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部下を選べない時代がはじまる

2015年09月10日

カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが、この10月から正社員の一部を対象に「週休3日制」導入すると発表されました。

正社員が、大学院に通学したり、趣味にあてたりなど多様な時間の使い方を想定しているということですが、目的は人材確保にありそうです。

東洋経済によると、2009年に入社した新卒社員は、3年以内に5割が退職するなど、かなり離職率が高くなっているそうです。そういった事情もあっての週休3日制ということみたいですが、最近の採用は、厳しさを増すばかりとなっています。

最近は「採用が出来ない。」という相談の内容が変わってきました。これまでの「良い人材が採れない。」から「求人票を出しても面接にこない。」ということになっています。私としても面接に来ないんだけれどどうしたら良いかと相談されても、なかなか良い策はないものです。

現在、日本の労働人口が減少していっているのは、周知のとおりです。総務省統計局の人口推計によると、平成27年8月1日現在(概算値)の日本の総人口は、1億2689万人となっておりすでに減少に転じています。それにともなって、生産年齢人口(15~64歳)は、1992年をピークに減少が続いているわけですが、こうした社会的背景を踏まえた上での職場作りが求められ始めたということではないでしょうか。

先日、「行動科学マネジメント」を提唱されている石田淳さんのセミナーに参加してきました。とても興味深い内容で、後日、石田さんの著書をたくさん読んでみたところ、その中の一冊に「部下を選べない時代がはじまる」といったことが書いてありましたのでご紹介します。

現在の就職戦線は超売り手市場になっています。これからさき、その状態は改善することはなく労働者人口はどんどん減少していくことになります。そうなると考えられるシナリオは、大きく2つしかありません。ひとつは外国人労働者を大量に受け入れること。そしてもうひとつが、「優秀ではない若者」を積極的に採用していくことであり、このいずれかしかありません。外国人については、とりあえずおいておくことにして、目の前に迫っている問題は、「優秀ではない若者」を積極的に採用した際の人材マネジメントです。ゆとり教育にどっぷり染まり、「ほめられて育った若者たち」あるいは「叱られたことのない若者たち」を積極的に受け入れ、彼らをうまくマネジメントし、戦力化していくことが求められるのです。もちろん、彼らに精神論は届きませんし、下手にほめると仕事をバカにするようになり、下手に叱ると辞めてしまいます。

今、現場レベルでのマネジメントは大きな転換点にさしかかっているのです。そんな若者を現場で指導する上司がこれから求められる役割は次の2点です。

「チームの成果を高めること」「チームの離職率を引き下げること」

今、現場の上司がもっとも悩んでいるのは、「いかに離職率を引き下げるか」ではないでしょうか。これまでは成果(売上)だけに注目し、そこさえクリアしていれば評価されてきましたが、今後は上司を評価する際に「離職率」という項目が追加され、その割合はかなり大きなものになっていくでしょう。(「上司のための戦略的ほめ方・叱り方」石田淳 著)

人が採用できないのであれば、社員が辞めない職場作りをするしかありません。働きやすい職場作りがいかに大切かという時代のはじまりですね。


カテゴリー:所長コラム


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