人事・労務のエキスパート、石川県金沢市の社会保険労務士法人 末正事務所。人事・労務管理相談、社会保険労働保険手続き、紛争解決、組織活性、給与計算、人材適正検査まで、フルサポートします。

seminar

seminar

contact

ブログ

目的と目標の勘違い “強い経営者の落とし穴”

2026年04月01日

日本の労働力人口が初めて昨年、7000万人を超えました。その理由は女性就業者の増加が大きく、労働力人口の2025年平均は、男性が3805万人で前年比5万人の増加で、女性が3200万人で43万人増加、合わせて7004万人となりました。9年前の働き方改革によって労働力人口の減少を女性労働力で補う施策が進み、今では職場で働く人のほぼ半数近くが女性です。最近の女性の目覚ましい職場進出は、日本企業の労務管理を大きく変えたといえるのではないでしょうか。

日経新聞の「社長・知事も『一発アウト』」(2026.1.15)という記事では「企業や自治体のトップがハラスメントを理由に退任する例が相次いでいる。旧ジャニーズ事務所やフジテレビジョンの問題をきっかけに意識が変わった。セクハラなどは人権侵害と捉え、役職が高くても一発アウトとする流れができつつある。」とあり、企業幹部による不適切行為の発覚は今後も増えるだろうと報じています。また、「今になって不適切な行為そのものが増えたわけではない。法改正などを契機として内部通報を含む発見機能が強化され、過去には発見されてこなかった問題が洗い出されつつある」ともありましたが、これは少し違うようで、ある女性経営者は、「ハラスメントなんて昔から山ほどあったけど、言えなかっただけだ」と言います。職場で女性が増えたことで、女性の意見を無視できなくなったということではないでしょうか。今では「ハラスメントは重大な人権侵害」だという認識が当たり前にもなりました。他にも「4月にホンダの副社長が業務時間外の懇親会の場での不適切な行為を指摘され辞任」「10月に青森テレビの社長がパワハラで辞任」「12月に福井県知事が職員へのセクハラ問題の責任を取って辞任」するなど後を絶ちません。

そんな中「ニデック 減損2500億円恐れ」(日経新聞2026.3.4)と、世界No.1の総合モーターメーカーであるニデック(旧日本電産㈱)の会計不正が報じられました。調査している第三者委員会は、会計不正の原因が創業者である永守氏にあると厳しい指摘を行っています。永守氏は利益など目標に達していないグループや本社の幹部らを叱責するメールやチャットを日常的に送っていたことが明らかになっていて、「君は何度原点にもどれば指導を受けた経営のやり方を実践できると思っているのか?(中略)そのチャンスをつかめず問題ばかり発生させている現在の君の醜態は君の怠慢たる人間性が主因だと思うがな!恥を知るべきだ!」というメールを送ったり、「まさに『君は日本電産を潰すために来たのか?』という問いになる。私の元から損害だけ残して敵前逃亡していくのか、それとも死ぬ気で働いて損失を埋めてくれるのか?その選択を早くして、私を悪夢から逃れさせてほしいと思う」などとパワハラ発言を繰り返していたということです。第三者委員会は、「永守氏は一部の会計不正を容認したとの評価は免れない。最も責めを負うべきなのは、永守氏であるといわざるをえない。」と断じました。

思い出されるのが2015年に不適切会計問題があった東芝です。東芝は「3日で120億円の利益を出せ」と社長が部下に命じて、結果として完膚なきまでに分解されてしまいました。こういった企業の不祥事の原因について経営コンサルタントの小宮一慶氏は、「目的」と「目標」の間違いだといいます。小宮氏は『お客様に喜んでいただけるような商品やサービスを提供して、今年は「50億円の売上高をあげよう」とか、その結果「2億円の利益を出す」というのは、「目標」であって「目的」ではありません。』、企業は、社会に良い商品やサービスを提供し、お客様に喜んでいただくこと、そしてそれを通じて働いてくれている仲間を幸せにすること、あと地域社会に貢献することこそが目的であって、多くの会社がこの「目標」と「目的」を間違ってしまっているといいます。(ダイヤモンド社「経営者の教科書」小宮一慶)

ニデックの永守重信氏といえば、京都では京セラの稲盛和夫氏と並ぶほどの大経営者と見られていましたが、あっという間に足元をすくわれてしまったようです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

ストレスチェック 外部機関へ委託推奨 小規模企業向け手引き

厚生労働省は、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。実施に当たって外部機関への委託を推奨するなど、小規模事業場における現実的かつ実効的な実施方法を示しています。

マニュアルは、昨年5月公布の改正労働安全衛生法により、ストレスチェックの実施義務が労働者50人未満の事業場にも課されることを踏まえて作成しました。制度の実施に向けた事業者の準備事項には、ストレスチェック制度の導入方針の決定・表明のほか、関係労働者の意見聴取や、社内ルールの作成・周知を挙げています。

制度の実施体制については、外部機関の活用を推奨しました。事業者は、委託先に依頼して、医師や保健師などストレスチェックの「実施者」を選定します。事業場内においては実務担当者を指名するとしました。

委託先の選定に当たっては、事前に外部機関から「サービス内容事前説明書」を作成・提出してもらい、料金体系のほか、高ストレス者・面接指導対象者の選定方法、ストレスチェック結果の通知方法といった実施方法などを確認します。

来春高卒者の採用日程 求人申込は7月から 厚労省

厚生労働省は、主要経済団体や全国高等学校長協会、経済産業省、文部科学省と高等学校就職問題検討会議を開き、令和9年3月に高校を卒業する生徒の採用選考期日を取りまとめました。

ハローワークによる求人申込書の受付は今年6月に開始します。その後、求人不受理の対象かどうかを確認して企業に求人票が返却されます。返却された求人票を用いて、企業が学校への求人申込みや訪問を行えるのは7月1日以降としました。

学校から企業への生徒の応募書類提出開始日は、沖縄県(8月30日)を除き9月5日となります。企業の選考と内定開始日は9月16日です。

新聞や雑誌、インターネット上の広告などによって労働者を募集する「文書募集」の開始は7月1日です。この場合も、通常の求人手続きと同様にハローワークの確認を受けるとともに、応募の受付はハローワークまたは学校を通じて行う必要があります。

◆送検

月1時間残業で送検 適正に代表者選出せず 大阪南労基署

大阪南労働基準監督署は、有効な36協定がないまま、労働者に1カ月当たり最大1時間の時間外労働をさせたとして、訪問介護事業者と同社部長、事業場の統括責任者を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで大阪地検に書類送検しました。過半数代表者を適正に選出しておらず、36協定が有効ではありませんでした。

同社は労働者1人に、令和5年9月~6年3月にかけ、1日当たり2~6分、1カ月当たり最大1時間、法定労働時間を超えて働かせました。時間外労働は主に事務作業や報告業務などに充てられていました。

同社は36協定を届け出ていましたが、同社が過半数代表者を一方的に指名していました。同労基署は、民主的手続きを経て選出されていないとして、協定を無効と判断しています。

同一の期間において、時間外労働に対する割増賃金を一切支払わなかったとして、同法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)違反の疑いでも送検しています。同労基署は「時間外労働があったことを認識していながら、故意に支払っていなかった」と話しています。


カテゴリー:所長コラム


  • access
  • cubic
  • blog

pagetop