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荀子の言葉

2020年08月05日

大学生の息子は、コロナのため今は、自宅でのオンライン授業となっています。夏休み明けからは大学キャンパスでの授業が再開されるようですが、それまではずーっと引きこもり状態のゲーム三昧で、毎日を過ごすつもりのようです。もともと、活動的ではない彼ですが、その息子いわく「やっと時代が俺に追い付いてきた」と。そんな息子が、「お父さんには口では勝てないから」と、ぼくに珍しく腕相撲を挑んできました。そんな息子を頼もしく感じながらも、瞬殺での返り討ちにしてやりました。ぼくよりも身体が大きくなっているので、勝てると思ったのでしょうが、父親の威厳を示すことができました。

厚生労働省が発表した5月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、実質賃金が前年同月比2.1%減でした。新型コロナウィルスの感染拡大を受けた休業などの影響で残業時間などの所定労働時間が29.7%減少したことが響いたようです。また、現金給与総額を就業形態別に見ると、パートタイム労働者への影響が大きく、一般労働者は基本給などの所定内給与が前年同月と同水準となっていますが、パートは3.9%の減少となり、残業代などの所定外給与も一般労働者を上回る33.1%の落ち込みとなってしまっていて、給与への影響は今後ますます大きくなり、景気の悪化と相まって私たちの生活は苦しくなりそうです。

コロナの不況は、観光業と飲食業から始まりましたが、今は製造業にもおよび始めているようです。多くの中小企業では、4月の後半から残業がほとんどなくなり、やむを得ず雇用調整のために休業もしているという話を聞きました。また、7月に入り、新型コロナウィルス感染拡大に関する解雇や雇い止めが見込みを含めて3万2348人になっておりこちらも今後、拡大が続きそうです。

以上のようなコロナウィルスがもたらした雇用への悪影響が働く人に不安を与え、職場の環境も悪くなっているようです。そのためかわかりませんが、関与先のお客様から、これまでなら信じられないような労働相談が入ってくるようになっています。例えば、これまでと変わらずに出勤してくる社員が、会社の経営方針や労働条件について警察や労働基準監督署に訴えるといった書面を上司に出してきたり、会社の人事異動に対して堂々と文句を言い、自分の思うようにならないなら訴えると言ってみたり。やはり、コロナが、人間の本性を晒した結果なのだろうなぁと感じています。

JFEホールディングス名誉顧問の數土文夫さんが「荀子」について話されていました。(月刊誌致知より)荀子は『人は生まれつき私利私欲に走りがちになるもので、必ずしも「性善」ではなくて、むしろ「性悪」であって、これを善に正すべく努力する。これが人の道であり、従って人間にとって重要なのは天賦の才ではない。後天的な努力や勤勉さ、善行の積み重ねであると繰り返し説いています。』と語っているそうです。荀子が言っているのは「善行を為すのであれば、ずっと続けるべきだ。積み上げていけば必ず世に知られていく。そして世に良い影響をもたらす」ということだそうです。そして「こういう先達の言葉を読むにつけ、人間の本質は二千年経っても全く変わらないとつくづく思う。一所懸命に努力する。真面目に誠実に生きる、苦労している人がいたら手を差し伸べる。そのような善行を積んでいくことが大事であるという倫理観を若いうちに持たなければ、すぐに誘惑に負ける私利私欲にまみれた人間になってしまうでしょう。」また、「近年、人生百年時代といわれるようになりましたが、戦後間もない頃まで日本人平均寿命は約五十歳でした。その時代に比べて、我われは二倍学び、二倍善行を施す時間を持てるようになったわけです。何と素晴らしい時代でしょうか。先達の生き方を模範とし、ぜひ前向きに希望を持って、学びの道を歩み続けたいものです。」と。

平時であれば、多くの人はまわりに気を配り、できればよい人と思われるように行動をすることが普通にしているものだと思いますが、今のコロナ禍においては、そんな余裕がなくなっている人もいるだろうと思います。荀子は、「人間にとって重要なのは天賦の才ではない。後天的な努力や勤勉さ、善行の積み重ねである。」と説きました。コンサルタントの小宮一慶さんがよく言います。「人は皆、努力をしていると言います。それは、自分が考えるレベルの努力であってそんなものは努力ではない。それくらいみんなしている。どうせ努力するのであれば、神様が認めてくれるくらいの努力をしなくてはいけない。」と。どんな状況であっても自分を見失しなわず、周囲への感謝の気持ちを持ち続けることが大事なんだなぁと思わせてくれることが続きました。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

新型コロナで「休業支援金」創設 雇調金の拡充措置も延長

令和2年度第2次補正予算が通常国会で成立し、厚生労働省では、雇用・生活支援等に総額5兆円を追加投入します。

雇用保険の臨時特例法により創設する「新型コロナ対応休業支援金」は、感染防止により休業させられ、休業手当を受けられなかった労働者を対象とします。

給付額は休業前賃金の80%相当で、月額33万円を上限とします。中小企業の勤務者が直接申請する形で(事業主を通じて申請も可)、被保険者以外も利用可能です。

併せて、求職活動の長期化が懸念されるため、基本手当の所定給付日数を60日(一部30日)延長する措置を講じます。

雇用調整助成金についても、9月末までの緊急対応期間中は、日額上限を原則の8330円から1万5000円に引き上げます。解雇などを行わない中小企業に対する助成率も、一律10分の10に拡充するとしています。

発症前でも安全配慮違反 月30~50時間残業で

保険営業社員が長期の過重労働は違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所は、安全配慮義務違反に当たるとして慰謝料の支払いを命じる判決を下しました。

育成部長に昇格した後、支社で10人以上の育成社員の指導に当たっていましたが、1年以上にわたり、月平均30~50時間等の時間外労働が発生していました。

厚労省の過労死認定基準(平13・12・12基発1063号)では、月平均80時間超を重要な指標としていますが、45時間を超えると「業務と発症との関連性が徐々に強まる」としています。

うつ病等の具体的な疾患は発症していませんでしたが、裁判所は「心身の不調を来す可能性があるような労働に1年以上従事させた」と評価しました。

そのうえで、営業社員が上司に時間外労働の改善を求めた以降も対策を講じていなかったことから、会社側の安全配慮義務違反を認定しました。労基署から賃金不払い残業に関する是正勧告を受けていた点も、違法性を裏付けると指摘しています。

全事業所でフレックス制 コロナの経験生かす

テルモ㈱は、7月から国内全事業所を対象にフレックスタイム制を適用しています。3カ月以上にわたって続けてきた新型コロナウイルス対応の経験を踏まえ、研究開発拠点で先行導入していた取組を全社レベルに拡大するものです。

約5000人を擁するテルモ単体の取組で、みなし労働時間制の対象となる営業職や交代勤務で働く生産職などは適用外となっています。

併せて、社内規定で月4回までと定めていた在宅勤務制度の回数制限も撤廃しました。両制度の併用が可能になったことを受け、「新しい生活様式」につながる制度運用を目指します。


カテゴリー:所長コラム


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