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30年の意味

2023年10月02日

2023年は「最も暑い夏」となりました。気象庁によると、6~8月の全国の平均気温が1898年の統計開始以来最高だったと発表しています。日中、外回りでエアコンの効いた車内にいても日差しは厳しいし、車を降りて外に出ると一気に体温が40度になるような感覚を受けたのは初めてのように思います。「十八史略」に「四時の序、功を成す者は去る」という言葉あるそうです。四時の序とは春夏秋冬の順序をいうそうで、春は春の役割を精いっぱい果たして夏にその立場を譲っていく。夏は夏の役割を精いっぱい果たして秋に譲っていく。秋は秋の、冬は冬の役割を果たして次の季節に譲っていく。このように四季が巡るように、人もまたそれぞれの役割を果たして次の人にその立場を譲っていかねばならない、ということだそうです。人も同じです。いろいろな人が功を成して去っていき、その積み重ねの上に自分たちがいる、ということですね。また、同時に、自分たちが今ここにいるのは、自分の役割を果たすためであることを肝に銘じなければならないと思います。今年の「夏」は、というより、今年の「夏」も、頑張りすぎていましたね。

哲学者の森信三氏は、「人生は正味三十年」と言いました。「この人生に対して、多少とも信念らしいものを持ち出したのは、大体三十五歳辺からのことでありまして、それが多少はっきりしてきたのは、やはり四十を一つ二つ越してからのことであります。ですから、もし多少とも人生に対する自覚が兆し出してから、三十年生きられるということになると、どうしても六十五、六から七十前後にはなるわけです。」「このように考えて来ますと、人間も真に充実した三十年が生きられたら、実に無上の幸福と言ってもよいでしょう。」加えて、森氏は「ずいぶんぜいたくな望みとさえ思われる」と言っています。この30年というのは、言い得て妙ではないでしょうか。人生100歳といわれるようになりましたが、「人が真に活動する正味ということになるとまず三十年そこそこのものと思わねばならぬでしょう。」「人生もその正味は三十年として、人生に対する一つの秘訣と言ってよいかなと思うのです。」とも森氏は言っています。(致知出版社「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」より)中国には、「十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年にして歴史なる」という格言があるそうです。これは企業にもあてはまることだと思いますが、経済産業省のデータによると、1年以内で廃業する会社の割合は、27.2%、2年以内では39.1%、3年以内では47.2%、5年以内で58.2%となって、起業から10年後に残っている企業は約26%にまでなるそうです。企業を30年存続させてこそ、役回りを果たしたといえるのかもしれません。ぼくは36歳の時に社労士事務所を開業して20年になりますが、まだまだ10年は頑張って社会のお役に立てるようにしないといけないですね。

家具売り大手の「イケア・ジャパン」が制服への着替え時間について「従業員に賃金を支払っていなかったこと判明した」と報じられました。イケア・ジャパンはテレビの取材に対して、「着替え時間に関しては、関係法令に明文の規定もなく、判例上の基準も曖昧な部分があることから、実務上見解の分かれる点について不明確性をなくし、従業員有利の方向で明確な取扱いを設定するものとしました」とコメントしています。その上で、今後は着替え時間を1律5分とし、1日10分間を労働時間に含めるとしたそうです。メディアは、2000年3月に最高裁が「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を労働時間とし、着替えを義務づけられた制服などへの着替えも労働時間に当たるとの判断を示していると報じていますが、一方で「入門後職場までの歩行や着替え履替えは、それが作業開始に不可欠なものであるとしても、労働力の提供のための準備行為であって、労働力の提供そのものではないのみならず、特段の事情のない限り使用者の直接の支配下においてなされるわけではないから、これを一律に労働時間に含めることは使用者に不当の犠牲を強いることになって相当とはいい難く、結局これをも労働時間に含めるか否かは、就業規則にその定めがあればこれに従い、その定めがない場合には職場慣行によってこれを決するのが最も妥当である。」(昭56.7.16最高裁第一小法廷判決)として労働時間としなくてもよいとするものもあります。まるでイケアが賃金未払の違法行為を行っていたかのような報道の仕方には疑問を感じますが、最近は疑わしきは労働時間とする傾向があるように思いますし、以前と違って余計なトラブルにならないように事業主はとても気を遣っているようにも感じています。良くも悪くも、これが世の中の流れなので、合わせていかないといけませんね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

43円引上げ1000円超に 24県が「目安額」上回る 最賃答申

 厚生労働省は8月18日、全国すべての地方最低賃金審議会で令和5年度の地域別最低賃金の改定額を答申したと発表しました。47都道府県の引上げ額は39~47円で、改定後の全国加重平均額は43円(4.47%)上昇して1004円になります。上昇額は「目安」制度の創設以降で最も高く、24県で中央最低賃金審議会が示した「目安」を上回りました。

改定後の最高額は東京の1113円で、愛知、京都など5府県が新たに1000円を突破します。最低額は岩手の893円で、最高額に対する比率は80.2%。改定額は10月上~中旬に発効します。

◆調査

副業者が60万人増加に 就業構造基本調査

総務省は5年ごとに就業状況を調査しており、今回は昨年10月1日現在で実施しました。

有業者は6706万人で、前回調査の2017年に比べ85万人増加しました。無業者は4313万人となり、163万人減少しました。非農林業従事者のうち、副業がある者の割合は4.8%の305万人となり、17年と比べて60万人増加しました。現在就いている仕事を続けながら、他の仕事もしたいと思っている追加就業希望者は7.8%の493万人で、17年から93万人増加しました。

追加就業希望者比率を都道府県別でみると、東京都と沖縄県が10.2%で最も高く、次いで神奈川県と京都府が8.8%で続いています。育児中の者のうち有業者の占める割合は85.2%(17年比5.9ポイント増)でした。介護中は58.0%(同2.8ポイント増)で、どちらも増加傾向にあります。


カテゴリー:所長コラム


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