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さらなる高みを目指す

2026年01月05日

ぼくは美味しい飲食店を見つけることが得意です。旅先や初めて訪れた土地で、何気なく入ったお店でも当たりの場合が多いので、うちの奥さんによく感心されます。ぼくはそこのお店が細かいところにまで気を配っているかどうかがポイントだと思ってます。

昨年、セブン&アイHDがカナダの企業に買収を提案され拒否することがありました。セブン&アイHDのコンビニ店の1日あたりの平均売上額は69万2千円でローソン、ファミマを大きく上回ります。しかし、この数年で伸び率が、セブンは5%台、他のコンビニ店が8%台と逆転していて、セブンに対しては他の点でも手厳しい批判が多くなっていて、顧客心理を甘く見ているとの指摘も受けているそうです。たしかに最近のセブンは魅力的な商品が減ったように思います。セブンイレブン創業者の鈴木敏文氏は「顧客心理」を大事にしなさいというのが口癖だったそうです。鈴木会長は社員に対して30年間、「欠品をするな」「掃除しろ」「挨拶しろ」「お客さんに親切にしろ」と同じことを言い続けてきたといいます。セブンでは、月に一度、全国の幹部が東京の麹町にある本社ビルに集まり会議をしていると聞いたことがあります。会議が終わり、その幹部たちが駅に向かって一斉に帰る姿は錚々たる様だったそうです。その会議で鈴木会長は毎回、同じことを話されたそうですが、当たり前のことを言い続けて、それが積み重ねられていくことによって普通が普通でなくなるということが起こるそうです。

九州旅客鉄道相談役の唐池恒二氏は、若い頃に飲食店の経営を勉強するため繁盛する飲食店に通い詰めたところ、繁盛する店と繁盛しない店には決定的な違いがあることに気がついたそうです。唐池氏は「それは『気』です。繁盛店には店全体に強烈なオーラが出ています。隅々まで掃除されていたり、スタッフの表情が自信に満ち溢れていたり。そういう店は料理やサービスも間違いない。これが『気』の正体なのでしょう。」といい、その気を呼び込むための5つの法則を話されています。それは、「夢見る力」「スピードのあるキビキビとした動き」「明るく元気な声」「隙を見せない緊張感」「(成長しようと努力する)貪欲さ」の五つだそうです。

経営コンサルタントの小宮一慶氏は「GoodはGreatの敵である」といいます。「ビジョナリーカンパニー2」からの言葉です。一定の成功をおさめるとそれで満足してしまって「もうこれでいいか」という考えになってしまう。これではダメだという意味です。「Goodであることに満足しているとGreatにはなれない」ある程度の成功をしたとしても、それで安住するのではなく、謙虚になり、なれる最高の自分になることが「自己実現」だと小宮さんはいつも説きます。

ホテルオークラ創設から支配人を務め伝説のホテルマンといわれた橋本保雄氏も「一定のレベルで満足してしまうか、それとも一つひとつに真心を込めて、さらによいものを目指していくか。それが大きな違いになるんです。」と言いました。朝食の目玉焼き1つ作るのにも「どうしたら喜んでもらえるかと精一杯工夫を凝らして出すのとでは、お客様の喜びもまったく違う。そういうふうに、感性を働かせて仕事をしていくこと。私はこれがとても重要だと思いますね。感性を精一杯働かせ、お客様に喜んでいただけることを発想し、それを行動に移す。これがやっぱりプロだと思います。」ちょっとした心遣いが大きな差になるのです。もうひと手間が大切なんですね。

東京工業大学名誉教授の本川達雄氏の著書で「ゾウの時間 ネズミの時間」には、動物は「息を1回吸って吐いての繰り返しの間に心臓は4回打つ。これは哺乳類ならばどの大きさでも当てはまる。そしてどの動物も一生の間に心臓を20億回打つため、呼吸する時間で割れば一生の間に約5億回息を吸って吐くを繰り返すことになる。」と書いています。ゾウは長命、ネズミは短命な動物ですが、人間も含めて哺乳動物の一生は、ほぼ5億回の呼吸で終わると決まっているそうです。ということは、人生の価値というのは、長さで決まるのではないということです。決められた呼吸回数を使い切るまでに、何を成すのかではないでしょうか。ひと呼吸を大切にしたいものです。  (参照:月刊誌「到知」、到知出版社「生き方の教科書」)

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

悪質行為への対処方針周知 カスハラ抑止狙う 厚労省指針素案

厚生労働省は労働政策審議会雇用環境・均等分科会で、カスタマーハラスメントについて雇用管理上講ずべき措置に関する指針の素案を示しました。

素案ではカスハラについて、①顧客等の言動、②労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超える、③労働者の就業環境が害される――のすべてを満たすものと定義。顧客等には取引の相手方や駅・空港など施設の利用者およびその家族も含むとしました。

講ずべき措置には、(1)事業主の方針の明確化と周知・啓発、(2)苦情・相談に応じ、適切に対応するための必要な体制整備、(3)事実関係の迅速・正確な確認など事後の迅速かつ適切な対応、(4)カスハラ抑止のための措置――などを盛り込みました。

(4)の抑止のための措置では、労働者に過度な要求を繰り返すなど、とくに悪質なものへの対処方針をあらかじめ定めます。管理監督者を含む労働者に方針を周知し、定めた対処を実行できる体制を整備しなければなりません。具体的な対処の例として、「行為者に対して警告文を発出する」、「法令の制限内で商品の販売・サービスの提供をしない」、「店舗・施設等への出入りを禁止する」などを示しています。

分科会では、求職活動におけるセクシュアルハラスメントの防止措置を含め、新たなハラスメント防止措置義務の施行日を令和8年10月1日とする案も示しました。

◆ニュース

建設業向けクマ対策で 事例集を作成 東北地方整備局

国土交通省東北地方整備局は、クマの出没が頻発している状況を受け、工事現場など屋外の作業現場向けに、クマ対策の事例集を初めて作成しました。

事例集は、同整備局発注の公共工事現場で実施している取組みを中心に、計53事例をまとめています。土木工事は緑が豊かな現場が多く、クマに遭遇するリスクも高い分、受注業者ごとにさまざまな工夫に取り組んでいます。地方公共団体発注の公共工事や民間工事にも横展開するため、写真付きで1冊に集約しました。

たとえば遭遇した際に有効なクマ撃退スプレーについては、ただ携行するだけでなく、訓練を行っている様子を紹介しました。スプレーの噴射距離を体感させ、スムーズに取り出すための方法を教育することで、万が一の場合に確実に使用できるようにしています。

クマを寄せ付けないための工夫も解説しています。クマ鈴やホイッスル、大音量スピーカーなどで人間の存在を知らせている事例を紹介しました。唐辛子粉末を練り込んだ線香を携行したり、クマの天敵であるオオカミの尿を設置したりすることも有効だとしています。 同整備局企画部は、「事例集の作成は、昨年度までは考えられなかった。被害の未然防止への取組みが今後も必要になってくる」と状況を危惧します。事例集の内容は、今後も随時更新していく予定です。


カテゴリー:所長コラム

年末年始休業のお知らせ

2025年12月23日

いつもお世話になりありがとうございます。

誠に勝手ながら12月27日(土)~1月4日(日)まで年末年始休業とさせていただきます。

ご迷惑をお掛けいたしますが、宜しくお願いいたします。

2026年も皆様にとって良い1年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎えください。


カテゴリー:お知らせ

福利厚生の充実

2025年12月01日

外食大手のトリドールホールディングスは、傘下の「丸亀製麺」の店長の年収を、最大2000万円にすると発表しました。現在の店長の最高年収は約520万円ということなので、約4倍近くに引き上げるわけで、今後3年間で10名が「年収2000万円」の店長になる予定だそうです。この背景には人手不足があります。官公庁の統計データによると、2025年7月の飲食業の有効求人倍率は調理従事者で2.06倍、接客・給仕従事者で1.77倍になっています。実際、トリドールに限らず、こうした待遇の向上は他の飲食企業でも行われていて、例えば、すかいラークグループは昨年、店長の年収を800万円から1000万円にまで引き上げることを発表しています。店長全員の年収がそうなるわけではないようですが、働き手にとっては「夢」のある話となっています。現在の厳しい状況下で、自社を働き口として選んで欲しいという企業の思いが感じられます。

ここ数年の初任給の上昇スピードはまったく衰える兆しを見せません。大企業に中小企業はなかなかついていけないというのが実情ではないでしょうか。そこで最近、よく聞くのが賃金面以外の労働条件について、充実させる企業が増えているということです。「福利厚生」というのは、休暇制度、住宅手当などの各種手当、研修制度などさまざまなものがあります。ある調査によると、学生が企業選びにおいて重視していることの上位は「福利厚生が整っている」(44.3%)、「給与の高さ」(39.8%)、「職種に興味がある」(32.8%)となっていて、福利厚生の注目度が最も高くなっています。また、「企業の福利厚生について魅力を感じるものは何か」という調査では、「休暇制度(病気休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇など)」(53.8%)が半数以上でトップとなり、「働き方(フレックスタイム制度、テレワークなど)」(50.8%)、「住宅(社宅、住宅手当など)」(37.5%)が次いだということです。就活で企業を選ぶ際は、仕事内容や企業の規模、給与などさまざまなポイントがあると思いますが、その中でも福利厚生が充実しているかどうかも重要なポイントになっているようです。

トップに挙がる休暇制度ですが、相談を多く受けるのが「入社時の有給休暇付与」制度です。労働新聞が行った調査では、首都圏の求人企業770社のうち27.1%の209社が制度に取り組んでいるそうです。この数年で年次有給休暇の計画的付与の活用が増えていることや入社直後の体調不良による欠勤で賃金が減ることを避けられるということもあって、導入する企業は増えています。また、住宅手当を支給する企業も増えています。その支給額の幅は広くて、5000円程度から20000円を超える手当を支給する中小企業も見られます。住宅手当の支給は、遠隔地からの人材募集という意味もあるので、若い人材を募集するにはとても有効な手段だと思います。

人間はどのようなときに不平不満を持つものなのか、コンサルタントの一倉定先生が昭和基地の越冬隊の例を示しています。「4か月間にわたるプラトー基地に向けた雪上の移動は困難を極めた。基地にたどり着く前の2週間は、標高三千メートル以上の希薄な空気で、氷点下60度に近い極寒を、ブリザードに襲われる中、移動を続けた。眠る間もない悪戦苦闘の末に、ようやく基地にたどり着いた。基地で一休みした以後の移動は順調だった。天候は回復し、気温は上がり雪上車のスピードも上がった。しかし、環境が順調になると、まず食事に対する不満が起こった。そしてちょっとしたことでも、空気がトゲトゲしくなったのである。同じ人間が、基地にたどりつく前の2週間の悪戦苦闘の間には、食事に対する不満どころか、食事をする間も惜しんで、難関突破に全員一致して死力を尽くしたのである。『人間とは奇妙な動物だ』と隊員は語った。」

一倉先生は「立派な本社ビルを建てると、かえって不満とホンワカ・ムードが高まることは、しばしばである。」と言います。不満というのは物理的環境が悪い時には起こらず、良くなった時に起こるものといわれます。「人間は満足感を持てば、その瞬間から働かなくなり、進歩も止まる。人間とは、このようなやっかいな動物なのだ。」そうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

小規模事業場ストレスチェック 手引作成へ議論開始 厚労省・有識者検討会WG

厚生労働省は、ストレスチェックの実施義務が労働者50人未満の事業場まで拡大することを受け、小規模事業場向けの実施マニュアル作成に向けた有識者ワーキンググループの初会合を開催しました。

初会合では厚労省が、関係労働者の意見聴取や、実施者となる外部委託先の選定、調査票、医師の面接指導、集団分析・職場環境改善、プライバシー保護などの論点ごとに、対応案を示しました。

高ストレス者に対する面接指導については、労働者が安心して申出しやすくなるように、事業者に直接申し出るのではなく外部委託先を経由して申し出るなど、具体的な方法を記載するとしました。

ストレスチェックの実施や個人結果の通知・保存、面接指導の実施・申出勧奨、事後措置の各段階におけるプライバシー保護のあり方も検討事項に挙げました。厚労省は、面接指導を行う際の個人結果の取扱い方法として、事業者を経ずにストレスチェック実施者である外部委託機関が面接指導を担当する医師に直接提供すること、または本人が直接持参することを求める案を提示しています。

ストレスチェックの実施義務の対象事業場の拡大は、今年5月公布の改正労働安全衛生法に盛り込まれました。努力義務とされていた50人未満の事業場にも実施を義務付けるもので、令和10年5月までに施行されます。マニュアルは来年3~4月頃の公表を予定しています。

◆ニュース

外食産業の現状を分析  エリア責任者 心身負担大きく 過労死防止白書

 政府は令和7年版の過労死等防止対策白書を閣議決定しました。今年の白書では、重点対策業種である外食産業の調査結果を紹介。エリアマネージャーは長時間労働の傾向にあり、店舗で接客や調理を担当する従業員に比べてハラスメントを受けたことがある者の割合も高いなど、とくに心身の負担が大きい様子が浮彫りになりました。

白書では、エリアマネージャー(スーパーバイザー含む)、店長、店舗従業員(接客)、店舗従業員(調理)といった職種ごとに、労働時間の状況やハラスメントを受けた者の割合などを示しました。

それによると、1週間当たりの平均労働時間が60時間以上の労働者割合は、外食産業全体で14.9%なのに対し、エリアマネージャーは24.0%、店長は29.0%と、店舗の責任者に長時間労働の傾向がみられました。

パワハラやセクハラの経験割合についても、エリアマネージャーがとくに高い水準にあります。たとえば、パワハラの類型の1つである精神的な攻撃の経験割合は22.0%に上り、産業全体(13.6%)との差が大きくなっています。カスハラを受けた経験がある割合も、エリアマネージャーが30.0%で最も高く、店舗従業員(接客)が21.3%、店長が19.5%などと続きます。

15%が偽の会議案内クリック サイバー攻撃訓練で 東商

 日常的に目にするオンライン会議の案内メールでも、心当たりがない場合は注意を――東京商工会議所は、会員の中小企業84社1146人を対象に行った電子メールによるサイバー攻撃訓練の結果をまとめました。「オンライン会議への参加案内」を装ったメール内のURLをクリックしてしまった参加者は14.9%に上りました。そのうち31.0%が「怪しいと思ったが、開いてみないと判断できないと思った」としています。

訓練は2019年から毎年、偽装メールの内容を変えて行っています。各社が事前に提出した社員のメールアドレスに、訓練を請け負う会社から偽装メールを送信するもので、今回のメールでは、本文の「参加情報を確認する」という文字の下にURLを配置していました。

過去の訓練では、「偽の研修案内」のクリック率が7.8%、「偽のシステム提供者からの通知」では6.1%だったのに比べ、今回は倍以上となっています。東商では、企業の経営者や人事担当者に向けたセミナーの開催を通じ、従業員への啓発を呼び掛けていきます。


カテゴリー:所長コラム

日本の若者

2025年11月04日

ぼくが会社勤めだった頃は、上司やお客様から注意されると、事をスムーズに運ぶために、たとえ自分に非はなかったとしても、まず「すみません」とひとこと謝っていたように思います。でも、最近は「謝らない人」が増えているそうです。「申し訳ありません。」と言えば済むところを絶対に自分の非を認めないということだそうですが、心理学博士の榎本博明氏は、その原因のひとつに「褒めて伸ばす」という方針が広く浸透し、子どもを叱ることが少なくなった最近の学校教育が原因ではないかといいます。榎本先生は、「『傷つけてはならない』として、たとえ義務を果たさなくても受け入れる風潮の中で育った若者は、失敗を指摘されることに慣れておらず、注意されると人格を否定されたように感じてしまいます。まずは『すみません』と謝ってから事情を説明するという基本的な対応ができないまま、社会に出てくる人が増えているのです。」と指摘しています。今の若者が受けた学校教育の「褒めて伸ばす」という教育方針で、子どもは教師から叱られることは少なくなっているし、部活動やサークル活動への参加が減って、他者との人付き合いが苦手な子どもが増えているということのようです。(「PRESIDENT」2025.9.12号)

しかし、世界を舞台に大活躍している若者もたくさんいます。大谷翔平、八村塁、羽生結弦選手といったスポーツ界のスーパースターの存在や、経済協力開発機構(OECD)の令和4年国際成人力調査では、日本が「問題解決能力」「数的能力」「読解力」において世界トップクラスとの評価を受けていて、若い世代ほど成績が良かったという結果が出ているそうです。また、若者を中心としたアニメやゲーム産業も世界有数のクオリティを誇り、世界には多くのファンがいます。これは、日本の若者が高い専門性とグローバルな視点を備えた人材である証といえそうです。

このどちらもが今の若者の実態です。企業にとって今の若手社員は「宝物」のような存在だともいわれています。その理由は、そもそも人数が少ないということもありますが、「スマホネイティブ世代」といわれるように、IT、デジタル力が強みだからです。生まれたときからスマホをおもちゃにしているので、ソフトを駆使して情報やデータを収集する能力が高いうえに、変化への対応力もあります。残念ながら、こういった能力は、多くの中高年にはないものばかりです。三菱電機が、53歳以上の正社員を対象にして、募集人数を定めない早期退職を募集すると発表しました。三菱電機は2026年3月期に最高益が予想される一方で、従業員には早期退職を促しています。三菱電機の場合は社内の年齢層が高めに偏っている人員構成を是正して「若返り」をはかり、次世代への継承を推進することが目的だといわれています。今、このような若返りのための黒字リストラを行う企業が相次いでいるそうです。

このように切り捨てられていく高齢者ですが、日本経済においてはそういった人たちの活用も大切な課題になってきています。この30年間で15~64歳の生産年齢人口が8700万人から7300万人に激減する一方、65歳以上の人口が1800万人から3600万人に倍増しました。健康寿命は、男性が73歳、女性は75歳に達しているため、日本の生産年齢人口は、少なくとも70歳にまで引き上げるべきだといわれています。総務省によると、高齢者の就業状況は、2024年の65歳以上の就業者が930万人(うち男性538万人、女性391万人)となり、ちょうど生産年齢人口の減少分を補っているようにも見えます。大企業に比べ中小企業はこれからますます採用が出来なくなります。会社を存続させるために今後も採用をしなければならないことは変わりませんが、まずは今いる社員の定着を良くすることです。中小企業では大企業のように優秀な人ばかり入ってくるわけではないので、今いる社員が育つ職場環境を整えることも必要になります。

冒頭の謝らない人たちに対して職場での対応はどうすればよいのでしょうか。榎本先生は、「こうした人たちの性格を根本的に改善させるのは、ほぼ不可能」「まずはこの現実を受け入れて、過度な期待を持たないことが先決です。」といいます。どうもガマンするしかなさそうですね。 

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

個人事業者業務上災害 注文者に報告義務課す 安衛則改正案・厚労省

厚生労働省は、建設業の一人親方など個人事業者の業務上災害の報告制度の創設に向け、労働安全衛生規則などの改正案要綱を労働政策審議会に諮問し、「妥当」との答申を受けました。令和9年1月に施行する予定です。

昨年5月に公布された改正労働安全衛生法および作業環境測定法では、個人事業者などの業務上災害報告制度の創設を盛り込みました。個人事業者の業務上災害を網羅的に把握する仕組みがなかったことから、報告制度により、効果的な労働災害防止施策などの検討につなげるのが狙いです。報告主体や報告事項などの詳細については、省令などで示すこととしていました。

改正省令案要綱によると、個人事業者と同一の場所で仕事を行う直近上位の注文者(特定注文者)に対し、労働者と同一の場所で作業を行う個人事業者が業務に起因する負傷・傷病によって4日以上休業したことを把握したとき、所轄労基署に遅滞なく報告するよう義務付けます。罰則は設けません。特定注文者が存在しない場合には、災害発生場所を管理する事業者が報告義務を負います。

被災者である個人事業者が災害発生の事実を伝達できる場合には、個人事業者本人が特定注文者または管理事業者に遅滞なく報告する必要があります。報告を受けた事業者は、必要事項を補足したうえで労基署に遅滞なく報告しなければなりません。

脳・心臓疾患および精神障害事案については、本人が直接、労基署に報告できることとします。

◆ニュース

建設など8分野は2年 育成就労の転籍制限期間 入管庁案

 外国人技能実習制度に代わって令和9年4月に開始される育成就労制度を巡り、出入国在留管理庁と厚生労働省は、分野ごとの転籍制限期間に関する案を有識者会議に提示しました。外国人本人の意向で職場を移る「転籍」を制限する期間について、建設や工業製品製造、飲食料品製造、介護など8分野で、就労開始から2年としました。宿泊や物流倉庫、ビルクリーニングなど9分野は1年での転籍を可能とします。

 今年3月に閣議決定した基本方針では、「転籍制限期間については、1年とすることをめざしつつ、当分の間、育成就労産業分野ごとに、業務内容を踏まえて、1年から2年までの範囲内で分野別運用方針において設定する」としています。1年を超える期間を設定する分野の受入れ企業は、原則として、分野ごとの基準を満たす待遇向上策を講じなければなりません。

 出入国在留管理庁などの案では、各分野の制限期間をその理由とともに示しました。たとえば、建設分野では、外国人が安全に作業を行えるようになるために、一定の時間をかけて安全衛生教育を行う必要があることなどを理由として、2年に設定しました。

 政府は、分野別運用方針について、年内の閣議決定をめざしています。

店長年収2000万円へ 部下の満足度で評価 トリドールHD

㈱トリドールホールディングスは、運営するうどんチェーン「丸亀製麺」の店長職をアップグレードし、主な役割を従業員のハピネス(満足度)の最大化と顧客の感動づくりに設定します。新役職「ハピカンキャプテン」は4段階で処遇し、最上位では年収2000万円に到達可能としました。ハピネスについては、音声対話型生成AIによるヒアリングで測定します。

従来の店長の年収は520万円が上限となっていました。新役職のキャプテンは500万円を下限とし、3年で300人体制をめざします。そのうち10人程度は最上位の2000万円クラスとなることを見込んでいるとしました。

キャプテンにはハピネス向上のため、従業員の誕生日を祝ったり、交流会を開く予算を与えます。従業員や顧客と直接触れ合う機会を増やすため、シフト作成・発注管理、帳簿管理などの管理業務は副店長に移管します。

顧客の感動度は、食後に記入してもらうアンケートの結果から分析し、スコア化します。


カテゴリー:所長コラム

上がりつづける最低賃金

2025年10月01日

最近は、悩みのある小中学生はAIに相談するそうですね。カウンセラー会社(ZIAI東京都渋谷区)の調査によると、人間のカウンセラーよりも、AIカウンセラーのほうに人気があって、AIカウンセラーを利用した子どもの相談件数は人間のカウンセラーよりも10倍以上も多く、さらに満足度についても9割を超えたそうです。「先生や家族に言えないことも、AIになら簡単に言える」「相談しても、誰にもばらされないから」「人相手よりも自分の気持ちを素直に伝えられた」「どんなお話でも、お悩みでも、最後までしっかりと聞いてくれて、親しみやすくて、時には解決してくれるから!」と感想が寄せられたそうです。驚くことに自殺防止の相談電話もAIが受けているという話を聞きましたが、感情をもたない相手への相談なんて、ぼくにはとてもじゃないですが理解できることではないです。

 2025年の最低賃金が出そろいました。今回の改定で初めて47都道府県の全てで1000円を超え、東京の1226円が最も高くなり、高知、宮崎、沖縄の1023円が最も低くなりました。国が示した引き上げの目安に上乗せして最低賃金額を決定するケースも多く、最大の引き上げ幅となったのは国の目安の64円に18円を上乗せして82円とした熊本です。これまでは東北、北陸、四国、九州はすべての県が1000円に達しておらず、最も低い秋田県は951円で、1000円以上になるには大幅な引上げが必要なので注目されていましたが、秋田が決定した額は、なんと1031円で、県内世論の後押しで国が示した目安を16円も上回る引き上げとしました。その結果、鳥取を1円上回り、最下位から抜け出したということです。そして、その3日後には後を追うように隣の952円の岩手が同じ1031円にすると決めています。ただし、最低賃金の発効日は来年3月31日としてできるだけ影響が小さくなるよう遅らせる配慮もみせています。2010年代は全国で見ても最低賃金は国の目安に上乗せしても数円程度で、5円を超えることはほぼなく、発効日も10月1日が多かったわけですが、この秋田の年度末とした発効日は半世紀ぶりとなるそうです。昨年はワースト2位の徳島県で現状に危機感をもった知事が「全国で下から2番目の最低賃金では人材の県外流出が止まらない」として関係先に働きかけを行い、84円もの過去最大の引き上げで980円として全国27位に躍進したことが話題となりましたが、まるで全国での「脱・最下位」競争のような様相を呈しています。最低賃金の大幅な引き上げは地域間の賃金格差を是正して人口流出に歯止めをかける狙いがありますが、当然に会社経営に与えるダメージは大きいわけで、岩手県の審議会では使用者側の委員5人全員が退席した中で答申が決まるという事態になりました。この30年間に賃上げをしてこなかったツケがまわってきたということなのでしょうけれど、これまでの人件費の低さのため、本来なら機械化すべき場合でも人手に頼るなど、企業は生産性を上げる努力を怠ってきたともいえるわけです。そのため日本の失業率が海外に比べて極めて低いという意見もあるくらいです。

従業員の退職が影響した「従業員退職型」の倒産が、2024年に過去最多の87件に達したそうです。労働力人口の減少による人手不足の影響が広がっていますが、これからは「賃上げ難倒産」が増えるのではないかと言われています。政府は「最低賃金時給1500円を2020年代中に実現する。」と発表しています。インターネットでの買い物ができる時代において、地方が都市部よりも物価が安く、生活費も安く済むなんていうことは昔の考えなので、地方での賃上げが今よりも過熱することになってもおかしくないことになります。賃上げしたくても収益力が乏しい中小零細企業は数多くありますが、「待遇改善しないことのリスク」がそういった企業を中心に急速に広まっているといわれます。ただ、先ほどの岩手での審議会で途中退席した使用者側委員のひとりは最低賃金の大幅アップについて「納得以前に理解できない」と言葉を残したそうです。時代の変化なのか、どうもよく理解できないことが世の中にあふれ始めているようです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

最賃平均1121円に 過去最大の66円引上げ 答申結果

 厚生労働省は、全国すべての地方最低賃金審議会で令和7年度の地域別最低賃金の改定額を答申したと発表しました。47都道府県の引上げ額は63~82円で、改定後の全国加重平均額は66円(6.3%)上昇して1121円になります。上昇額は5年連続で過去最大となり、39県で中央最低賃金審議会が示した「目安」を上回りました。

改定後の最高額は東京の1226円で、最低額は高知、宮崎、沖縄の1023円となります。最高・最低額の差は現在の212円から203円に縮まり、最高額に対する最低額の比率も81.8%だったものが83.4%に高まるなど、地域間格差が縮小します。

ストレスチェックの義務拡大で 手引き作成に着手 厚労省

労働安全衛生法の改正によりストレスチェックの実施義務が労働者50人未満の事業場まで拡大することを受け、厚生労働省が小規模事業場向けのマニュアルの作成に乗り出しました。

メンタルヘルス対策に関する有識者検討会の下に設置するワーキンググループで、今年11月ごろまで50人未満の事業場に適したストレスチェックの実施方法について検討します。その後、有識者検討会や労働政策審議会安全衛生分科会での議論を経て、今年度末~来年度初めをめどにマニュアルを公表し、周知を進める方針です。

ワーキンググループでは、ストレスチェックの実施を外部委託する際の事業者のかかわり方や委託先の選定方法のほか、労働者が安心して面接指導の申出をできる環境整備のあり方などを論点とします。労働者のプライバシー保護の観点に留意した集団分析・職場環境改善の取組みについても検討します。

ストレスチェックに関する改正は、令和10年5月までに施行されます。

求人票の書き方助言 外国人材活用を積極化 東京労働局

 東京労働局は、人手不足に悩む企業に対し、外国人活用を積極的に働き掛けていきます。求人に応募が来ない事業所に対し、ハローワークから「〇〇国籍の方が活躍中」といった、外国人求職者の目を惹くような求人票の書き方を指南します。

 同労働局管内では、在留資格「留学」の外国人が就労ビザに移行するほか、資格外活動を行うケースを中心に、外国人の求職申込みが増えています。今年6月に開いた留学生対象の合同就職面接会には、例年の3倍近い2700人が集まりました。

 同労働局職業対策課は、「日本で働きたい外国人と、人手不足の企業とが、うまくマッチしてほしい」と話します。応募が集まらない企業や外国人受入れに興味がある企業に対し、外国人の応募が増えるよう支援します。具体的には、事業所の状況やニーズを拾いながら、「〇〇国籍の方が〇人勤務しています」、「海外で活躍できる人材を募集します」などの文言を求人票に盛り込むようアドバイスします。

 外国人雇用に障壁を感じる企業には、「外国人雇用管理アドバイザー」の活用を勧めます。アドバイザーは、都道府県労働局ごとに設置されており、同労働局では、社会保険労務士や出入国管理機関の出身者など3人が担当しています。外国人から需要の高い一時帰国への対応、文化への配慮など、専門的な助言を行っていきます。


カテゴリー:所長コラム



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