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「物事の捉え方」

2018年03月26日

年金の改革や介護保険に携わった元厚労省官僚の香取照幸氏の著書「教養としての社会保障」を読みました。すごくなるほど!と思ったのでご紹介してみたいと思います。

女性が働きながら家庭を築き、子供を産み育てられる社会の実現のために現在の政府の「働き方改革」が行われています。そこで、香取氏は書いています。これからの20年から25年後の生産年齢人口はすでに決まっているわけで、その厳しい条件のもとで、とにかくできる限りの経済成長を遂げるためには、できるだけ働き手を増やすことと、一人ひとりの生産性を上げる以外に方法はありません。そこで特に大事なのが女性の社会参加になります。でも、当たり前ですが女性の体は一つしかないんです。そんな女性に向かって、今の社会を維持するために働いてください、20年後の社会を変えるために子どもも産んでください、と言っているわけです。無茶ですよね。香取さんは「女性は犠牲者であり被害者とさえ言えます。問題があるのは男の側、より正確に言えば男性中心の社会、男性中心の企業、男性中心の家庭の在り方であり、女性をとりまく様々な制度や慣習の問題です。」と。さらに「私の理解では、『少子化』対策というものの考え方、問題の立て方自体を変えないといけないように思います。考えなければならないのは『少子化』ではなく、私たちの生活の基盤となる家族・家庭を支援すること、つまり『家族支援』なのではないでしょうか。」と。

英語には「少子化対策」という表現はないそうです。英語だけではなく、世界にはそんな表現は見当たらないということですが、日本が少子化対策でやろうとしている仕事と子育ての両立支援や保育所の充実、育児休業制度の拡充などのことを、英語では「ファミリーポリシー(家族政策)」とか「ファミリー・アンド・チルドレン・ポリシー(家族子ども政策)」と言うそうです。

先日、金沢工業大学の心理科学研究所所長の塩谷亨氏からポジティブ心理学について話を聞いてきました。その中で、塩谷氏によると「捉え方」が変わると「考え方」が変わる、物事をどう捉えるかによって考え方の発想に影響を与えることになると仰っていました。要は「捉え方」、つまり立ち位置によって、出てくる発想が変わる、つまり行動が変わるということになるのだそうです。

経営コンサルタントの小宮一慶さんは、「苦情処理」と「苦情対応」の違いをよく話をされます。お客様にとっての心の声である苦情を「処理」されたのではたまったものではない。お客様の苦情には、われわれは真摯に「対応」するべきではないですか、と話されます。言葉の使い方の違いではないかと言うかたもいらっしゃるかと思いますが、そこには大きな違いがあるのではないでしょうか。「苦情」というものを、どう捉えるかが大切です。「処理」というのは「物事を取りさばいて始末をつけること」だそうです。せっかくのお客様からのご意見である苦情を処理してはいけませんね。「苦情」には真摯に対応させていただくという気持ちが大切です。「捉え方」が違うと行動が変わり、そして結果が大きく異なることになります。

最近、気になることがあります。自民党の小泉進次郎氏ら若手議員による保育や幼児教育を無償にするための「こども保険」を創設する提言についてです。子どもたちのことを社会全体で支えるという考え方にはすごく賛成です。ただ、「保険」という言葉を使うことは反対です。保険というのは、そもそもリスクに備えるためのものです。死亡、障害、老齢など人が生きていくうえで抱えるリスクに備えるためのものが「保険」です。子どもを産むことはリスクなんでしょうか。というかリスクだと「捉える」べきではないんじゃないかと考えます。やろうとしていることは、すごく意義のあることなのにもったいない気がします。これも「捉え方」の問題です。

最後に、一億総活躍で女性や高齢者に働いてもらいましょう、という安倍政権の考え方は間違ってはいないと思いますが、男もがんばろうよ!と思ってしまうボクです。

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム


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