、男性の賃金に対する女性の賃金割合の開示を義務化するとしました。今年夏の施行をめざして準備を進めます。

厚労省によると、現在は複数の項目から1つ以上を選択する方式になっている情報公表の仕組みを一部見直し、男女の賃金差の公表を大企業に義務付けます。

日本での男女間賃金格差は、諸外国に比べて大きく、OECDの統計をみると、2020年における格差(男性の賃金の中央値に対する女性の賃金の中央値が低い割合)は、日本が22.5%に上るのに対し、海外はアメリカ17.7%、カナダ16.1%、イギリス12.3%などとなっています。

留学費用 賃金と相殺は有効 復職後1カ月で退職 東京地裁

建設会社で働いていた労働者が留学費用と相殺された賃金の支払いを求めた裁判で、東京地方裁判所は相殺を有効と認め、相殺後の残金730万円の返還を労働者に命じました。

労働者は同社の社外研修制度で海外の大学に留学しましたが、復職後1カ月も経たないうちに自己都合退職しました。両者は復職後5年以内に自己都合退職した場合は留学費用を返還し、賃金との相殺についても異議を申し立てないとする誓約書を交わしていました。

同社は留学費用から2年6月分の賞与・賃金と退職金などを相殺し、残金729万5985円の返還を求めたところ、労働者より返還債務の不存在確認や相殺された賃金の支払いを求める裁判を起こされたため、同社は残金返還の反訴を行いました。

同地裁は労働者の請求を全面棄却し、同社の反訴請求をすべて認め残金の返還を命じました。労働契約とは別に、金銭の消費貸借契約が成立していたと判断しており、労働基準法第16条が定める賠償予定の禁止にも抵触しないとしました。


カテゴリー:所長コラム

GDPの見方

2022年06月03日

タクシーの運転手さんに「最近の景気はどう?」と話しかける方も多いと思います。内閣府の統計調査においても、タクシー乗務員の方は「地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々」として、調査の対象になっています。「街角景気」と言われるものですが、足元の景気動向を把握するために、2000人からアンケートをとっています。タクシーの運転手さんや店頭で商品を販売している人などが対象(家計関連産業に従事する人7割、人材派遣など雇用関連1割)だそうです。先日、出張先でタクシーに乗る機会があり、週末だったので運転手さんに「お忙しいでしょうね。」と声を掛けたところ、「そうでもないよ。タクシーは景気ウオッチャーのように以前は言われていたけど、コロナになってお客さんのタクシーの使い方が変わってしまって。ちょっとタクシーに乗ろうかって1000円の料金を支払ってくれる人がいなくなってしまった。世の中は、1000円を支払ってタクシーに乗ることがムダっていう価値観に変わってしまったから。われわれの言うおいしいお客様はいなくなったねぇ。」と話していました。コロナ禍で、飲みに行っても一次会で帰ったり、家族葬が多く受入れられていたりすることが当たり前のようになりましたが、コロナ後も元に戻らないものがはっきりしてきたようです。

大学4年生の就職活動が始まっています。最近は、新入社員の初任給が引き上げられたと聞きます。厚生労働省が今年の3月に公表した「賃金構造基本統計調査」によると、2022年入社の新入社員を対象にした調査によると、平均額は「23.6万円」だったようです。ある調査によると、もっとも多かったのは「21万円」(17.5%)で、次いで「24万円」(14.0%)、「23万円」(12.3%)となっています。しかし、新入社員の給与が上がる一方で、一般労働者の賃金は8年ぶりに減少しています。この私たちの給料に密接な関係があるといわれる指標が「GDP(国内総生産)」です。GDPとは国内の企業の中で作り出された価値のことで、それをすべて足し合わせたものをいいます。日本では、名目GDPのうち約50%が給与として支払われているため、名目GDPは私たちの給与の源といわれています。ということは、働く人一人あたりの名目GDPが増えない限り、私たちの給与も増えないことになります。日本のGDPは、約5兆ドル(2021年 約541兆円)です。ちなみに世界第1位のアメリカは約21兆ドル、第2位の中国は約15兆ドルです。もう一つ、今の日本の名目GDPで知っておくべきことは、バブル崩壊直後の1991年度の水準(約480兆円)を少し超えているに過ぎないということです。よくいわれることですが、この国のGDPは、バブル崩壊以降、30年もの間、ほとんど伸びていません。ちなみに、アメリカは当時のGDPが6兆ドルでしたから、約3倍伸びているし、中国に至っては10倍以上も伸びたことになります。

日本のGDPの55%程度は個人消費(家計の支出)が支えていると言われていて、個人消費がもっとも大きなウエイトを占めています。つまり、私たちの消費次第でGDPが落ち込んだり、上昇したりするわけですが、なぜ日本の個人消費はこんなに長い間、弱いままなのでしょうか。これには3つの理由があると言われています。まず、1つ目は、私たちの給与が上がりにくいことです。これは多くの方が感じていることですね。次に、先行き不安が挙げられます。日本は、超高齢化により公的年金の先行きに不安を感じている方が多くいます。また、国民の医療費の負担も増加傾向にあります。なので、給料の少ない若年層だけでなく、比較的お金に余裕のある高齢者層もますます消費をしないという状況にあります。最後の3つ目は、社会全体に大きなトレンドの変化が起こっていると言われています。特に若い人の価値観が大きく変わっていて、例えば、今の多くの若い人たちは車を持つ必要はないと考えているし、車を持つにしても高級車でなくてもいいと考えています。メルカリなどで中古品の取引が増えており、今後も節約志向が続くとされています。

最後に、日本の消費の低迷が続いていると新聞が報じています。総務省が発表した2021年度の家計調査では2人以上世帯の1か月の消費支出が前年度比1.6%増と増えたもののコロナ後の落ち込みをカバーするまでには至っていません。消費の全体像を把握するデータである消費動向指数でも21年度においてもコロナ前の19年平均を超えた月は1月もありませんでした。世界では個人消費がコロナの影響から抜け出す国が多い中で、日本だけが消費低迷のトンネルから抜け出せない状況が続いているようです。(参考:「小宮一慶の『日経新聞』深読み講座」日本経済新聞社)

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

厚労省は、今年10月に施行される短時間労働者への健康保険・厚生年金保険の適用拡大について、日本年金機構に事務の取扱い上の留意点を通知しました。

今回の適用拡大では、週の所定労働時間が30時間未満の短時間労働者の社会保険加入について、対象となる企業規模が従来の「常時500人超」から「常時100人超」に拡大されます。

併せて、継続1年以上としていた労働者の雇用期間要件が廃止されます。週の所定労働時間などが正社員の4分の3以上の労働者の場合と同様に、雇用期間が2カ月を超える見込みがあれば加入対象となります。

同通知などでは「常時100人超」について、同一法人事業所における厚生年金保険の被保険者の総数が、1年間のうち6カ月以上100人を超えることが見込まれる場合に該当するとし、70歳以上で健康保険のみ加入している労働者や、今回の適用拡大の対象になる短時間労働者を含めないとしました。

◆ニュース

意思表示の錯誤無効認める 退職届は会社が指示 東京地裁

警備会社で働いていた労働者が退職強要を受けたと訴えた裁判で、東京地方裁判所は退職の意思表示の錯誤無効を認め、労働契約上の地位確認とバックペイ支払いを命じました。

判決によると、同社は令和元年5月9日の終業後に労働者をビジネスホテルに連れて行き事情聴取をしました。その際、遅刻を申告せずその分の賃金を受け取っていたのは詐欺罪に当たるとの虚偽説明をし、「去る者追わずっていうのはある」などと告げ、暗に退職を促しました。

同地裁は、労働者は退職届を書かなければ警察に連れて行かれると誤信していたと指摘。意思表示は錯誤に基づくものとして、無効と判断しました。

労働者は週払いで賃金を受け取っていました。退職届の提出日から判決日まで148週経過しており、バックペイは約1050万円に上ります。

「従業員雇用」で適用 飲食店の屋内原則禁煙へ 大阪府・条例施行

大阪府では4月1日から、受動喫煙防止条例に基づき、従業員を雇用するすべての飲食店で、喫煙専用室を除く屋内の禁煙(原則屋内禁煙)が努力義務となりました。同条例は2019年から段階的に施行しており、万博開催の2025年には客席面積30㎡の飲食店に対する罰則も導入されます。

改正健康増進法では経過措置の対象となり、喫煙が選択できる飲食店の客席面積は100㎡以下で、従業員の雇用有無による規定はありません。同府は面積に応じた義務とは別に、従業員雇用店舗の努力義務規定を設けた理由を、「従業員は客より選択の幅が狭く、長時間にわたり受動喫煙に晒されるため」と話しました。

東京都の先行条例では、客席面積100㎡以下または従業員を雇用する飲食店に義務を課しました。後者に関して同府では努力義務に留まりましたが、面積に関しては全国に先駆ける厳しい規定となります。


カテゴリー:所長コラム

運をつかむ

2022年05月02日

MLBのエンゼルスで今年も活躍する大谷翔平選手は、岩手県の花巻東高校野球部出身です。大谷選手の他にもMLBで活躍する菊池雄星投手や今年の春の甲子園で大注目された佐々木麟太郎選手など多くの有名選手を輩出している野球部です。この野球部で監督を務めるのが佐々木洋氏です。どうしてこんなに佐々木監督のもとに良い選手が育つのか。周囲からは「菊池雄星を獲得できて運がいい」とか「棚ボタで選抜に出て準優勝した」とか言われることがあって「俺だって努力している」とムッとしていた頃もあったそうです。しかし、佐々木氏は「運というのは、運をつかむために自らをコントロールしている人のもとにしか来ないもの」だとわかるようになり、運の良さを素直に喜べるようになったそうです。佐々木氏は、「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」(致知出版社)の中で、自分の何をコントロールしているのか話されています。まず、第一に「言葉」、二つ目に「一緒にいる人」。そして三つ目に「表情、態度、姿勢、身だしなみ」を挙げています。大事なことは、友人を選ぶことや、自分からすすんで刺激を受けられる人に会いに行くこと。そして最後にはやはり、「感謝」と「謙虚さ」だといいます。とにかく敵をつくらず、味方をつくることが運を呼び込んでくる秘訣のようです。さらに、その味方になってくれた人たちに感謝の気持ちを伝えると、もっと応援してくれるようになるといいます。例えば、菊池雄星選手は、ゴミが落ちているのを見ると「神様が自分を試している」と話していたそうです。いつも誰かに自分の行為を見られていると考える感覚はとても大事ですよね。また、佐々木氏は、「成功している会社の社長さんの家を探っていったら一つだけ共通項があって、どの家もトイレの蓋が閉まっていた」と言っていて、ぼくもこの話を聞いてからは必ずトイレの蓋を閉めるようにしています。佐々木監督は、何をやってもツイている人と、何をやっても空回りする人の差はこの4つではないかと話されていました。

この4月に改正「道路交通法」が施行されています。自家用自動車を5台以上使用している場合に、その事業所では安全運転管理者を選任しなければならないことになっていますが、今回の改正はその安全運転管理者を選任する必要がある事業所が適用の対象となります。その安全運転管理者が従来から課されていた運転者に対する酒気帯びの有無を確認する義務がより明確化されました。ちなみに安全運転管理者は、私有車、社用車にかかわらず業務に「自家用車を5台以上使用している」場合に、選任しなければなりません。これまでの規定は、運転者の運転後において酒気帯びの有無を確認することや、その確認内容を記録することの方法についてどうするかといったことまで明文で規定されていませんでしたし、そもそも酒気帯びの有無についての確認方法も具体的に決まってはいませんでした。今回の改正は、こういった問題点の解決と安全運転管理者の未選任事業所を一掃することが目的であるため、安全運転管理者が運転前後に運転者に対し、飲酒、過労、病気その他の理由で正常な運転をすることができないおそれの有無を目視等で確認して記録することが必要になっており、さらに今年の10月からはアルコール検知器を用いて確認することも義務化される予定です。そのためもうすでにアルコール検知器が店頭で品薄になっているそうで、あるメーカーでは昨年11月から注文が増加し生産が追い付かないほどだそうです。

次に年金制度の見直しについてです。60歳から64歳の間に老齢厚生年金を受給している人が、会社に勤めることで厚生年金保険に加入している場合、これまでは給与(報酬月額相当額)と受給している年金額の合計が28万円を超えたときに、年金の全部又は一部の支給が停止されていますが、この基準が見直しされました。4月以降は、その28万円が65歳以降の基準である47万円に緩和され、47万円を上回らなければ支給を停止されることがなくなりました。これにより、令和4年4月分の年金支給額が変更された方には、変更後の年金支給額が記載された「支給額変更通知書」が5月末頃に送られるそうです。また、65歳以上の人の年金額は、会社を退職する際にそれまでの期間を含めて再計算されてきましたが、退職を待たずに毎年、9月に年金額が改定(在職定時改定制度)されることになります。具体的には、前年9月~当年8月までの被保険者期間を上乗せした年金額が10月から支給されます。このように、厚生年金に加入しながら働くことのメリットが大きくなります。国は多くの人に厚生年金に加入して欲しいんでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

「カスハラ」マニュアル公開 行為態様別に対応方法示す

厚労省は、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成しました。

マニュアルでは、事前の準備として、事業主の基本方針・基本姿勢の明確化と従業員への周知・啓発、従業員(被害者)のための相談体制整備、対応方法・手順の策定、社内対応ルールについての従業員等への教育・研修等に取り組むべきとしています。

また実際に起きた際の対応として、事実関係の正確な確認と事案への対応、従業員への配慮の措置、再発防止のための取組等を提示しています。

カスハラの行為態様として、時間拘束型、リピート型、暴言型、暴力型、威嚇・脅迫型、権威型、店舗外拘束型、SNS/インターネット上での誹謗中傷型、セクシュアルハラスメント型――の9つを挙げ、それぞれの対応方法を明記しています。

従業員承継 後継者候補へ早期教育を 多様な役割任せ

中小企業庁は、5年ぶりに事業承継ガイドラインを改訂し、近年増加している「従業員承継」についての解説を充実させました。

実際に従業員承継を実施した事業者へのヒアリングを基に、後継者の選定や育成プロセスなどのあり方について、事例を交えて紹介しています。

また、従業員承継に先立つ後継者教育について、早い段階から着手することが必要としています。

具体的に取り組むべき3つのポイントとして、①後継者候補に対し、経理、総務、営業や経営企画に至るまで幅広い業務を経験させる、②社内の重要プロジェクトの遂行に従事させる、③後継者塾や経営者会合などに参加させる――を挙げ、早期から選抜して育成を進めることで、後継者候補に事業の将来性や経営への理解を促し、役員や従業員などの関係者から信頼を得ることにもつながるとしました。

◆送検

無効な36協定で違法残業 実習生を代表に指名 岩国労基署

山口・岩国労基署は、ベトナム人技能実習生2人に違法な時間外・休日労働を行わせたとして、縫製業者と同社の労務管理責任者を、労働基準法第32条(労働時間)と第35条(休日)違反の疑いで山口地検岩国支部に書類送検しました。

時間外・休日労働は最長の実習生で月135時間に上り、そのうち15時間は2日間の休日労働によるものでした。

同社が届け出ていた36協定について、労働者の過半数代表者とされていた実習生が内容を全く理解しておらず、一方的に指名して締結させたとみられるため、無効と判断しました。

同労基署は、「実習生を代表にするのは問題ないが、民主的な方法で選出する必要がある」との見解を示し、「仮に協定が有効だったとしても、時間外労働の上限規制を超えて働かせているため違法である」としました。


カテゴリー:所長コラム



  • access
  • cubic
  • blog

pagetop