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デジタル社会の生き方

2021年04月01日

ぼくが大学を卒業後に入社した生命保険会社で同期だった友人が転勤で3年前に金沢支社に赴任してきましたが、この3月に埼玉県のほうに転勤することになりました。懐かしくも楽しい3年間でしたが、最後に二人で送別会をしたときに「最近は、保険の販売に対するノルマがなくなったんだよ。営業職員の新規採用の人数も制限してんだよ。会社は経営方針を変えてきているんだけど“CX”って知ってるか?」

ぼくが勤めていた頃は、保険の販売と採用の2つのノルマが毎月あって、その2回のノルマ達成に本当にシンドイ思いをしていたわけですが、そのノルマが本当になくなったというんです。そして、その後に経営戦略の中心に据えたのが「CX(カスタマー・エクスピアリエンス)」という考え方だそうです。簡単に言うと、生命保険に加入してもらうことを企業利益と考えず、顧客が、保険の加入を考えたときに自社を選んでもらえることこそを企業利益とするのだそうです。保険の販売時や販売後のアフターサービスなどの過程を通じて企業価値の訴求を重視するという意味なのだそうです。今、このCXという概念は大企業を中心に広まっているようです。ただ、この友人に「意味分かってる?」って聞くと「何をしていいのかわからないよ。」と笑っていました。以前、日本製の携帯電話を、ガラパゴス化しているという意味で「ガラケー」と言ったことがありました。一橋大学の神岡教授は、「顧客視点に立って、本当に顧客にとって価値があることは何かを考えることがCXの基本となります。細分化されたサービスがあれば、その個々ではなく全体としてのサービスで評価することが重要です。」と保険業界に対して提言をしています。自社の商品、サービスがどういったものかを顧客に提示することが大切なのではなく、その商品、サービスを利用することで顧客の生活がいかに豊かになるかを顧客自身に経験してもらうことのほうが大切だということなんでしょうね。また、神岡教授は航空会社を例にあげて顧客視点に立つことの実践について話しています。「ある航空会社は定刻到着率の高さをアピールしています。しかし、顧客の立場では、定刻に着陸することに、あまり意味はありません。むしろゲートに何時に着くのかが重要ですよね。着陸後の滑走路で機内に30分待たされることもあるので、着陸した時刻ではなく飛行機から降りた時刻が大切なわけです。つまり、顧客が何を経験したかを見ずに、我社はこれだけ上手くやりましただけでは、真の顧客視点に立ったことにはならないのです。」

デジタル改革関連法関係等6法案が2月9日閣議決定され、現在、令和3年9月1日施行に向けて国会で審議されています。この法案の概要は、IT基本法を廃止して、デジタル社会形成の基本方針などを定めたデジタル社会形成基本法を制定することで、デジタル庁を日本の官民のデジタル化を牽引する司令塔とすることになります。菅首相は、「誰もがデジタル化の恩恵を最大限受けることができる、世界に遜色のないデジタル化を実現したい」と衆院本会議で強調しました。課題は多いようですが、日本のデジタル化に多いに期待したいです。

これから社会の進むスピードがこれまで以上に速くなっていきます。20世紀に比べると、21世紀は情報量だけでも1万倍になっているそうです。18世紀に生きた一人の人間が、生涯を通じて得ていた情報量は、現代人に換算すると、朝刊1週間分程度だそうです。もちろん情報の質も全く違います。

こんな話があります。「一頭のカバが川を渡っているときに自分の片方の目を川に落としました。カバは周囲を必死になって探しました。カバの激しい動きが周囲の水を濁らせました。そのため目の行方はわからず、見つかりません。川岸にいる鳥や動物が、カバに向かって『少し休んだほうがいい』と助言しますがカバは言うことを聞きません。目を亡くしたくないカバは、休むことなく一心不乱に目を探し続け、ついに疲れ果ててその場に座り込んでしまいました。カバが動きまわるのをやめると、川は静寂をとり戻し、カバがかき回して濁らせていた水は泥が沈み透き通って見えるようになったのです。こうしてカバは自分の目を見つけることができました。」( 参照 「座右の寓話」著 戸田智弘)人は何も考えずにぼんやりしているときにこそ、ひらめきが降りてくるという話があるそうです。ひらめきという訪問者は、忙しい人を嫌い、ぼんやりしている人を好むそうです。人はずっと走り続けることは良いことではなく、出来ることでもないので、しばらく走ったら休息をとり、自分の走りを見直すのが賢明だそうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

「カスハラ」でマニュアル作成へ 省庁連携し対応策示す

厚労省は、「顧客からの著しい迷惑行為」に関する防止対策の推進に向け、関係省庁横断的な連携会議をスタートさせました。  

対象となるのは、カスタマーハラスメントやクレイマーハラスメント(顧客・消費者・取引先からの悪質なクレームや不当な要求)です。

連携会議には、厚労省のほか、経済産業省、国土交通省、農林水産省に加え、オブザーバーとして法務省、警察庁も参加します。

仕事上で接する顧客等には、会社の就業規則の適用がないため、効果的な対策を取るのは困難です。一方で、企業は労働契約締結に伴い、安全配慮義務が生じ、外部からの迷惑行為についても、労働者の心身の健康確保が求められます。

会議では、職場のパワーハラスメントとの相違点を踏まえた実態調査を踏まえ、令和3年度中にマニュアルをまとめる方針です。

部下の過労死で重過失 取締役に賠償命令

従業員の遺族が脳出血による死亡は長時間労働が原因と訴えた事案で、東京高等裁判所は会社と取締役に2355万円の賠償金支払いを命じました。

営業技術係長だった従業員は、自宅トイレ内で倒れ、搬送先の病院で死亡しました。発症1カ月前の時間外労働は85時間、2カ月前は月111時間など、残業が続く中での脳疾患死です。

争点は、会社の安全配慮義務違反のほか、取締役の賠償責任です。会社法429条1項では、「役員は、重過失によって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。

判決によると、「直属の取締役は、過労死の危険性を容易に認識できたにもかかわらず、『他の従業員に代わってもらうよう声がけする』等のほか、業務量を減らす実効性ある措置を講じていなかった」と述べ、重過失があったと認定しました。

一方、本社常駐の社長・会長については、遠隔地にある支社の増員検討等には一定の時間が必要であったとし、賠償責任を否定しました。

全国どこでも「居住地不問」 テレワーク化で可能に

転職サービス業のパーソルキャリア㈱は、令和3年4月から、居住地を問わない「フルリモートワーク制度」を順次導入します。

所属長への申請・許可を得て、「原則出社なし」の働き方に移行しますが、その後は住む場所を問いません。

介護のため帰郷したり、配偶者の転勤で引っ越したりしても、当初の所属・業務に変わりありません。ただし、全国に30ある拠点のいずれかに片道2時間程度で出社できることが条件となります。

従来は東京勤務が前提だったエンジニアなどの職種に、転居せずに挑戦することもできます。全社員5500人のうち、職業紹介に従事しない2000人を対象とします。


カテゴリー:所長コラム


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