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男性育休の取得義務化

2021年07月01日

イエローハットの創業者である鍵山秀三郎さんがあるところで若い人たちに、「成功のコツは二つある」と話されたそうです。「何だと思われますか?」との質問に対し、会場からいろいろな答えが返ってきましたが、鍵山さんは「コツは二つといったでしょう」と言って「コツコツ」と板書されたそうです。会場ではどっと笑いが起こったようですが、これは笑い話ではなく真面目な人生の真実のようです。松下幸之助さんは、「成功するとは成功するまで続けることだ」と言いました。また、97年の生涯を生きられた仏教詩人の坂村真民さんが生前に「一つのことをコツコツと誠心誠意続けていると、不思議なことが起こってくる」と仰っていたそうです。月刊誌「致知」の編集長である藤尾秀昭さんは「だから、本当にコツコツ、倦まずたゆまず希望をもってやり続けていくと、天地が味方をして、何か不思議なことが起きてくる、というのが私の実感です。」と話していました。ぼくは、先日、たまたま大腸の内視鏡検査する機会があって、診てもらったところまずいポリープが見つかり、早めに切除することが出来ました。ぼくの父親は58歳の時に大腸ガンで亡くなっているので、同じ運命を辿っていたのだと思いますが、なんとかぼくは助けられたようです。これからまだまだ世の中のために一生懸命がんばりなさいと言われたように感じました。(「はじめて読む人のための人間学」藤尾秀昭 致知出版社 より)

オリンピックを前に通常国会は閉会となりましたが、気になるのは労働関係の法改正のことです。厚生労働省は、新型コロナウィルス感染症対策に時間をとられて、これまで大きく進んできた働き方改革はいったんお休みとなっていて、今国会での労働関係の法案提出は、育児介護休業法改正案のみになりました。その内容は、男性の育児休業取得促進のために、子の出生直後の時期に柔軟な取得を可能とする制度の創設が柱になっています。男性社員は、子の出生後8週間以内に4週間まで休業を取得できて、2回までの分割取得が可能になります。それに伴い、この改正で、従来の育児休業も新たに2回までの分割取得が可能となりました。また、休業取得の申出は、現行の「1か月前」よりも短縮して「2週間前」となり、取得しやすくなります。さらに労使協定を締結することにより、新制度の育児休業中に就業することが認められました。男性社員が取得し易くするための配慮ですね。次に企業に対して、妊娠・出産の申出をした労働者に対して、事業主側から制度の周知と休業の取得意向の確認を個別に行うよう義務付けられました。これは男性社員の側から言い出しにくいという状況の解消が目的のようです。従業員数が1000人超の企業に対しては、育児休業の取得の状況についての公表も義務付けとなりました。この法律の施行は、原則として令和4年4月1日となっています。

男性の育児休業を取りやすくするその改正育児介護休業法は成立しましたが、内閣府が公表した数字では、子育て世代の男性で育児休暇を取得しない人が4割を超えているそうです。その調査結果の内容ですが、20~30代の既婚男性に育休の取得予定を聞いたところ「取得しない」42.2%、「取得予定」39.4%となっていて、取得期間については「1週間未満」17.1%、1~2週間未満8.9%、「1か月以上」8.4%の順だそうです。長期の育休を取らない理由は、「職場に迷惑をかけたくない」が最も多くなっていますが、「職場が男性の育休を認めない雰囲気である」などの回答も多く、男性の育休への職場の理解不足が取得への壁になっていることがわかります。内閣府の担当者は、「取得が進まないのは、制度より職場の雰囲気にあり、変えていかなければならない」と強調していますが、一方で、男性労働者が育児休業を取得することは良いと思うが、大企業はともかく、小零細企業では代替要員を確保できないために死活問題となりかねないという意見も多くあるようです。

ただ、男性社員が抜けることと女性社員が抜けることの企業へのダメージは本来、一緒である社会を日本は目指しているのではなかったでしょうか。仕事上、女性よりも男性のほうが、重要なポジションに多く就いているということなんでしょうね。こんなところに日本社会の考え方が垣間見えるように思いました。どうも問題は違うところにあるという見方もできるのではないのかなと感じました。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

総合職で22万円超え 令和4年大卒初任給

インターネット上の求人情報を対象として労働新聞社が実施した調査によると、令和4年3月卒業見込みの大卒初任給は、総合職の平均が初めて22万円を超えた(22万826円)ほか、他の職種も上昇傾向を示しました。

総合職(主として首都圏勤務の全国転勤型。事務・企画・営業系)の集計企業のうち、23%が水準を引き上げ、残りの77%が据置きを選択しています。

技術系は22万3281円で、特に高齢化・人材不足に直面している建設業では、全体の3割強が初任給を増額しました。

このほか、一般職(事務系)は19万1160円、営業職は23万3822円という結果でした。前年調査と比べると伸び幅はほぼ半減していますが、大卒初任給に対する経済停滞の影響は限定的となっています。

国家公務員の定年65歳へ 賃金は60歳前70%に設定

通常国会で、国家公務員の定年の段階的引上げが決まりました。国家公務員法の改正案上程は前年に続き2度目です。前回は検察幹部の特例規定に対する批判により廃案となりましたが、今回は特例部分がカットされています。

令和5年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ、13年度に65歳とします。現在、民間企業に対しては「希望者全員65歳まで継続雇用(60歳定年で継続雇用による場合等も可)」が義務付けられていますが、65歳定年は公務員が民間をリードする形になります。

 60歳以降の賃金は当分の間、60歳以前の70%に設定、同時に管理監督職は60歳までとする役職定年制を設けます。13年度までには、給与全体を見直し、賃金カーブを緩やかにする方向で、検討を進めるとしています。

民間企業の定年引上げに関しては、賃金体系がネックとなっています。段階的引上げの間に、人事院がどのような制度設計を提示するのか注目されるところです。

なお、今国会では、改正育介法、改正健保法も成立しました。

雇保料率の引上げを 財務省審議会が意見

雇用保険料率は平成29年度以降、5年連続で1000分の9という低水準で据え置かれています。一方、新型コロナウイルスによる失業防止のため雇用調整助成金の支出が3兆円を超えるなど、財政状況がひっ迫しています。

財務省の財政制度等審議会は、この問題について「まずは保険料引上げによる対応が検討されるべき」という意見を表明しました。

現在の雇用保険料率は本則ではなく、附則により「時限的」に引き下げられています。附則の期限(令和2年度に一度延長)は令和3年度末までとなっているので、令和4年度以降の対応は、今年度末に労働政策審議会で議論する方針です。

ただし、雇用保険財政の悪化は、上記とは別に国庫負担を軽減する特例(平成19年度から実施)によるという指摘もあり、議論は曲折が予想されます。


カテゴリー:所長コラム


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