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「社会保険の適用が強化されます!」

2016年06月30日

お客様の会社で社会保険の調査があり、年金事務所へ行ってきました。その担当者から今年の10月から社会保険の適用が厳しくなりますよ、という情報をいただけたのでお伝えします。

今年の10月から従業員が500人超の事業所に勤務しているパートで次の3つの要件すべてに該当する方は社会保険に加入しなければならなくなります。(平成31年以降は従業員500人以下の事業所も適用予定となっています。)

① 1週間の所定労働時間が20時間以上

② 月額賃金88,000円以上(年収106万円以上/残業代や通勤交通費などは含まない)

③ 継続して1年以上雇用されることが見込まれること

これまで、結婚している女性の場合、夫の健康保険の扶養でいるためには、年収130万円以内であれば、健康保険や厚生年金保険料を負担しなくてよかったわけですが、上記の要件を満たせばその妻も社会保険に加入することが必要になります。

 

それに加えて、適用を強化するため厚生労働省は5月13日付で保険局保健課長名の「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金の適用拡大に係る事務の取扱いについて」といった通達を出しています。その中では従来の判断基準であった「①1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上であること②1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上であること」が廃止され、平成28年10月1日以降は、「1週の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」が同一の事業所に使用される通常の労働者の3/4以上である場合には適用するとしています。先ほどの担当者から聞いた話では、「1週30時間」というのが基準となり、「概ね」という概念がなくなるため30時間ちょうどで勤務している場合にも適用されてしまうことになるそうです。ただし、この30時間には残業時間は含めないことになっており、すべて雇用契約書がどうなっているのかで判断するということでした。(あまりにも実態とかけ離れている場合はダメ)

社会保険料の徴収は、ここ数年で大幅に強化されており、建設業、運輸業などの未適用事業所の強制適用や滞納保険料の徴収は大変に厳しいものになっています。

 

医療費や年金等の社会保障給付費(平成25年度)は、110兆6566億円で、過去最高の水準となっている中で、消費税増税が再延期されるなど、社会保障の財源がいっそう注目されています。平成28年版の「高齢社会白書」が5月20日に閣議決定されましたが、その中で、日本、ドイツ、アメリカ、スウェーデンの60歳以上の男女を対象とした意識調査の結果も示されていて、4か国すべての高齢者の約9割が老後の生活に満足していると回答されています。しかし、日本の高齢者の77.5%は経済的に困ってはいないものの、50歳までに老後の経済生活の備えを「とくに何もしていない」と答えた人が42.7%と最も多くなっているそうです。(他国は20%台)いかに厚生年金が老後の生活の支えになっているかがわかりますね。

しかし、65歳以上の生活保護受給者が増加傾向にあり、被保護世帯の半数が高齢者世帯という調査結果も出ていて、今後は低年金者対策の必要性が課題になりそうです。

 

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム

「SNSの炎上トラブル」

2016年06月30日

先日、みずほ総合研究所が主催のセミナーに参加してきました。講師は、弁護士の影島広泰氏で情報管理やプライバシーに明るいかたです。私もSNSに関する相談を受けることがあるので、勉強に行ってきました。非常に興味深い内容でしたので今回、取り上げてみたいと思います。

コンビニのアイスクリームのケースの中に寝そべった写真がFacebookに掲載され、それがTwitterや2ちゃんねるで拡散して炎上したのが2013年でした。そこから従業員やアルバイトのネット上への投稿が炎上を招いたケースが続出しましたね。では、炎上するとどうなるかですが、過去の事案によると「2ちゃんねらー」により、個人の名前や写真のみならず、会社名、アルバイト先も特定されてネット上に拡散されてしまいます。時間にすると、多くは夜中に炎上が始まり、中にはほぼ1時間あまりで投稿者のさまざまな情報が特定されてしまうケースもあったようです。では、なぜ若者は不適切な投稿をしてしまうのか。

今、Twitterは「バカ発見器」と言われているそうです。そもそもSNSでは情報が社会に公開されているという意識を持てず、友達に「こんな面白いことしたよ」ということを発信しているという感覚でしかないというのが特徴です。たしかに、問題になった写真を見ると面白いと思います。しかし、それが社会的に見てどうかということとは別の問題です。そこらあたりの判断がつかないから問題になっているということですね。

そして、炎上させてしまった若者のその後の末路ですが、「退学」「内定の取り消し」「勤務先の解雇」などが待っています。また投稿者の人生を狂わせる「炎上」だけでなく投稿が会社の大きなイメージダウンにつながってしまったケースも多くあります。そうならないよう、企業はアルバイト、新入社員向けに、SNSがオープンであることの怖さを理解させる教育が絶対に必要です。

その他にも炎上だけではないSNSのトラブルはあります。たとえば、LINEです。LINEを会社内で業務に使用することが増えてきたようですが、会社がそれを認めている限り、LINEを使うこと自体には問題はありません。

しかし、就業時間後に、会社の指揮命令下にあるといえるようなやりとりをしていれば、労働時間とみなされる可能性が出てきます。一般的にメールは、送り手がすぐに見ることを期待せずに送信します。それに対して、LINEは見なければよいという性質のものではありません。時間外、深夜・早朝などの送信には配慮が必要です。

また、LINEのやりとりはパワハラ、セクハラにつながりやすい傾向にあります。「もうちょっとしっかりしろよ。」と軽い気持ちで上司が部下に送った場合、その言葉で部下がパワハラを受けたと感じるケースがあるということです。何気ない言葉ですが、文面になるとキツク感じてしまうものです。

私の経験からも、パワハラ・セクハラの相談では、必ず相談者からLINEの画面を見せられます。そこには、飲み会の誘いや会話であればなんの問題もないような言葉が書いてあり、それがハラスメントの証拠として提出されてきます。

最後に炎上してしまった場合の具体的な対応ですが、投稿した本人に対する責任追及をして掲示板の投稿を削除させることができます。投稿者は、裁判手続きで完全に特定することができますし、投稿者を刑事告訴することも可能です。ようするに、インターネットは全く匿名ではないということです。

 

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム



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