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「ものの見方」

2016年12月27日

経営者のかたと話しているとよく言われることの中に、「うちの従業員は給与の手取額しか見ない。会社は総支給額の金額を支払っているんだからそっちの金額を見て欲しい。」ということがあります。要するに総支給額20万円の給与の場合、社会保険料等で30,398円が引かれ、所得税で3,700円引かれて手取額が165,902円になっていて、もらう側の従業員は16万円を受け取っていると考えているけれど、払う側の社長は20万円を支払っているつもりでおり、もっと言うと社会保険料の会社負担を含めると人件費は231,998円となっていることを従業員は考えないということです。そこには社長と従業員の間に、66,096円の差があることになります。当然、支払う側の社長は、手取額だけではなくて、実際は66,096円も多く支払っていることを意識して欲しいということになるわけですが、こういう考えはよくわかりますね。

一方で、社長は「社会保険料が高くて毎月の支払いが大変だ。」ということもよく聞きます。私自身、自分の事務所の社会保険料は毎月、高いなぁと思っていたところでした。社会保険料の支払いは、毎月20日頃になると日本年金機構から社会保険の「保険料納入告知書」が送られてきます。その、「保険料納入告知書」を見て溜息をつくことになるわけですが、よくよく考えるとそこに記載されている金額の半分は従業員の給与から引いてあるものであって会社が負担しているものではないんですよね。

こんなふうに、社長と従業員、そして払う側ともらう側といったそれぞれの立場で感じることは全く違うんだなと。人間は都合よく考えるものなんだなと自分自身で実感することになりました。

こんなふうに考えると、経営者がいう「従業員は手取額じゃなくて総支給額でものごとを考えるべき」みたい考え方を従業員がしないのはもっともなことかもしれませんね。だって、経営者も従業員も同じ人間なんですから。

 

先日、金沢の鈴木大拙館の木村館長のお話を聞かせていただく機会がありました。これまで、日本の企業では成果主義、人事評価ということを一生懸命やってきました。企業は「人材」を「人財」にどうしたら変えられるのかに注力し、そして「人罪」は悪であるとも考えてきました。

しかし、木村館長は、こんなふうに「ものの見方」についてお話しされていました。

 

西洋 … 物事を2つに分けて考える。(例)良い・悪い、味方・敵、役立つ人・役立たない人

東洋 … 2つに分けないで全体として見る。

2つに分かれているように見えても元はひとつ。(例)陰と陽

 

ひとつをとって、ひとつを捨てるということをせずに、全体として物事を見て、全てを活かすことが大切であるということです。「人財」になれなかった「人物」を排除すべきなのでしょうか。人材である前に人物であって、人物を育てる、人間を育てることのほうが大事だと。これからは、良い・悪いと分ける西洋の考え方ではなく、これからは東洋の考え方を人材育成に取り入れることになっていきそうですよ。

立場や考え方は違えども、元は一緒であると考えることで会社組織や人間関係がスムーズになるということと私は理解しました。

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム


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