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『働く』ことの意味

2023年08月01日

うちの息子はこの4月から新社会人となっていますが、だんだんそれらしくなっていく息子に対して父親としてどんな言葉をかけてあげたらよいか、ふと考えることがあります。昨年の8月24日に稲盛和夫氏が亡くなりましたが、稲盛氏の言葉は特別です。ぼくは盛和塾で稲盛氏に幾度かお会いできましたが、80歳もとうに過ぎており、本当に優しそうな方という印象しかありませんが、先輩の方々が稲盛氏を前にとても緊張している姿を見て、ものすごく厳しい方だったのだとうかがい知ることができました。そんな稲盛氏が86歳の時に、人生で一番大事なことは何かと聞かれ、「一つは、どんな環境にいても真面目に一所懸命に生きること。自分が自分を一つだけ褒めるとすれば、どんな逆境であろうと不平不満を言わず、慢心せず、今目の前に与えられた仕事に、それがどんな些細な仕事でも、全身全霊で打ち込み努力をしてきたこと。もう一つは、利他の心。皆を幸せにしてあげたいと強く意識し、生きていくこと」と答えられています。稲盛氏は、大学卒業後、京都の会社に入ります。いろいろとご苦労があり最初は嫌な会社だと思っていたそうです。そんな稲盛氏ですが、「仕事を好きになったこと、会社を好きになったこと、そのことによって今日の自分がある」と、そして「自分は素晴らしい会社で素晴らしい仕事をしているんだと、無理にでも思うようにし、脇目も振らず必死に研究に邁進したことで、仕事を好きになり、会社を好きになっていきました。それが一般的には不可能と思えるようなことをできるようになったベースだと思います。」。今年のWBCで侍ジャパンの監督を務めた栗山英樹氏は、稲盛さんに教わったこととして「いまの世の中って、仕事しすぎちゃいけない、『寝ないで仕事をしろ』とは言いにくい時代になりました。でも僕は仕事でしか学べないことがあると思っていて、寝ないで仕事に没頭するある一時期って大切だと思うんです。没頭し、やり切らないと見えてこない世界があるんです。稲盛さんもご著書の中で『仕事でしか人間形成はできない』と断言されています。」と話します。誤解されないように伝える必要がありそうですが、自分の息子にならそのまま言えますよ。最近は若者がすぐに会社を辞めてしまうと言われます。恵まれた環境にあるのに、それに気づかず、不平不満を言い、それで環境を変えたところでうまくいかないのが人生というものです。稲盛氏は「働くということは、生きていく糧を得るためのものだというのが一般的ですけれども、そうではなくて、自分の人間性を高めていくためになくてはならないものです。一所懸命働くことによって、自分自身の心を高め、自分の人生を精神的に豊かなものにしていく。同時に、収入も得られますから、物質的な生活も豊かになっていく。ですから、働くということは大変大事なことだと思っています。」と「働く」ことの意味を話されました。息子には物心共に豊かな素晴らしい人生をおくることができるよう、稲盛氏の言う『「働く」ことの意味』を伝えてあげたいです。 (参照:月間「致知」2022.12月号 致知出版社)

昨年、「先日、弊社のお客様の会社に年金事務所の社会保険の調査がありました。その際に永年勤続表彰制度により対象となった社員に支給された祝金が賞与にあたると指摘されることがありました。結果として追加で社会保険料の支払いを求められることになったわけです。」とお伝えしました。これ以来、一時金で支払う手当には社会保険料がかかりますと弊社のお客様にはお伝えしてきましたが、最近、事情が変わったようです。厚労省から、長期勤続者に対して支給する金品は、要件を満たした場合には賞与として扱わない旨の事務連絡が6月に出されていて、そこに3つの要件が挙げられました。まずは「①表彰の目的」です。「企業の福利厚生政策又は長期勤続の奨励金として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。」。次に「②表彰の基準」として「勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。」。最後に「③支給の形態」は「社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。」。3つの要件のうち一つでも欠けたら認められないということではなく、総合的に判断するということです。当時、いきなり「お祝金」は賞与にしてくださいと言われ、調査官が「納得いかないなら、訴えてください!」とまで言っていたことを考えると、よほど反対の声が多かったのでしょうね。おかしいことはおかしいと皆で声をあげることが大事なのだと思わせてくれた一件でした。 

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

労働移動円滑化 モデル就業規則改正 退職金の減額見直し 政府・骨太方針を閣議決定

政府は6月16日、政策の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定し、三位一体の労働市場改革を通じた構造的賃上げの実現と、「人への投資」の強化、分厚い中間層の形成をめざすとしました。三位一体の改革として、①リスキリングによる能力向上支援、②成長分野への労働移動の円滑化、③個々の企業の実態に応じた職務給の導入を進めます。

労働移動の円滑化に向けた施策には、退職金制度に関する労働慣行や退職所得課税の見直し、失業給付制度の見直しなどを挙げました。

民間企業の一部では、自己都合退職時の退職金の減額や、勤続年数・年齢が一定基準以下の場合に退職金を支給しないケースがあることから、厚生労働省が定めるモデル就業規則を改正します。勤続年数による制限を設けている点や、会社都合退職者と自己都合退職者とで異なる取扱いを例示している点を改めます。

退職所得課税については現在、勤続20年を境に勤続1年当たりの控除額が40万円から70万円に増額される仕組みになっています。これが積極的な離職を妨げているといった指摘もあるため、見直しを図る方向です。

また、現行の失業給付において、自己都合離職と会社都合離職とで受給までの期間に差があることから、給付申請前のリスキリング実施などを条件に、受給までの期間をそろえます。

能力向上支援では、教育訓練給付など個人に直接給付する支援策を強化。多様な働き方の推進にも注力し、選択的週休3日制の普及などに取り組むとしました。

◆ニュース

学習志向尊重し配属を 人材活用の指針策定 経産省

 経済産業省は、中小企業・小規模事業者の人材戦略を後押しするため、「人材活用ガイドライン」を策定しました。

経営課題を解決できる人材の採用・育成に向けて、人事評価制度の策定やキャリアパスの見える化を提案しています。自ら希望するキャリアを構築できるように、本人の学びたい内容を尊重・優先して配属先・転属先を決めるなどの配慮も必要としました。

また、企業が求める人材のタイプを「中核人材」と「業務人材」の2種類に区分したうえ、それぞれのキャリアの見える化の取組みも提案しました。中核人材には、経営にかかわるポジションへの登用を挙げ、業務人材に対しては、非正規から正規雇用へ転換する仕組みを示すことなどを提案しています。

ガイドラインと同時に中小企業50社の取組みをまとめた優良事例集も公表しています。

開店前納品を是正 運転者の時短図る 日本百貨店協会

日本百貨店協会は、2024年問題への対応として業界の慣行である開店前納品を是正し、納品リードタイムの緩和に向けた取組みを始めていると明らかにしました。アパレル・ファッション関連商品の納品を開店後にずらし、トラックドライバーの労働時間短縮を図ります。

百貨店業界では、各社が専門の納品代行事業者と契約を結び、数百に及ぶ取引先の商品が一括に納品される仕組みを構築しており、商品はいったん同事業者の物流センターに集められ、検品・仕分けのうえで開店前までに各店舗へ配送されます。

従来は慣例的に深夜に検品作業が行われてきましたが、納品時刻をずらすことで日中の検品を可能とし、早朝の配送業務を減らします。また複数台のトラックで納品している大型店舗において、1台で複数回配送する「ピストン運行」への移行や、納品回数を減らす「集約運行」を実現します。同協会では今後、雑貨などの商品に関しても同様の取組みを拡大したいとしています。


カテゴリー:所長コラム


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