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コロナ下での労務管理

2020年07月09日

コロナウィルスの感染拡大に伴い、人との接触を避けるためにマスクの着用やZoomを使った会議や打ち合わせが一般的に行われるようになりました。これからウィルスが収束してもこの習慣は続くのだろうと思います。これまで当たり前だと思っていたことに、代わりが効くことを気がついたり、その代わりになることですごく時間が短縮されたり、便利であったり。ぼくは自粛期間中、たまには運動しようと家の周りを歩き始めてみましたが、これが時間もかからず、外を歩くという爽快感から今ではウオーキングが習慣となりました。運動のためジムに行く必要もなくなりそうです。他にもこれまで東京に行かないと受講できなかったセミナーが、東京に行かなくてもZoomで受講できるので交通費が不要となりすごく便利になりました。ただ、その一方でマスクやZoom会議というのは、他人の表情が読めないし、空気感も感じることができないので、コミュニケーションの質という意味ではかなり低下してしまうようです。得られる情報量が少ない分、相手の感情を察することは難しく、そのためZoom会議では、自分の考えていることを率直に発言できてしまう。これはいいのか悪いのかわかりませんが。

厚労省は、コロナについての労働分野での対応を発表しています。まず、新型コロナウィルスの感染予防を理由とした離職者について特定受給資格者とすると省令が改正されました。特定受給資格者とは、倒産や解雇などにより離職した者で失業保険の給付日数が延長されたり、また一般的な離職者と違い、支給制限期間がないため給付もすぐに行われます。5月1日以降に、本人か同居の親族が感染した場合に重症化する危険性の高い疾患を持っていて、感染予防のためにやむを得ず離職した者が対象となるそうです。

次に労災保険についてですが、すでに医師、看護師、介護従事者が新型コロナウィルスに感染した場合に、原則として労災保険の適用対象となるとなっています。あらたに厚労省は、新型コロナウィルスの労災認定について4月末に認定基準を公表していて、医療従事者以外の労働者で、感染経路が特定されていなくても、リスクが相対的に高い業務(顧客との近接・接触の機会が多い業務、小売業、バス・タクシーの運転、育児サービスなど)等の場合は、個別に調査して、業務起因性を判断して労災保険が適用されることとしました。また、通勤途中であっても、個別調査などで感染したと認められれば給付するとされました。2020年6月3日現在で、業務上の理由で新型コロナウィルスに感染したとする労災の支給決定件数は、医療従事者などが4件(請求件数64件)、医療従事者以外では3件(請求件数26件)となっているそうです。

では、新型コロナウィルスに感染した場合にどれくらいの入院費や治療費がかかるのでしょうか。私たちが病気になった場合には、公的な医療保険が適用され、医療費の3割が自己負担となります。しかし、新型コロナウィルスは厚生労働省が「指定感染症」に指定しているので、入院した人の医療費は公費での負担となります。税金で入院・治療が行われるということなので、本人の負担はありません。なので、労災保険から行われる給付というのは休業補償(休業(補償)給付)ということになります。

労災保険の休業補償は、業務上の怪我や病気で会社に出勤できなくなり、休業せざるを得ない状況になってしまった場合、休業中の所得を補償するためのものです。被災して休業する労働者には、休業期間の4日目から、賃金の80%が支給されます。労働者にとって休業中に給与が支払われないことになると大きな不安になりますが、労災保険から賃金の80%が支給されるため、安心して治療に専念できます。また、休業中に会社が20%相当の賃金を支払った場合であってもその給付額が減額されることはないので、会社が、本人に労災保険を受給させたうえで上乗せ補償として不足分を補填すれば賃金を100%補償することもできます。

あまり知られていませんが、生活費の安定した確保のために、社員が労災にあった場合には「受任者払い制度」という制度があります。これは、休業補償給付分をいったん会社が立て替えてから本人に支払うという制度です。通常、休業補償給付を労基署に請求しても労働者にお金が振り込まれるのに1ヵ月程度の時間がかかります。社員に1ヵ月収入が無くなることは、会社として避けたいところです。受任者払い制度は例外的に認められているものですが、この制度を活用することによってそういった不安は解消されるので、積極的に活用したいところです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

総合職21.8万円に 令和3年大卒初任給

労働新聞社が実施した大卒初任給調査によると、集計した4系統ともに前年結果を上回り、総合職では比較可能な企業の4割が増額しています。来年(令和3年)3月に卒業を見込む学生を対象として、インターネット上に提示されている初任給を集計したものです。

系統別の平均は、技術系21万6035円、事務・営業系の総合職21万7811円、一般職18万9057円、営業系23万3236円となっています。

新型コロナによる経済停滞が懸念されるなか、少なくとも来春の就職組に関しては1%超の伸びが確保された形です。

技術職の増加幅をみると、技術者不足に悩む「建設・不動産」で4304円増がトップで、メーカーは2071円増という状況です。

総合職では、とくにリース業が好調だった「金融・保険」で8182円増、商社で4905円増と改善が目立ちます。

製造補助バイトへ範囲給 「同一労働同一賃金」に対応

大日本印刷㈱は、今年4月施行のパート・有期雇用労働法に対応するため、製造現場のサポートスタッフに時給昇給の仕組みを導入します。

「同一労働同一賃金ガイドライン」(平30・12・28厚労省告示430号)では、非正規社員に対しても「勤続による能力の向上に応じた部分につき、通常の労働者と同様の昇給を行う」よう求めています(賃金体系に相違があるときは、合理的な理由が必要)。

同社のサポートスタッフは多くが製造現場で補助業務に従事し、一部が事務作業を担当しています。賃金は、時間給となっています。

新たに整備する仕組みは、作業の難易度に応じて職務レベルを定め、レベル別に上・下限を定める範囲給方式です。正社員の昇給の考え方を反映し、年1回の人事考課に基づいて昇給を実施します。

夏季賞与は大幅減を予想 業績悪化に拍車

みずほ総合研究所の試算では、民間企業の今夏ボーナスは34万6480円で、前年比9.2%減となる見込みです。マイナス幅は、リーマン・ショック後の2009年以来の水準です。

支給月数は前年の1.04カ月から0.1カ月減少し、0.94カ月になると予想しました。

春季賃上げ率が3年ぶりに2%を下回り、ベアゼロ回答の企業が増加するなど、賃金指標は弱含みで推移しています。4月施行の同一労働同一賃金の影響で非正規への支給が広まる可能性はありますが、新型コロナによるネガティブな影響が上回るとしています。

一方、中小企業基盤整備機構は、新型コロナが中小・小規模企業に与えた影響に関する調査結果を公表しました。

4月の業績は、前年同期に比べ「大幅なマイナス」が41.1%、「一部のマイナス」が16.8%などとなっています。

将来的な見込みも含めると、79.2%の企業でマイナス業績が発生するとしています。


カテゴリー:所長コラム


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