ウミガメ料理と通勤手当から考える、手取りが増えない時代
2026年07月01日
神奈川県の川崎市にある中華のお店が美味しいと聞いたので行ってみました。そのお店の前に、「海亀1頭(104㎏)買いしました。」と看板があります。ウミガメと一緒に泳いだ人はいてもウミガメを食べたという話は聞いたことがないですよね。お店の人によると、小笠原諸島では海亀料理が郷土料理とされ、3月から5月にアオウミガメの漁が行われているそうです。その頭数も年間で上限が決められているそうです。小笠原諸島ではどのお店でも海亀料理が食べられるそうですが、本州ではここだけのようです。ここの店主が漁の時期に小笠原諸島のほうに行って島の人たちと一緒に漁を行い、捌くのも手伝っているために分けてくれるのだそうです。注文したウミガメのスープはコラーゲンたっぷりでとても美味しかったですが、微妙に罪悪感が残りました。
東京の会社の給与計算をすることになりました。担当者が突然、辞めてしまったとのこと。給与支給日まで日がなかったため東京に出向き、その日のうちに全て終わらせてきました。やはり、東京は通勤手当がすごく高いと感じました。ひと月で25,000円を超えている社員が何人もいます。所得税は非課税だからいいですが、社会保険料はそのままかかります。しかし、実際には定期代なので、もらってもいない給与の分の社会保険料が手取りから引かれてしまいます。実際に、今年の春にJR東が初めて鉄道運賃を引き上げたときに、衆院予算委員会で「通勤手当が手元に残るわけではないのに、出ていくお金だけが増えるということが起きようとしている」という危機感を訴える議員がいました。所得税は通勤手当を一定額まで非課税になりますが、厚労省は、社会保険料で通勤手当を除外すると現行の給付水準を維持するためには全体の保険料を引き上げる必要があると慎重な立場をとっています。
そもそも社会保険料と税の違いは、一般的には負担と給付が個人に紐づいているのが保険料で、負担をしても何に使われるのか不明確なのが税であるという解釈がされてきました。社会保険料は、医療や年金として自分に直接返ってきますが、税は基本的には社会に還元されるものの自分自身に直接返ってきません。なので、私たちは消費税率の引き上げに反対が多いですが、保険料率の引き上げにはこれまでは寛容だったように思います。しかし、その結果、最近では昇給したのに手取額が増えないと言われるようになりました。また、ここ数年の大卒新入社員の初任給の大幅な引き上げについてや税制改正で食事補助の非課税額が2倍超となった「社食特需」の話など、この物価高の最中で賃金に関する話題には事欠きません。
日本経済新聞社の調査によると、今年の大卒初任給を30万円以上とする企業は245社と昨年度比9割増えているそうです。大卒の初任給の平均額は26万7220円で、30万円以上に引き上げた企業は建設業に最も多いそうです。これまで「長期勤続」という考え方が日本企業の給与の基にありましたが、若年層の価値観の変化、転職市場の活性化、中途採用比率の上昇などにより大きな変化が始まったようです。製紙大手の王子製紙が、今年4月以降に入社した社員の退職金制度を廃止して、その廃止分を毎月の給与に上乗せすることにしましたし、女性向け下着やスポーツウェアの製造販売を手掛けるワコールは賞与を月々の基本給に組み入れて、月給が2割増える賃金制度を導入しました。これまでの日本企業の終身雇用や新卒採用を前提とした制度の魅力が薄れてきたということですが、他の大企業でもこうした取り組みが広がりつつあるようです。そんな中でトヨタ自動車の2026年3月期の平均年収が1000万円を超えたと日経新聞が報じました。給与を増やして優秀な人材を確保する動きだということですが、20年前と比べて平均年収は25%も伸びているそうです。工場従業員を多く抱える日本車メーカーで1000万円を超えるのは初めてということですが、全国の平均年収は24年に478万円ということもあり、賃金アップに苦労している中小企業の人材確保がますます難しくなりそうです。
特定社会保険労務士 末正哲朗
◆最新・行政の動き
厚生労働省は、ストレスチェックの実施義務の対象拡大の施行日を令和10年4月1日とする政令案について労働政策審議会に諮問し、「妥当」との答申を受けました。円滑な施行に向けて、実施マニュアルの周知や、地域産業保健センターにおける支援体制の整備などを進める考えです。
実施義務の対象拡大は、昨年5月公布の改正労働安全衛生法および作業環境測定法に盛り込まれました。施行日は政令で定める公布後3年以内の日とされていました。改正法では、新たに50人未満の事業場に対し、ストレスチェックの実施のほか、高ストレス者への医師の面接指導と就業上の措置の実施を義務付けました。
厚労省では、50人未満の事業場でも適切にストレスチェックが行われるよう、実施時の留意事項を示した「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を2月に公表しました。
同マニュアルでは、労働者のプライバシー保護の観点から、外部機関への委託による実施を推奨しています。事業者が実施時期と対象者などを決定したあと、実施時期に委託先が調査票を配布・回収するとしました。
その際、労働者が戸惑わないよう、事業者が選定した自社の実務担当者が、実施時期や委託先外部機関名、調査票の配布・回収方法、受検勧奨の方法などを社内で予告しておく必要があるとしています。
◆ニュース
オフィスビルや商業施設などの建物を管理・運営する日本管財ホールディングス㈱は、課長級への昇格審査の一部として実施してきた小論文試験を廃止し、AIによる面接に置き換えました。近年、生成AIを利用したとみられる文章が増え、文章レベルが均質化し、内容やテーマの面でも類似が多く、受検者の資質を見極めるには適切ではないとの判断によるものです。
昇格審査では小論文のほか、ケーススタディー形式の「マネジメント試験」、行動特性を把握するための「適性検査」を実施しています。マネジメント試験に重きを置いており、小論文や適性検査は参考程度と位置付けています。
同社人事部によると、AI面接は受検者の回答を深堀りして追加質問を重ねていくため、事前の対策が難しく、正確な能力の測定が可能です。今年4月の昇格審査では、受検者とその上司の両方から「(受検者の)今の状態、特性を正確に表している」と好評でした。
面接の結果は点数化し、人事部から受検者とその上司にフィードバックしています。不合格者は改善点を把握したうえで、翌年再挑戦することができます。
適性検査については、把握できる項目がAI面接と重複しているため、今後の廃止を検討しています。
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