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人についての悩み

2020年10月01日

ある小学校の先生が子供たちに「雪がとけたら何になると聞いた時に、ほとんどの子どもが「水になる」と答えた中、たった一人だけ「春になる」と答えた子どもがいた(『朝日新聞』深代惇郎氏の天声人語より)

この先生は、「水になる」を〇にして、「春になる」を✕にしたそうです。理科の授業だったのでしょうか、国語の授業なら正解のように思いますが、これこそ日本人ならではの感性だと思いました。「春になる」とこたえた子どもの発想は、四季という感性を持つ日本人ならではですね。最近は、四季という感覚がなくなってきていますが、こういった情緒のある生活が懐かしいようにも感じます。

先日、ある方が話をしてくれました。「70、80歳代以上のおじいちゃん、おばあちゃんに『身体でなにか悪いところありますか?』と聞くとほとんどの人は「はい」というでしょ。会社の経営者に『経営する会社でなにか人事労務の問題ありますか?』って聞くとほとんどの経営者は「はい」ってこたえるよ。今はそういう時代になったんだね。」。人のことでこれほど頭を痛める世の中になるなんて以前には考えられなかったのではないでしょうか。

松下幸之助さんについての話で好きなものがあります。上甲晃氏という長年にわたり松下幸之助の薫陶を受けてきた方が、月刊誌「致知」でその話をされているのでご紹介します。

「松下幸之助は1918年、23歳で松下電気器具製作所を興して以来、奥さんや社員と共に真面目に熱心に商売に明け暮れ、創業12年で社員数500人の規模になります。経営は順調に進んでいるけれども、何か物足りない。

ある時、非常に熱心なお得意先に、『それはあんたに宗教心がないからだ』と言われて、ある宗教団体の本部に連れて行かれるわけですね。そこであまりにも熱心に働いている人たちの姿に驚く。一体どれだけの給料を、もらっているかと聞いてみたら、一銭ももらっていない。聞くところによると電車賃も自分で払っている。にも拘らず、給料をもらっているうちの社員よりも、なおこれだけ熱心に働いているのはなぜかと。」とても衝撃を受けたそうです。「帰ってきてからもずっと考え続けるわけですよね。そしてある日、突然稲妻のごとく走るものがあった。あの人たちは信者として仕事の意義、使命というものを感じているからあれだけの力を発揮できるんだと気づくんです。そういう観点でうちの社員を見たら、真面目に働けとか、お客さん第一とか、常識的なことは教えてきたけれども、この事業が持っている本当の使命を教えてこなかったということに目覚める。これ、私の好きな場面でしてね。それですぐ翌日に社員を集めて、我われの事業の真の使命をついに感じ取ったということで、社員に発表して創業記念日をつくり替えるんです。」

松下幸之助さんが、人の問題を抱えていたということと、このことがあるまでは松下幸之助さんが人は金のために働いていると考えていたんだと思うと驚きます。またこの時に、「産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない。水道の水は価あるものであるが、通行人がこれを飲んでもとがめられない。それは量が多く、価格があまりにも安いからである。産業人の使命も、水道水の水のごとく、物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供することにある。それによって、人生に幸福をもたらし、この世に楽土を建設することができるのである。松下電器の真使命もまたその点にある」と自社の真の使命を語ったそうです。

この時から、松下電器は松下幸之助さん自身が、想像もできないくらいに伸び始めたそうです。それで、当時、一番苦労したのは何かというと、あまりにも社員が一生懸命働くので「早く帰れ」と言わなければならないことだったそうで、それくらい社員は使命に燃えて猛烈に働くようになったということです。

「会社」という言葉は、「社会」を逆にしたものです。社会のためにならない会社は、社会が受け入れてくれないと聞きました。今、コロナ禍で多くの企業は苦しんでいますが、日本はきっと良くなると信じて社会のためにお役に立とうとする会社こそが、この厳しい時代を生き残れるのでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

技術・技能系で月額19万円台 令和3年高卒初任給

労働新聞社の調査によると、高卒初任給は月額ベースで底上げ傾向が続いています。来春(令和3年4月)に卒業を予定する高校生に対して企業が提示した求人票を、高校の就職窓口に出向いて調査したものです。

今年1月から求人票の様式が変更されたことから、固定残業代などの諸手当を含む初任給額を集計しています。

職種系統別にみると、技術・技能系で19万2115円(うち基本給17万5753円)、販売・営業系19万6403円(同16万6403円)、事務系17万9122円(同16万1497円)という結果でした。

基本給ベースでみれば、概ね16万円~17万円にとどまる一方、固定残業代や地域手当で初任給を底上げする傾向が改めて明らかになった形です。

賃上げ率が0.18~0.31ポイント低下 令和2年春季交渉

大手企業を対象とする賃上げ集計が、2種類公表されました。いずれも「新型コロナ禍」の下で行われた交渉の厳しさを示しています。

厚生労働省の「令和2年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」は、資本金10億円以上かつ従業員1000人以上で労働組合のある企業321社を対象とするものです。

平均妥結額は6286円(前年比504円減)、賃上げ率は2.00%(同0.18ポイント減)でした。賃上げ率は、平成25年の1.80%以来の低さです。

一方、経団連も会員大手企業の妥結結果を公表しました。対象は、一部上場の従業員500人以上企業187社です。加重平均によるアップ率は2.12%(7096円)で、前年を0.31ポイント下回っています。

派遣先にも配慮求める 「同一賃金」で自主点検表 厚生労働省

厚生労働省は、派遣労働者の「同一労働同一賃金」の実現に向け、派遣先・元を対象とする自主点検表を作成し、周知を図っています。

人材ビジネス業者(派遣元)は派遣法のプロですが、派遣社員を受入れる側の企業(派遣先)は細かな規制内容を熟知していないのが実情です。

派遣先に対しては、派遣先管理台帳などに「派遣労働者の従事する業務に伴う責任の程度」、「派遣労働者が協定方式の対象か否か」等に関する記載を行っているかなどについて、チェックを促します。

派遣料金に関する配慮(派遣元が同一賃金を実現するために必要な派遣料金引上げ)に関しては、派遣先が派遣元の要請に一切応じないとき等は、指導の対象になると注意喚起しています。


カテゴリー:所長コラム


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