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『不思議なこと』に気づく

2023年02月01日

「中国人口減 61年ぶり」ということになったようです。中国は、2022年末の人口で、世界最大の人口大国の座をインドに譲りました。中国の一人っ子政策の影響が大きく国連推計では、1月1日時点の外国人を含めない中国の総人口は14億1175万人で、21年末から85万人減少した一方で、インドの人口は14億2203万人となり、中国は外国人を含めても追いつかないとみられています。世界経済をリードしてきた中国の成長力が衰えるといわれており、アジアのパワーバランスに今後、注目しなければなりませんね。

 昨年、2024年秋に健康保険証を廃止し、「マイナ保険証」に100%切り替えると政府の発表がありましたが、その後「マイナ保険証」への切り替えはあまり進んでいないようです。そんな中で、マイナンバーの利用拡大に向けた法改正案が国会に出されるそうです。法案の内容は、現在は社会保障と税、災害対策の3分野に限定しているマイナンバーの利用範囲の拡大が、法改正を経ずに省令により可能とするものです。国会の審議を経ずに行政の判断のみでマイナンバーの使途拡大が進む恐れがあることや、個人情報漏洩のリスクといったところが国会で議論が交わされることになりそうです。

しかし、そもそもマイナンバーの利用拡大を阻んでいるのは政府であるとの記事を日経新聞が昨年、載せていました。編集委員の大林尚氏の「マイナンバーの呪いを解け」という記事です。そもそもカードを使っていろいろな行政サービスが迅速に行われるようになるなど国民にとって、良い面があるのは明らかです。しかし、マイナンバーがカードの裏面に印字され、番号をカバーで隠すようにするなど、政府自身がマイナンバーは秘匿すべきものという思想を作り上げてしまったと言います。平成28年1月にマイナンバーカードが交付され始めましたが、当初は他人に見られた場合、再発行することも可能とされていましたし、職場でマイナンバーを扱う社員は限定する対応も求められていました。大林氏は「国境をロシアと接するエストニアは、番号で把握した国民の情報を国外のサーバーにも置いている。万に一つの有事の際、国土を支配されても国としての機能と行政サービスを続けるためだ。日本近海のきな臭さを考えると、対岸の火事とは片づけられまい。マイナンバーの呪いを解くのは、私たち自身である。」と話されています。

 次に年金制度改正法についてです。公的年金制度は、長期的に財政の健全性が維持される必要があるため、定期的な検証がなされます。それは財政検証といわれるもので、2004年に導入されました。それ以来、財政検証は5年ごとに実施され、次回は2024年に予定されています。その2024年財政検証が今、注目されています。それは基礎年金の加入期間を現在の40年から45年に延長することが課題に上がっているからです。2019年の財政検証の追加試算の結果で、基礎年金水準の低下防止、年金制度の所得再配分機能の維持・強化に取り組む必要が確認されていますが、経営コンサルタントの小宮一慶氏は、著書「社長の成功習慣」(ダイヤモンド社)で、2019年度の国家予算における社会保障費の額について話されています。「2019年度の予算総額は約101兆円で、その中で最も大きな割合を占めるのは社会保障費です。実に34兆円にも上っているのですが、みなさんはこの数字を見て『不思議だな』と思いませんか?私たちは、毎月、税金とは関係ないところで公的年金保険料や健康保険料などの社会保険料を払っています。それに、年金についていえばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がみなさんの年金積立金を預かっていて、それは今160兆円ほどあります。それなのに、年金と医療費のために一般会計からそれぞれ十数兆円も拠出されているのはおかしいと思いませんか?結論を言ってしまうと、『社会保険料だけでは社会保障が成り立たない』からこのような事態になっているのです。(中略)GPIFが預かっている160兆円のお金についても、自分の頭で考えてみましょう。(中略)日本の人口はおよそ1億2600万人ですが、公的年金に加入していない20歳未満の子どもが2116万人ほどいるので、『年金保険料を払っている人と年金をもらっている人』はおよそ1億人いることになります。160兆円をこの1億人で割ると、1人あたりの金額はたったの160万円にしかなりません。」

 小宮氏は、「『不思議なこと』を見つけたら、自分の頭で考えてみることが大切」だといいます。何事にも関心を持って「不思議なこと」に気づけるようにしておくことも忘れないようにしないといけないと思いました。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

労働政策審議会の部会は、今年4月から失業等給付分の雇用保険料率を0.2%引き上げ、法律上の原則どおり0.8%にすることを了承しました。引上げ後の雇用保険料率は1.55%となります。

雇用保険財政はコロナ禍前までゆとりがあったため、料率は法律で定める原則よりも引き下げていました。財政がひっ迫するなか、令和4年度はそれまで労使折半で0.2%だった失業等給付分の引上げを決定。激変緩和措置として9月まで0.2%を維持し、10月以降も0.4%引上げの0.6%に抑えていました。

同措置は今年3月で終了し、4月以降は、失業等給付分を原則どおり0.8%とします。労使で折半する育児休業給付分の0.4%と、事業主が負担する雇用保険2事業分の0.35%は据え置きます。全体の保険料率は1.55%で、うち使用者負担は0.95%、労働者負担は0.6%。

昨年12月16日の部会で使用者委員は、「失業等給付や2事業分の残高が枯渇している状況などを考えれば、保険料の原則復帰はやむを得ない」と理解を示す一方、「使用者の負担増加は賃上げマインドを低下させる懸念がある」と指摘。雇用保険財政の安定化に向けて、一般会計からのさらなる組入れを求めました。

◆ニュース

労働局に「荷主対策チーム」 改善基準告示の改正受け

 厚生労働省はこのほど、トラックなど自動車運転者の拘束時間を定めた改善基準告示を改正するとともに、令和6年4月の告示適用に向けた周知態勢を整えました。

トラック運転者の改善基準告示は、1年の拘束時間の上限を現行の3516時間から原則3300時間、最大3400時間に引き下げるとともに、1カ月の拘束時間の上限を原則293時間から同284時間に変更しました。継続8時間以上の確保を義務付けていた1日の休息期間も拡大し、「継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない」と定めています。

 トラック運送業では、荷主の都合で長時間の荷待ちが発生するケースが少なくないことから、各都道府県労働局に、管内労働基準監督署と労働局の担当官による「荷主特別対策チーム」を立ち上げています。厚労省ホームページ内の情報提供メール窓口に寄せられる情報に基づき、労基署のチームメンバーが発着荷主を訪問し、恒常的な荷待ちの改善に向けた配慮を要請します。

◆調査

残業長いほど増加傾向 コロナ禍における職業生活のストレス調査

 連合は「コロナ禍における職業生活のストレスに関する調査2022」をまとめました。コロナ禍前と比べた仕事や職業生活に関してのストレスの増減について聞いたところ、「かなり増えた」もしくは「やや増えた」と回答した人の割合は36.6%。「かなり減った」と「やや減った」の合計は8.3%でした。


残業時間についてみると、時間が長いほど、ストレスが「かなり増えた」人の割合が高く、具体的には、「10~20時間未満」が12.8%、「20~40時間未満」が14.7%、「40時間以上」が20.7%となっています。 職場でのコミュニケーションについて、「悩み、不満、問題を上司に伝えやすい」と回答した人の割合は、ストレスが増えた人では35.2%でした。ストレスが変わらなかった人などを含む全体の割合(46.3%)と比べて10ポイント以上低くなっています。


カテゴリー:所長コラム


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