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70歳までの就業機会の確保の確保が努力義務に

2021年03月01日

新型コロナウィルスの流行で、マスクはもう必須となっていますね。息苦しいこともありますが、顔が半分隠れるというのは、なかなか便利なものだなと思っています。人前であくびしてもわからないし、忍者になったような気分にもなります。そんなマスクですが、東京女子大の田中章浩教授が、日本人と欧米人のマスクに対する心理について興味深い話をされています。

今は世界中の人がマスクをするようにようになりましたが、アメリカのトランプ元大統領が「マスクはしない」と公言するなど以前の欧米ではマスク着用を嫌がる人が多かったようです。この日本と欧米のマスク着用の習慣の違いには、心理学の観点から考えると「コミュニケーションで顔のどのパーツをより重視するか」ということがポイントになっているそうです。メールなどで使われる顔文字を見て、米国人と日本人が顔のどのパーツから感情を読み取っているかを比較した研究があるそうです。日本人は目元で、米国人は口元で感情を読み取る傾向があることが実験でわかったということです。別の研究では、ヨーロッパの人々も口元を重視していることがわかっているとのことでした。

顔の中で一番明らかに感情が表れるのは口元で、一番感情を偽りにくいのが目元だと言われていて、口元は1~2センチは動き、大きく変化しますが、目元は数ミリしか動かない。他方で口元の筋肉は意思で動かせるため感情を偽れますが、目元を意思で動かすことは難しいといわれています。ようするに、感情を表に出す文化の欧米人にとっては、気持ちを読み取るのに口元がわかりやすいし、感情をあまり表に出さない日本人は、意思で動かしにくい目元を見るほうが、相手の意思を読み取りやすいといったことになるそうです。

日本人は口元が隠されてもそれほど気にならないですが、欧米人には相手の感情を読み取るのに重要な口元が隠されたマスク姿は、不気味に見えるためなじめないそうです。日本人が、目元の隠れるサングラス姿を見て怖い印象をもつことと似ているのだと田中先生は話しています。

今年の4月1日から改正高年齢者雇用安定法により、70歳までの就業機会を確保する高年齢者就業機会確保措置を講ずることが事業主の努力義務となります。65歳までは、「雇用」の確保ですが、70歳までは、「就業」機会の確保となっているのがポイントです。就業機会の確保には、業務委託や社会貢献事業への従事といった、これまでにない選択肢が入っています。個人的な意見としては「70歳まで皆が働けるの?」といったところです。なので、「雇用」ではなく「就業」機会の確保、「努力義務」となっているのでしょう。ですが、最近、この法改正や70歳までの人材確保の意味から対応をしたいという企業が増えてきています。制度の概要と主な実務上の留意点をおさらいします。

従業員を60歳まで雇用していた事業主は、その労働者を65歳まで雇用する義務に加えて、65歳から70歳までの就業機会を確保するため次のいずれかの措置を講ずる努力義務を負うことになります。

雇用 ① 70歳までの定年の引上げ ② 定年制の廃止 ③ 70歳までの継続雇用制度の導入

非雇用 ④ 70歳までの継続的に業務委託契約を締結する制度の導入 ⑤ 70歳まで継続的に社会貢献事業(有償)に従事できる制度 の導入

70歳までの継続雇用制度は、65歳までの継続雇用制度とは異なります。まず、大きな違いとなるのは努力義務であることです。基準を設けて対象者を限定することができます。過去の人事考課や出勤率、健康診断結果など具体的、客観的な基準であれば問題ありません。そして、継続雇用先ですが、自社や子会社、関連会社等に加えて、高年齢者を継続して雇用すると契約する他社も含まれています。その他にも、創業支援等措置の導入や業務委託、事業主が行っている社会貢献事業などに従事させることも含まれていて、人生において「引退」という言葉はなくなりそうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

賃上げ率は2%を割り込むと予想 コロナショックが影響

日本の実質GDPは2020年度通期でマイナス成長となる見込みで、景況感は若干改善しているものの、景気回復には時間を要する状況です。労働側は昨年同様の賃上げ目標を掲げていますが、賃金コンサルタントの予想では賃上げ率は2%を割り込みそうです。

プライムコンサルタントの菊谷寛之代表は、「景気低迷で消費者物価は8月以降マイナス基調で推移し、有効求人倍率も1.04倍まで低下した。昨年退陣した安倍政権はデフレ脱却を呼びかけた結果、2014年から7年間、2%台の賃上げ率が続いてきたが、新政権の動きは鈍い。2022年のベアは400円前後で、定昇分もやや圧縮される可能性を考えると、賃上げ率は1.8%前後」と観測します。

賃金システム研究所の赤津雅彦代表は、「直近の昨年末賞与は、飲食・生活関連サービス業界で支給停止等も行われた。最低賃金の上昇が一服したことも、賃上げにはマイナスに働く。日本全体で、本気になって知恵を出し合い、『労働価値創造型』賃金等への移行を断行しない限り、賃上げ率が1.7%に届かない可能性もある」と厳しい見方を示しました。

在宅手当の課税取扱い示す 通信費・電気料金でFAQ

働き方改革と新型コロナウイルスが相乗効果となり、テレワークの導入企業が増加しています。国税庁は、そうした状況を踏まえ、「在宅勤務に係る費用負担などに関するFAQ(源泉所得税関係)」を明らかにしました。

基本的な考え方として、在宅勤務の通常経費について、精算方式により実費相当額を支給する場合、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

一方、毎月5000円を「渡切り」で支給するなど、不使用分を会社に返還する必要がないときは、課税所得として取り扱われます。

働き方改革と新型コロナウイルスが相乗効果となり、テレワークの導入企業が増加しています。国税庁は、そうした状況を踏まえ、「在宅勤務に係る費用負担などに関するFAQ(源泉所得税関係)」を明らかにしました。

基本的な考え方として、在宅勤務の通常経費について、精算方式により実費相当額を支給する場合、従業員に対する給与として課税する必要はありません。

一方、毎月5000円を「渡切り」で支給するなど、不使用分を会社に返還する必要がないときは、課税所得として取り扱われます。

通信費・電気料金の精算方式に関してですが、通信費は通話明細書により在宅勤務に要した部分を計算します。業務のために頻繁に通信を行う場合、一定の算式によることも可能です。

電気料金については、使用した部屋の床面積や在宅勤務日数に基づく計算方法を例示しています。

◆監督指導動向

届出様式の押印廃止 労使協定の留意事項示す 厚労省

政府は行政手続きに際し、押印を廃止する手続きを進めていますが、厚労省でも、労基、労働保険(労災・雇保・徴収)、社会保険(健保・厚年)、派遣法等の手続きに関し、規定の整備を行いました。

労基関連では、使用者のほか、過半数労組(過半数代表者)の押印を要する様式が多々あります。このため、厚労省では、新たな様式の留意事項を示した通達を発しました(令2・12・22基発1222第4号)。

従来、過半数代表者の押印欄があった届出様式には、協定当事者の適格性に関するチェックボックスを設けました。チェックの有無も形式上の要件となります。

就業規則を作成・変更する際の意見書も、氏名の記載で足ります。電子申請の際も、電子署名・電子証明書の添付不要で、入力フォーマットに氏名を記載する形となります。


カテゴリー:所長コラム


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