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マイナンバーがはじまります

2015年06月10日

政府は、マイナンバー制度の運用開始に伴って配布される個人番号カードを使って診察結果や処方薬などの医療情報を管理する仕組みを、2020年までに導入する方針を固めたと報道がありました。2020年までには、個人番号カードを健康保険証としても使えるようにするそうで、マイナンバー制度の利用範囲の広がりが進みそうです。

しかし、そんな最中に日本年金機構の情報漏えい事件が発覚しましたね。新型のコンピューターウィルスにより、日本年金機構のパソコンから基礎年金番号や住所などの年金に関わる個人情報約125万件が流出したことが5月28日に判明しました。これをきっかけにしてマイナンバー制度に対する信頼性に波紋が広がってしまっています。

そもそもマイナンバー制度とは何なのでしょうか。私のまわりの反応としては、社員数が200名超の企業の方からは「どう対応したらいいのか?」と聞かれることは多くありますが、100名以下の企業の方からは、ほとんど問い合わせもないのが現状です。しかし、これだけ騒がれはじめると、取りあえず何かセミナーを聞いてこようということになり、そして、参加された方が口にされるのは、「これからは大変だ!どういう対応が求められるんだろう?」ということになっているようです。

今、行われているセミナーの多くは、マイナンバー制度の運用開始により企業の実務の負担が大きくなるということに焦点がおかれています。なぜかというとマイナンバー制度を商機ととらえているシステム開発の会社などがセミナーを行っているからですね。要は煽られているわけです。

また、マイナンバー制度において厳しい罰則が適用されることになっていることも私たちの不安を煽る原因になっています。マイナンバー制度の安全性の担保を図ることが特徴の一つになっていますが、「厳しい」という言葉が先行しているようです。一番、重い罰則として、「4年以下の懲役又は200万円以下の罰金」があります。懲役刑において「4年以下」というのは特別な意味を持ちます。刑法でいう執行猶予は「3年以下」の懲役が対象になるので、「執行猶予なしの実刑」が下る可能性があるということになります。そういったことから、「マイナンバー法は厳しい」と言われています。

その一番厳しい「4年以下の懲役」の判決が下るケースですが、「正当な理由なく個人番号を提供した」という場合になっていて、悪意をもって個人番号を外部に持ち出すといったケースが該当します。個人情報が漏えいする事件がこれまでもたびたび起きていますが、情報漏えいを起こした企業の社員や関係者が情報を外部に持ち出すことが多いようです。そういう場合に厳しい処分がなされることになっています。

マイナンバー法が施行されることによって企業が求められているのは、個人情報についての社員教育とマイナンバーを取り扱うにあたっての社内整備(保管方法や規程等を整備することなど)です。

内閣府の世論調査によるとマイナンバーによって「プライバシーが侵害される」と考える人は32%にもなるそうです。また日本はプライバシーの定義づけさえはっきりしていませんし、個人情報の意味を理解できていない人も多くいるように思います。

マイナンバー法の施行によって、企業のリスクは確実に高まります。これから、しっかりとした対策を行い、マイナンバー法が施行される10月を迎えましょう。


カテゴリー:所長コラム


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