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「SNSの炎上トラブル」

2016年06月30日

先日、みずほ総合研究所が主催のセミナーに参加してきました。講師は、弁護士の影島広泰氏で情報管理やプライバシーに明るいかたです。私もSNSに関する相談を受けることがあるので、勉強に行ってきました。非常に興味深い内容でしたので今回、取り上げてみたいと思います。

コンビニのアイスクリームのケースの中に寝そべった写真がFacebookに掲載され、それがTwitterや2ちゃんねるで拡散して炎上したのが2013年でした。そこから従業員やアルバイトのネット上への投稿が炎上を招いたケースが続出しましたね。では、炎上するとどうなるかですが、過去の事案によると「2ちゃんねらー」により、個人の名前や写真のみならず、会社名、アルバイト先も特定されてネット上に拡散されてしまいます。時間にすると、多くは夜中に炎上が始まり、中にはほぼ1時間あまりで投稿者のさまざまな情報が特定されてしまうケースもあったようです。では、なぜ若者は不適切な投稿をしてしまうのか。

今、Twitterは「バカ発見器」と言われているそうです。そもそもSNSでは情報が社会に公開されているという意識を持てず、友達に「こんな面白いことしたよ」ということを発信しているという感覚でしかないというのが特徴です。たしかに、問題になった写真を見ると面白いと思います。しかし、それが社会的に見てどうかということとは別の問題です。そこらあたりの判断がつかないから問題になっているということですね。

そして、炎上させてしまった若者のその後の末路ですが、「退学」「内定の取り消し」「勤務先の解雇」などが待っています。また投稿者の人生を狂わせる「炎上」だけでなく投稿が会社の大きなイメージダウンにつながってしまったケースも多くあります。そうならないよう、企業はアルバイト、新入社員向けに、SNSがオープンであることの怖さを理解させる教育が絶対に必要です。

その他にも炎上だけではないSNSのトラブルはあります。たとえば、LINEです。LINEを会社内で業務に使用することが増えてきたようですが、会社がそれを認めている限り、LINEを使うこと自体には問題はありません。

しかし、就業時間後に、会社の指揮命令下にあるといえるようなやりとりをしていれば、労働時間とみなされる可能性が出てきます。一般的にメールは、送り手がすぐに見ることを期待せずに送信します。それに対して、LINEは見なければよいという性質のものではありません。時間外、深夜・早朝などの送信には配慮が必要です。

また、LINEのやりとりはパワハラ、セクハラにつながりやすい傾向にあります。「もうちょっとしっかりしろよ。」と軽い気持ちで上司が部下に送った場合、その言葉で部下がパワハラを受けたと感じるケースがあるということです。何気ない言葉ですが、文面になるとキツク感じてしまうものです。

私の経験からも、パワハラ・セクハラの相談では、必ず相談者からLINEの画面を見せられます。そこには、飲み会の誘いや会話であればなんの問題もないような言葉が書いてあり、それがハラスメントの証拠として提出されてきます。

最後に炎上してしまった場合の具体的な対応ですが、投稿した本人に対する責任追及をして掲示板の投稿を削除させることができます。投稿者は、裁判手続きで完全に特定することができますし、投稿者を刑事告訴することも可能です。ようするに、インターネットは全く匿名ではないということです。

 

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム


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