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日々のこころがけ

2021年11月01日

王貞治氏の話です。『僕の現役時代には、一球一球が文字通りの真剣勝負で、絶対にミスは許されない、と思いながら打席に立っていました。よく「人間だからミスはするもんだよ」という人がいますが、初めからそう思ってやる人は必ずミスをするんです。基本的にプロというのは、ミスをしてはいけないんですよ。プロは自分のことを、人間だなんて思っちゃいけないんです。百回やっても、千回やっても絶対俺はちゃんとできる、という強い気持ちを持って臨んで、初めてプロと言えるんです。相手もこちらを打ち取ろうとしているわけですから、最終的に悪い結果が出ることはあります。でも、やる前からそれを受け入れちゃダメだということですよね。』(「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」致知出版社)これは頭で理解はできるのですが、なかなか王さんのように思いこんで実践することは難しいものです。自分を信じ切って、全力を出し切ることができる人はそうそういません。

リンゲルマンというフランスの農学者がやった「綱引き実験」のお話です。『一対一で全力を出して綱引きをしたときの力の単位を100としたとき、各々がもう一人ずつ連れてきて二人対二人で綱引きをやると、一人当たりの発揮できるパワーは100から上がるか下がるか。三人一組で綱引きをやるとどうなのか。もう少し人数を増やして八対八だとどうなるかということを実験したのです。リンゲルマンの実験では、二人一組のときにそれぞれが発揮する力は一対一のときの93%になりました。つまり、7%の手抜きをしていることがわかりました。これが三人一組になると15%の手抜き、八人一組の場合はなんと51%の手抜きが見られるという結果が出ました。このデータにしたがえば、全力を出す四人と手抜きをする八人で綱引きをすると、全力を出す四人のほうが勝つことになります。これは「社会的手抜きの実験」と呼ばれるものです。』「ワンチーム」という言葉を使う人がいます。日本語でいうところの「一体」ということを表わしているわけですが、一丸となって事に当たるということは確かに勇ましいけれども、実は手抜きを誘発しているということだそうです。(「経営者を育てるアドラーの教え」岩井俊憲著 致知出版社)

雇用調整助成金の特例措置が11月30日まで延長されることになりました。雇用調整助成金とは、事業主の命令で休業した従業員に休業手当を支払った場合に、休業手当の額に応じて支払われる助成金です。コロナウィルスの蔓延が続く中で、雇用者総数が2021年4月に13か月ぶりに増加に転じていて、その後もプラスを続けているそうです。完全失業率はコロナ禍で最も悪かったときで3.1%。直近の7月は2.8%となっていて、現在の日本の雇用状況は「完全雇用」に近いといえます。

先日、コロナが蔓延して以来、助成金を使って長期にわたり従業員を休業させてきた経営者のかたが「久しぶりに従業員を出社させて仕事してもらったけど、ぜんぜん仕事がすすまないんだよ。」と話していました。その社長がいうには、久しぶりの仕事で身体がなまってしまっていたということだそうです。休業前には、当たり前に出来ていたことが出来なくなってしまっていたそうでコロナが終息して本格的に稼働する前に出社させてよかったと言っていました。やはり、助成金を使って休みにしてしまうと、働かなくても給与が入ってくるので、働くことがバカらしくなるようです。スポーツでは「練習を1日休んだら取り戻すのに3日かかる」といわれますが、仕事も同じようです。できることなら、もうそろそろ会社を元に戻していくことも必要なようです。

「知識も大事。しかし、それがなければ、ほんとうに仕事ができないというものでもない。たとえ知識が乏しく、才能が劣っていても、なんとかしてこの仕事をやりとげたい、そういう誠実な熱意にあふれていたならば、そこから必ずよい仕事が生まれてくる。」(「おろそかにしない」「道をひらく」より)

「商売も同じこと、経営も同じこと。けじめをつけない経営は、いつかはどこかで破綻する。景気のよいときはまだよいが、不景気になればたちまちくずれる。立派な土手も蟻の穴からくずれるように、大きな商売も、ちょっとしたけじめのゆるみからくずれる。だからつねひごろから、小さいことにもけじめをつけて、キチンとした心がけを持ちたいもの。そのためには何と言っても躾が大事。平生から、しっかりした躾を身につけておかなければならない。」(「けじめが大事」)松下幸之助さんの言葉でした。どのような社会になっても日々のこころがけの大切さは昔から変わらないようです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

公取委が「最賃引上げ対応」 中小相手の取引公正化へ

今年10月の地域別最低賃金引上げは、過去最高の28円の上げ幅となりました。公正取引委員会は、中小企業に不当なしわ寄せが及ばないように、「中小事業者等取引公正化推進アクションプラン」をまとめました。

関係省庁連絡会議のワーキンググループが、今年8月に「9月を『価格交渉促進月間』とする」決定を行いましたが、アクションプランはその取組みの一環です。

最賃引上げに伴う「買いたたき」、「下請代金の減額」、「支払遅延」等を防止するため、下請法の執行強化や相談対応の整備等を図ります。

全国9カ所に相談窓口を設置するほか、オンラインによる相談会も実施します。「下請事業者が、最賃引上げ対応のため単価アップを求めた際、親事業者が一方的に単価を据え置くのは、『買いたたき』に該当」等のQ&Aも作成し、周知を図ります。

雇保「二事業」の資金底つく 雇調金等支出が急増

厚生労働省の公表では、雇用保険制度の収支状況が急激に悪化しています。失業給付関係の積立金残額が大きく減少したほか、雇用保険二事業の資金残高はゼロとなっています。

失業給付関係積立金は、その名のとおり、離職時の基本手当等の原資となるもので、労使折半の保険料が主財源です。

令和元年には4兆4871億円あったのが、3年度(予算)には4039億円まで減少する見通しです。

雇用保険二事業は助成金の原資となるもので、保険料はすべて事業主負担です。雇用調整助成金をはじめとする支出増により、資金残高ゼロと底をついています。

一般会計や失業給付関係積立金残高から借り入れをして、増大する支出をまかなっている状況です。

未払残業400万円支払え コロナ解雇後に争い

健康美容メーカー勤務の従業員が、新型コロナの影響で解雇された後に未払い残業代の支払いなどを求めた事件で、東京地方裁判所はメーカー側に400万円の支払いを命じました。

病気で9日間休んだ後に出勤したところ、会社から「コロナによる事業縮小」を理由とする解雇通知書を交付されました。

同社店舗では、「営業開始時刻の45分前には朝礼があり、遅刻者は店舗に連絡を入れる」とされていた点等を考慮し、裁判所は「少なくとも出社を黙示には指示・命令していた」と指摘し、2年間の未払い残業代の請求を認めました。

さらに解雇予告手当も支払われておらず、割増賃金と予告手当の不払いに正当な理由もないとして、労基法114条で定める付加金を合わせ、約400万円の支払いを命じたものです。


カテゴリー:所長コラム


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