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名前をつける

2023年09月01日

今年の夏の甲子園大会も注目するところがたくさんありましたが、興味を引かれたのは「仮面ライダー兄弟」です。佐賀県代表の鳥栖工の兄弟バッテリーのことですが、その兄弟の名前は、兄がアギト(晶音)で弟はヒビキ(響)。「平成仮面ライダー」シリーズの主人公で、「仮面ライダーアギト」(2001年)と「仮面ライダー響鬼(ヒビキ)」(2005年)と名前が同じなんですね。他の選手もすっかり読めない名前ばかりで、時代を感じます。ちなみに、「絶対読めないキラキラネームランキング」というのがあって、1位「男」、2位「心姫」、3位「紅葉」となっています。順番に「あだむ」「はあと」「めいぷる」だそうです。読めませんね。子供の名前を決めるのは、人生の一大イベントといってもいいくらいだと思います。あるアンケート調査によると、1位は「こう育って欲しいという願いを込めた漢字や言葉を入れる」、2位「対面した印象で決める」、3位「季節や植物、自然からのイメージで決める」となっています。ぼくは自分の息子の名前には「拓」の文字を入れました。一人息子なので、なんとか自分で人生を切り開いていけるようにと願ってのことです。

もっと話を大きくします。本来、「拓」という文字にはもっと広い意味があるようです。月刊誌「致知」(2023.9)の特集「時代を拓く」には、「時代を拓くとは自分を拓くこと、自分の運命を拓くことである。一つの時代に対し、自分の運命を拓いていける人にして、初めて時代を拓くことができるのである。」と書かれていました。森信三氏の「修身教授録」にある言葉ですが、「実は真実の道というものは、自分がこれを興そうとか、あるいは「自分がこれを開くんだ」というような考えでは、真に開けるものではないようです。(中略)では真実の道は一体いかにして興るものでしょうか。それには「自分が道を開くのだ」というような一切の野心やはからいが消え去って、この身わが心の一切を、現在自分が当面しているつとめに向かって捧げ切る「誠」によってのみ、開かれるのであります。」とあって、「自分が開くんだ」と思って開けるものではなく、無我夢中に打ち込んできた結果だということだそうです。「時代を拓くとは自分を拓くこと、自分の運命を拓くことである。一つの時代に対し、自分の運命を拓いていける人にして、初めて時代を拓くことができるのである。では、時代を拓くリーダーの条件は何か。一は時代の流れを読み、方向を示すこと。二は必死で働くこと。三は自分を磨き続ける。四は集団を幸福に導く。五は犠牲的精神(自分の都合より組織のことを優先する。)。六は宇宙の大法を信じ、畏敬し、その大法に則り行動する。この条件を徹底、反復、実行する人のみが天から力を授かり、時代を拓くのである。歴史がそれを実証している。」と特集記事は結んでいます。

果たせなかった夢をわが子に託す子育てを「リベンジ型子育て」というそうです。進学や経歴など自分が果たせなかったことを子どもに果たしてもらおうと考える親のことをいうそうですが、そこには親の熱心な思いはあっても、子供の意志がないということになります。「わが子にいい人生を送ってほしい」という願いは親なら誰しも持っているし、その思いを子どもの名前に託すことはよくあることです。しかし、その思いはどうも裏返しになりがちなようにも思います。ぼくが子どもにつけた「拓」という字ですが、たぶん自分自身に向けてのものだったのではないだろうかと思えました。

今年度の石川県の最低賃金は933円になります。過去最大の42円増となり、全国平均でも41円引上げて、初の千円超となる1002円を目安とした水準に達するようです。経営者側は原材料価格の高騰などで中小零細事業者の経営環境が厳しいとして難色を示したとのことですが、日本の将来を考えると良いことなのではないかと思っています。日本経済は「失われた30年」といわれる長期停滞に陥っていますが、そろそろその潮目が大きく変わるではないかといわれるようになってきました。その理由は、まず賃金の上昇です。次に企業の設備投資が上向いていること。企業の設備投資が、2023年度の名目設備投資は前年度比4.5%増の101兆円強、2024年度は105兆円弱に上る見通しで、100兆円超えは32年ぶりになり、2年連続の100兆円超えとなると史上初めてとなるそうです。あとは、将来に向けて日本企業の多くがGX、DXなどの技術革新をリードする力があることだといわれています。これからの日本経済の将来が楽しみです。

 特定社会保険労務士 末正哲朗

最新行政の動き

パワハラ防止法関連 2000社超を是正指導 相談は5万件に倍増 厚労省

厚生労働省は、事業主にパワーハラスメント防止措置の実施を義務付けた労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)の施行状況を明らかにしました。

義務化の対象を中小企業まで広げた令和4年度において、全国に設置されている総合労働相談コーナーなどに寄せられた同法関連の相談件数は5万840件となり、2万3000件程度だった前年度から117.6%増加しました。相談内容は、パワハラ防止措置関連が4万458件(87.7%)を占めました。パワハラに関する相談を行ったことを理由とする不利益取扱い関連も1581件(3.1%)ありました。

相談などを受けて雇用管理の実態把握を行ったのは4899事業所。このうち2258事業所で同法違反がみつかり、是正指導しました。是正指導件数は計2546件で、589件だった前年度の4.3倍に達しています。

指導内容は、「パワハラ防止措置」が1655件で最も多く、以下、「事業主の責務(労働者への研修実施など)」が475件、事業主に対して自らの言動に注意を払うよう努めることを求める「事業主の責務(自らの言動)」404件、「パワハラ相談を理由とした不利益取扱い」12件と続きました。

◆ニュース

勤続期間の要件削除 退職金規定例を見直し 厚労省

 厚生労働省は、企業の参考となる「モデル就業規則」(令和5年7月版)を公表しました。

 従来のモデル就業規則では、「勤続〇年以上の労働者が退職しまたは解雇されたときに、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続〇年未満の者には退職金を支給しない」と記載。勤続年数による制限や、自己都合退職者に対する会社都合退職者と異なる取扱いを例示していました。7月版においては、これらの取扱いを改め、「労働者が退職しまたは解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する」としました。

 モデル就業規則では退職金の支給に関する留意事項として、「退職金制度は必ず設けなければならないものではないが、設けたときは、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算および支払いの方法、支払いの時期などを就業規則に記載しなければならない」と指摘しています。

性同一性障害 女性用トイレ使用制限は違法 トラブル想定し難い 最高裁

経済産業省で働く性同一性障害の職員が、女性用トイレの使用を制限されているのを不服とした裁判で、最高裁判所第三小法廷は国による使用制限を違法と判断しました。

職員は、生物学的な性別は男性ですが、平成11年に性同一性障害の診断を受け、20年からは私生活を女性として過ごすようになりました。21年7月には職場の上司に性同一性障害について伝え、女性の服装での勤務や女性用トイレの使用などを申し出ました。性別適合手術は健康上の問題から受けていません。

経産省は職員の了承のもと、同僚らを対象とした説明会を開き、終了後、職員による女性用トイレ使用について意見を求めたところ、数人の女性職員が違和感を抱いているように見受けられました。経産省は説明会を踏まえ、職員の勤務する階とその上下階の女性用トイレの使用を認めず、その他の階の使用を認める決定をしました。

職員は25年12月27日付で、女性用トイレの使用を含め、女性職員と同等の処遇をするよう人事院に求めました。人事院はいずれの要求も認めない判定を下しました。判定を不服とした職員が取消しを求める裁判を提起し、一審の東京地裁は人事院の判定を違法、二審の東京高裁は適法と判断しました。

最高裁は人事院の判定は裁量権の逸脱・濫用に当たるとして、違法と評価しました。2階以上離れた階の女性用トイレを使用するようになったことを理由とするトラブルは生じておらず、説明会でも明確な異論は出なかったと指摘。職員の置かれた具体的な事情を踏まえずに、他の職員に対する配慮を過度に重視し、職員の不利益を不当に軽視した対応と強調しています。


カテゴリー:所長コラム


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