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時代の移り変わり

2021年05月06日

あるテレビ番組を見ていたところ、視聴者からの投稿で、4歳の娘が板チョコレートを片手に持ち、それを耳に当てて電話ゴッコをしているのを見た父親が「〇〇ちゃん、電話ならこっちのバナナのほうがいいんじゃない?」と声をかけたところ、訝しげな顔をされたそうです。お父さんは、固定電話の受話器をイメージしていたのですが、その○○ちゃんにとっての電話というのはスマートフォンだったんです。よくおじさんが、片手の親指と小指を広げて電話しているポーズをとっている様子をみることがありますが、すでに時代遅れだったようです。今の子供にとっての電話は「板チョコ」だったんですね。時代はどんどん変わっているようです。

以前から「週休3日制」が議論されるようになっています。これまでは、時間が短くなる分、給与が減るのが一般的ですが、給与を減らさない場合には、1日10時間働くことになるので、なかなか制度の導入はすすまなかったように思います。その週休3日制ですが、政府・自民党内で導入論が浮上してきているようです。自民党1億総活躍推進本部は、希望に応じて週休3日を選べる「選択的週休3日制」の普及を目指しているそうです。休日を増やすことが、育児・介護との両立や、地方での副業など多様な勤務形態の後押しになると指摘しています。提言案は政府に提出されるそうですが、政府としては、人件費抑制を目的とした導入をどう防止できるかが課題で、利点としては「日常とは異なる経験が個人の活躍や能力発揮に役立つと提唱しています。そして、週休3日制を安定した雇用と組み合わせることで幸福感や所得の向上が可能となり、社会の安定につながる」としています。少し理解に苦しみますが、ぼくの頭の中もまた時代遅れなのでしょうね。

先日、未払残業代の訴訟について弁護士さんとお話をする機会がありました。何回か法律事務所が未払の残業代について訴えてくるといったことを書いたことがありますが、だんだんと訴訟が増えてきていると話されてました。あと、弁護士が突いてくるポイントも決まっているそうなので、取り上げてみます。まずは、変形労働時間制を導入している会社は要注意です。たとえば、1年単位の変形労働時間制をとる場合には、就業規則にその旨を規定し、1年単位の変形労働時間制に関する労使協定を労働基準監督署に届け出なければなりません。変形労働時間制は、変形期間の働き方が特定されているということが必要です。そこで、求められるのは、所定労働時間、休憩、休日について変形労働時間制を定める規定の中に書いてあることです。弁護士さんがいうには、規定が不十分で、裁判になると変形労働時間制が、否認されるケースがとても多いということだそうです。労働基準監督署が認めている手続きがとられている場合であってもです。裁判になると、一般的な書籍に載っている規定の仕方では対応できないということですので、十分に注意をすることが必要です。

変形労働時間制が否定されると、残業時間が原則通りに計算されるので、大幅に残業時間が増えることになります。あと、ポイントになるのは変形労働時間制の協定書が社内で周知されているかどうか、協定書の従業員代表が民主的な方法で選任されているかどうかといったところです。

また、固定残業手当を支給している場合も注意が必要です。固定残業手当は、毎月決まった時間数の残業代を支払うものです。月の残業時間数が、その決めた時間数に満たなくても支払う手当ですが、その時間を超えてしまった場合には追加して支払うことが求められます。その差額が支払われていなかった場合や含まれている残業時間数が労働条件通知書などによって明示されていない場合は、固定残業手当は認められず、残業代の支払いを命令されます。

通勤手当、家族手当や住宅手当など、残業代の単価を算出する場合に除かれる手当があります。しかし、なんの条件も設けずに、たとえば通勤距離に関係なく一律に同じ金額を通勤手当として支給している場合などは、除くことはできないので、残業代の再計算を命じられます。

これらのことは、以前は認められてきたようなことなので、意外と多くの会社で見られることです。しかし、今では裁判になった場合に、確実に会社が負けてしまうことになるので、早めの対応が必要です。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

「賃上げの流れ」は維持 2021春季労使交渉

春季労使交渉の集中回答日となった3月17日、先行する大手企業では、回答を得た51組合がすべて賃金構造維持分を確保しました。

金属労協の高倉明議長は、「8年連続となった賃上げの流れを継続できた」と総括しました。中小製造業の組合が多くを占めるJAMでも、「大手追従から脱却の流れ」を評価しています。

4月5日時点で連合がまとめた集計結果(2136組合)では、平均賃金方式での定昇相当込み賃上げ額・率は5463円・1.82%(前年比298円・0.12ポイント減)という状況です。

300人未満の中小組合(1369組合)は4639円・1.84%(同169円減・0.09ポイント減)で、率では全体を上回る健闘ぶりです。

「偽装一人親方」を排除へ 労働者性あり2割

国土交通省は、一人親方問題に関する中間とりまとめ案を明らかにしました。「社会保険の加入逃れ」などの不正防止のため、下請ガイドラインを改正する方針です。

実態が雇用形態であることが明らかな技能者を一人親方として取り扱う企業は、下請け企業に選定しないなど規制を強化します。

不適正な例として、①実務経験年数が10年以上なく、建設キャリアアップシステムのレベル3相当以上の技量のない20歳台労働者、➁特定会社に専属従事し、始・終業時刻を指定され、具体的な指揮命令を受けている個人事業主等を例示しました。

防止策として、元請企業に対し、現場入場時のチェックリスト活用、ヒアリング等の実施を求めるとしています。

JILPT(労働政策研究・研修機構)は、過去に「労働者性」が問題となった事案を分析した結果、22.1%で個人事業主に該当しないという研究結果を公表しています。

◆監督指導動向

休業装い不正受給 雇調金の新型コロナ特例 秋田労働局

秋田労働局は、新型コロナ特例の雇用調整助成金を不正受給した事業主名を公表しました。

特例では、助成率や支給上限額を引き上げるほか、通常は休業を実施する前に提出する計画届を不要とするなど、事業主に対するサポートを手厚くしています。

3月31日時点で、雇調金の支給額は全国で3兆1579億円、支給決定件数307万8648件に上っています。

不正はそうした中で発覚したもので、公表対象となった宿泊業者は、実際は勤務していた労働者を休業と偽って水増し申請をしていました。受給した助成金の総額は545万円余で、一部は既に返還されているとのことです。


カテゴリー:所長コラム


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