胎内記憶
2023年06月01日
子どもがお母さんのお腹の中にいたときの記憶のことを「胎内記憶」 というそうです。その胎内記憶の研究の第一人者で産婦人科医の池川明先生が3500人の子どもを対象に実施した「胎内記憶調査」によると、生まれてきた子どもの3人に1人の割合で、胎内記憶が残っていたそうです。胎内記憶については子どもが自らある日突然話し始める場合や、両親からの質問に答える形で話してくれる場合があり、どちらの場合も、本当の胎内記憶を聞くことができるのは一生に一度きりといわれています。その記憶は一般的に4歳位をピークに、徐々に記憶が薄れるそうですが、その子どもたちにこの世に生まれてきた理由を尋ねると、ほぼ全員が「人の役に立つため」と答えると言われます。しかし、誰もが人の役に立つために生まれてきたはずなのに、大人になるにつれて忘れてしまいます。
大阪で20年以上にわたってホームレス支援に携わってきた石黒大圓氏は、人は皆善きことを行うためにこの世に生まれてくるといいます。「人は輪廻転生を積み重ねてきてこの世に再び生まれて来た目的、『世のため、人のため』という思いが心の中になければ、幸せな人生は送れないと思います。そして善き思いを抱く、人のためになること、人の幸せを祈ることは、巡り巡って自分に返ってくるよう世の中は出来ているんです。」(「月刊誌 致知」2023.2月号より)「人の役に立つため」ともうひとつ「幸せになるため」にも生まれてくるものなのですね。「命の授業」の講演家である腰塚勇人氏は、中学校の体育教師をしていたときにスキーの転倒事故で首から下が全く動かなくなる重傷を負いますが、多くの方の支えのもと、奇跡的な社会復帰を果たします。その際に、学年主任の教員にかけられた言葉が「あなたは気づいていないかもしれないけれど、怪我をする前、あなたはたくさんの先生や仲間、子供たちを応援して助けていたのよ。だから、今度は皆があなたを助けてあげたいと思ったんだよ。人生はよくも悪くも自分がしたことを人からされるだけなの。」さらに「助けてもらって嬉しい。自分も何か恩返しがしたい」と伝えると「恩返しなんてしなくていい。恩送りって言葉があるのよ。周りの人を少しでも助けてあげる恩送りの人生を送りなさい」と言ってくれたということです。(「月刊誌 致知」2023.4月号より)「恩送り」は、職場でとても大切な考え方だと思います。新入社員の頃、先輩社員から仕事を教えてもらうなどで世話になった恩を次に入ってくる新入社員の面倒を見ることにより返していく、つないでいくことで人が育つ職場が出来るのではないでしょうか。
厚生労働省は、2022年の出生数が外国人を含む速報値で前年比5.1%減の79万9728人だったと発表しました。80万人割れは1899年以降で初めてで、国が考えていた推計よりも11年早くなったということです。出生数は7年連続での減少になっていますが、昨年の出生数の急減は「結婚」の減少にあるようです。婚姻数は2019年の60万組超から20年に53.7万組に減り、22年も51万9823組となっています。日本は以前から結婚数が出生数に直結しているといわれていて、婚姻数の減少は深刻な問題です。ただ、若い世代(18~34歳の未婚者)の結婚に対する意志は、近年、「一生結婚するつもりはない」とする者の割合が増加傾向でありますが、一方で、依然として男女の8割以上が「いずれ結婚するつもり」と考えています。有配偶率は、男性の場合、雇用形態による差が大きく、正規社員の場合の有配偶率は25~29歳で30.5%、30~34歳で59.0%であるのに対し、非正規社員になるとそれぞれ12.5%、22.3%に低下します。また、年収別にみた場合には、いずれの年齢層でも一定水準までは年収が高い人ほど配偶者のいる割合が高くなる傾向にあるそうです。政府は「次元の異なる少子化対策」に取り組むことを発表していますが、若者が結婚して家庭を持てる社会にすることが一番に必要なのではないでしょうか。
胎内記憶の話の続きですが、子どもによっては、お腹の中に入る前の記憶を話すこともあるそうですよ。
「空の上からずっと見ていて、パパとママの子になりたかったから来た」「ママの子になろうって自分で決めた」
「楽しそうな家族だったから、このおうちにきた」
子どもが両親を選んで生まれて来てくれたなんてすごく夢があってうれしい話だと思いませんか。今年、社会人デビューしたぼくの息子は、22年前にどう思っていたんでしょうか。きっとうちを選んでくれたと信じていますが…そんな息子は、はたして結婚できるのか!ぼくの心配は続きます。
特定社会保険労務士 末正哲朗
◆最新・行政の動き
政府は、令和8年春卒業予定の学生の就職・採用活動について、専門性が高い学生の採用選考開始日を前倒しする方針を決定しました。
現行の日程ルールでは、説明会の開催など広報活動の開始を大学3年3月1日以降、面接など採用選考活動の開始を大学4年6月1日以降、正式な内定日を同10月1日以降と定めています。
8年春卒業予定者の採用活動では、原則として現行の日程を維持しますが、要件を満たした人材に限り、3月の広報活動開始日以降、採用選考活動を行えるようにします。現行の選考開始日である6月を待たずに内々定を出すことも可能になります
日程の前倒しは、大学4年になる直前の春休みに実施する「専門活用型インターンシップ」に参加した学生を対象とします。専門活用型インターンシップとは、企業が行うキャリア支援活動の類型として昨年4月に産学協議会が定義した「タイプ3(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)」のうち、2週間以上の日程で実施するもの。日程の半分は職場での就業体験が必要になります。
選考時期の前倒しを希望する企業は、インターンシップの実施に当たり、就業体験において学生に求める大学での学修成果水準、専門的能力と、新卒一括採用での採用予定人数――を自社ホームページなどで公表しなければなりません。そのほか、プログラムの趣旨や、実施時期・期間、場所、募集人数、選抜方法、無給・有給の別なども示す必要があります。
◆ニュース
張出し以外の方法へ シフト制で取組み事例公表
厚生労働省はいわゆるシフト制の円滑な運用に向けた取組み事例を公表しました。
シフト制は、労働契約締結時点で確定的に労働日や労働時間を定めず、一定期間ごとに作成する勤務割やシフト表によって初めて具体的な労働日・時間を決定する形態。労使ともに柔軟にシフトを組めるメリットがある一方、コロナ禍において、労働時間が激減するなどのトラブルが起きていました。
今般公表した取組み事例は、シフトの決定方法、通知の仕方、急な欠員への備えの3点について、労働者の不満を踏まえた企業の対応を示しています。具体的には、シフトの自動作成アプリの導入や、各従業員の出勤できる日・できない日をあらかじめ把握しておくなどの方法を挙げました。さらに一歩進んだ取組みとして、「シフトは○日前までに決める」などのルール設定や、SNS・メールでシフトを共有する際、後から書き換えられない形式にすることなども推奨しました。
客室乗務員 3年超での無期転換認める 東京地裁
KLMオランダ航空で客室乗務員として働いていた労働者29人が雇止めは違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所は29人全員の無期転換を認める判決を下しました。
29人の労働者は平成22~23年に同社と有期労働契約を締結しました。契約期間は3年間で、1回に限り、2年間の契約更新ができるとされていました。労働者らは25年12月以降、合同労組に順次加入し、無期雇用などを求める団体交渉を重ねましたが、妥結には至りませんでした。
同労組は27年3月、東京都労働委員会にあっせんを申し立て、4回のあっせん期日を経て、労働契約法に基づく無期転換申込権の発生日前日まで、当初の契約にかかわらず、有期労働契約を延長する内容の和解合意書が作られました。同社は和解合意書に従い、30年7月以降、労働者らを雇止めとしていきました。
同地裁は判決で、労働契約の最密接関係地はオランダであり、オランダ法は強行規定で有期労働契約が3年を超えた場合の無期転換を認めていると指摘。労働者らがオランダ法の適用を求めた令和3年5月17日時点で、無期労働契約が成立しているとしました。
最密接関係地の判断に当たっては、人事管理の実態を重視。同地裁は、労働者らは日本とオランダ間を飛行する航空機内で業務に従事しており、労務提供地は複数の法域にまたがっていると強調し、特定できないとしました。そのうえで、採用計画の策定、訓練、運航計画の管理、業務指揮命令、人事評価・管理などはオランダ本社やオランダ国内の部署が行っていたとして、雇入れ地はオランダと評価しています。
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