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男女共同参画白書

2022年08月01日

先日、新潟に行った際に、全国でも希少な眼病に効くという奥湯沢の貝掛温泉というのがあると聞いたので立ち寄ってみました。“目薬の湯”といわれていて、温泉の泉質は、ロート製薬の目薬の成分とほぼ同じだそうです。簡単に言うと、目薬の中に浸かるような感じです。ここの温泉は、白内障や眼底出血などの病気によく効くらしく、温泉の湯口で目を洗う人もたくさんいました。100%源泉かけ流しで加温なしのぬる湯なので、長い時間入っていられるし、湯に顔をつけて目をパチパチしてみると気持ちよかったです。上杉謙信の隠し湯としても知られる歴史ある秘湯だそうなので、おススメです。

政府は、2022年版の男女共同参画白書を閣議決定しました。その中で、未婚や事実婚など人生や家族の姿が多様化したことを「もはや昭和ではない」と表現しました。「さまざまな政策や制度が高度成長期のまま」だとも書いてあります。内閣府が21年12月~22年1月に行った調査結果によると、30歳時点の未婚女性の割合は1980年の11.3%から2020年に40.5%へ上昇しています。婚姻歴のない30代男女の4人に1人は結婚願望がないと答えています。また、共働き世帯は、1985年の718万世帯から2021年には1177万世帯に増加し、専業主婦世帯は936万世帯から458万世帯に半減しています。

離婚件数は年間およそ20万件で「女性にとってもはや結婚は永久就職先ではなくなった」と記載され、「女性の経済的自立を可能にする環境整備」が重要だといわれています。白書は妻が仕事を抑制したほうが税負担は減る「配偶者控除」などにふれていて、女性が就業調整しないよう「さらなる取り組みが必要だ」と記しています。

ただ、「永久就職はもはや過去のもの」と最近では使われなくなった昭和の死語を、なぜいまさら公の文書で引き合いに出したのかと疑問の声もあります。また、「永久就職」という言葉は、「夫は仕事、妻は家事育児」という性別役割分担が社会に出来上がっていた時代に、家庭や夫を「会社」に見立てて、女性が良い相手を見つければ生涯、不自由なく暮らしていけるというたとえです。終身雇用制のもとで、安定した経済成長のもとだからこそ成り立つ話です。こういった時代に形作られたのが、「専業主婦モデル」という考え方で、制度の代表例が、1961年創設の「配偶者控除」と、1985年の「第3号被保険者」の仕組です。(参照:政経週報 卒・昭和の覚悟)この「専業主婦モデル」が崩されようとしています。

今年10月に短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されます。被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所で、①1週の所定労働時間が20時間以上であること②雇用期間が2カ月を超えて見込まれること③賃金の月額が88,000円以上であること④学生でないことの4つの要件を満たすと、社会保険が適用となります。そして、2年後の令和6年10月には、被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所にまで拡大されます。将来的には、事業所規模にかかわらず社会保険の加入が求められることになりそうです。

他にも女性が夫の扶養の範囲で働くにあたって、意識される収入の「壁」は、100万円、103万円、130万円、150万円、201万円があります。最初の100万円と103万円は税金の壁です。その壁を超えると住民税・所得税の納税義務が生じます。ただ、税金は超過部分にかかるので、実質的には「損」とはいえません。しかし、夫の会社から扶養手当が支給されていた場合にカットされることがあり、手取りが減ることになります。次の130万円は、社会保険料の壁になります。年収130万円以内であれば、夫の被扶養者として社会保険に保険料負担なしで加入することができますが、年収130万円を超えてしまうと、被扶養者からはずれて、自分で保険料を負担することになり、大きく手取りが減ってしまうので「大損」と考える方が多いようです。そして、最後の150万円と201万円は、その額を超えてしまうと配偶者特別控除が減額され、夫の税負担が増加することになります。

物価高が続いており、節約を心がける主婦には、壁を超えて家計収入が減ることは大きなダメージになると思います。しかし、今後は「壁」を意識しない働き方、つまり「壁」に関係なく働くことが求められるようになるのでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

裁量制の見直し議論加速 規制改革計画を決定 政府

裁量労働制見直しへ議論加速――政府は規制改革実施計画を閣議決定し、柔軟な働き方の実現に向けた各種制度の活用・見直しを改革メニューに盛り込みました。労働時間制度の見直しのほか、テレワークや副業・兼業、選択的週休3日制などの活用に向けた施策を検討するとしました。

働き手がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる環境を整備するため、厚生労働省に設置した労働時間制度に関する有識者検討会での議論を加速し、裁量労働制などの見直しについて今年度中に結論を得る方向です。健康・福祉確保措置のあり方も併せて検討します。

企業で導入が進んできているテレワークや副業・兼業、教育訓練休暇、選択的週休3日制の活用をさらに促進するため、厚労省において好事例の周知に努めます。各制度を活用している企業が、求職者に認識される方策も検討していくとしました。

休業手当支払いを命じる コロナで所定労働減 東京高裁

東京都内に複数店舗展開するホテル業者で働いていた労働者が、新型コロナウイルスの感染拡大により同意なく所定労働時間を減らされたと訴えた裁判で、東京高等裁判所は減少した時間分の休業手当支払いなどを命じた一審を維持しました。

労働者は令和2年3~7月にかけ、1日の所定労働時間を2時間~3時間15分減らされました。勤務時間の変更について、従業員との間の個別合意や就業規則の変更はありませんでした。

同ホテル業者は二審で、銀行からの借入や不動産の売却など、懸命な経営努力をし、赤字経営を続けたと主張。所定労働時間の変更は自社の体力と従業員の生活への影響に配慮した結果と強調し、さらに、新型コロナの感染拡大は外部に発生した事故で、「使用者の責に帰すべき事由」による休業とはいえないと訴えました。

同高裁は経営努力があったとしても所定労働時間を一方的に変更できる法律上の根拠にならないとしました。新型コロナについても、影響は事業によってさまざまで、一律に休業しなければならない状況ではなかったと指摘。同ホテル業者は自身の裁量判断で事業を継続しつつ、従業員の勤務時間を減らす選択をしており、「使用者の責に帰すべき事由」に当たるとして、訴えを退けています。

実習生 時給500円で働かせる 口裏合わせ隠蔽画策 岐阜労基署

岐阜労基署は、中国人技能実習生13人の基本給を月額9万円(時給約500円)とし、最低賃金を上回る額を支払わなかったとして、縫製業2社と両社の代表取締役である夫婦の計2法人2人を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反の疑いで岐阜地検に書類送検しました。

同労基署が令和元年に臨検した際には、被疑者らは賃金台帳を改ざんし、隠蔽を図りました。さらに、実習生への事情聴取に当たり、女性の実習生の胸部にボイスレコーダーを仕込んだうえで、「録音しているから本当のことを言うな」と指示していたことが、後の調査で判明しています。

2年2月、同労基署は複数人から証拠の提供を受けて再度両社を臨検し、是正勧告を出しました。被疑者らは最賃法違反などを事実と認めたものの、改善しなかったため、送検に踏み切りました。

同労基署によると、「同県の縫製業では同様の違反が頻発しているが、証拠隠滅が横行し、摘発が難航している。強制捜査や逮捕も辞さず、厳正に処罰していく」としました。


カテゴリー:所長コラム


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