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丙午が映す日本のいま

2026年02月02日

今年2026年は、60年に1度の「丙午(ひのえうま)」の年です。前回の1966年の「昭和の丙午」は日本社会に大きなインパクトを残しました。その年は、出生数が前年より25%も少なく人口ピラミッドに大きな凹みを作りました。ぼくの一つ上の年齢に当たりますが、学校のクラスがひとつ少なかったことを覚えています。丙午の年に生まれる女性は気性が激しいという江戸時代からの迷信が元だそうですが、当時は出生数増のさなかに日本はあり、総人口はこのころに1億人を突破していて、出生数は、1965年182万人、丙午の1966年が136万人、1967年は193万人という状況でした。しかし、今の出生数は68万人でほぼ半減しています。8割の男女が「いずれ結婚するつもり」と答え、希望の子ども数は2人が多いという調査結果もありますが、希望と現実のギャップを埋める方策を長年にわたって日本は示せないでいます。日本など急速に経済成長した国では、伝統的な価値観が残るなかで女性の社会進出が進み、出生率が大きく低下したという見方があるくらい、「赤ちゃん」と「職場・働き方」の関係が深まっています。

また、日本の職場では働き方の価値観が多様化しています。高市首相の「働いて働いて働いて働いて働いて参ります。」が流行語大賞となり注目を浴びました。昔の日本の職場では、会社での出世競争から落ちこぼれた「窓際族」といわれる働かないおじさん社員が存在していましたが、今は「静かな退職」という働き方が現れています。「静かな退職」はアメリカで広まった言葉で、競争志向の生き方を嫌い、そこから「さりげなく退避」しようとする姿勢のことをいうそうです。特に「上昇志向」「ハッスルカルチャー(過度な労働を美徳とする文化や価値観)」といった価値観に反対する動きとしてZ世代を中心に広がったとされ、やりがいやキャリアアップを求めずに、決められた仕事を淡々とこなす働き方で、実際に退職をするわけではなく、退職が決まった従業員のような余裕をもった精神状態で働くことをいうのだそうです。

今の日本は、伝統的な「終身雇用」が揺らいでしまって、ひとつの会社で頑張って長く働いても報われるとは限らなくなってしまったため、将来に不安を抱く人や仕事のために生きるという考え方に疑問を持つ人が増加しいます。マイナビが実施した調査によると、全国の20~50代の正社員のうち44.5%が「静かな退職をしている」と答えたそうです。特に20代ではその割り合いが高く、また「静かな退職を続けたい」と考えている人の合計は70.4%にも達していて、「静かな退職」は一過性の流行ではなく、働き方のひとつとして定着する可能性があるとのことです。こういった人たちについて企業の採用担当者からは「時代にあっている」「やるべき仕事をしていればよい」など、一定の賛成も得られているようです。ようは「静かな退職」は、働く人の価値観や関係性が現れたものであり、単なる怠慢や問題行動として片づけることはできないということです。従来の安定雇用の見返りに滅私奉公を求めた日本型雇用は限界を迎えたということのようです。

ここ数年、人材確保や退職防止のため若手社員の賃金アップが活発に行われていますが、会社を支えてきた中堅社員の給与はいぜんとして抑えられています。また、業績の悪くない企業が、50代以上の社員を標的として早期退職や希望退職を募集する「黒字リストラ」が目立って行われています。昨年、リストラを公表した上場企業のうち、黒字企業は28社と67%を占めており、人数では1万人を超えました。ただ、「早期退職には応じないほうがいい。」といわれています。大企業で年収1000万円以上の管理職だった人材の転職の受け皿は中小企業となりますが、そんな年収を支払える会社はないからです。また、大企業人材はなんでもそつなくこなすゼネラリストが多いため、転職市場での価値は低いことも影響します。このように若手社員には甘い日本社会ですが、高齢化が進んでいるにもかかわらず、実はシニア人材が活躍できる素地が整っていないという問題が生じているようです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

管理職へ安衛教育を 高齢者労災防止で指針案 厚労省

 厚生労働省の有識者検討会は、労働安全衛生法に基づく高年齢者の労働災害防止のための指針(仮称)の案を取りまとめました。事業者が講ずべき措置として、安全衛生管理体制の確立や、職場環境の改善、健康・体力の状況の把握とそれに応じた対応、高年齢者と管理監督者などへの安全衛生教育を盛り込みました。

指針は、改正安衛法により、今年4月から高年齢者の労災防止措置が事業者の努力義務となることを受けて定めるものです。指針案では、職場環境改善の取組みとして、身体機能の低下を補う設備・装置の導入や、高年齢者の特性を考慮した作業管理を行うとしました。

設備・装置の導入に当たり、重量物の取扱いへの対応や、暑熱環境への対応の例も示しました。一般に、暑さや水分不足に対する感覚機能や、身体の調節機能が低下するため、涼しい休憩場所を整備し、利用を勧奨するとしています。

 作業管理面では、筋力や敏捷性のほか、バランス能力や全身持久力、感覚機能、認知機能の低下といった特性を考慮し、作業内容の見直しを検討・実施するよう求めています。

「おい、こら」で団交中止 不当労働行為を認定 熊本県労委

熊本県労働委員会は、団体交渉中に組合側が「おい、ちゃんと聞かんかい、こら」などの発言を繰り返したことを契機に、学校法人が団交を打ち切った事案について、不当労働行為と認定しました。発言は暴力行為を示唆するものではなく、「安全を確保できない」という法人側の主張は認め難いとしています。正当な理由のない団交拒否と支配介入に該当すると判断し、ポストノーティスを命じました。

組合は、同法人が運営する短大の廃止をきっかけに結成しました。短大が募集停止に至った理由などを議題として、団交を重ねていました。

第5回団交で、組合の執行委員長が、「おい、ちゃんと聞かんかい」、「ちゃんと顔見んかい」などの不穏当な発言をした際、法人の代理人弁護士は、法人側出席者の安全を確保できないことを理由に、すぐに団交を打ち切りました。組合側の一連の発言後、法人側は十数秒で終了を宣言し、団交は約9分で終了しました。

同労委は、組合側の発言は交渉態度として必ずしも是認されるものではないとしたうえで、法人側出席者に対して暴力を示唆するものではないと認定しました。実際に殴る、物を投げつけるなどの有形力の行使もされておらず、「法人側出席者の安全等を確保できないと認識させるには十分なものとは認め難い」と判断しています。さらに、発言後も、組合と法人の発言は聞き取れる状況にあり、団交が継続できないような喧噪状態にもなかったとしています。

弁護士が発言を受けて十数秒で団交を終わらせたことについては、「団交を緊急的に終了しなければならないほどの危険性が迫ったものとはいえない」と指摘しました。

県内企業と学生 AIが“マッチ” 埼玉県

埼玉県は、AIを活用した県内企業と大学生のマッチング支援事業を始めました。昨年11月から企業の登録申請が開始しており、1月中にサイトを立ち上げます。登録は無料です。

登録企業には「望ましくない人物像」を明確にするためのアンケートを受けてもらい、学生には行動心理学に基づいた適職診断を実施し、結果に基づきAIが両者をマッチングします。マッチングが成立した場合、学生には「おすすめの企業」として採用情報などが通知されます。 登録は県内に事業所を構える企業が対象で、すでに500社が登録済みです。学生は最低1000人を目標に、首都圏の学生へ登録を呼び掛けています。


カテゴリー:所長コラム

さらなる高みを目指す

2026年01月05日

ぼくは美味しい飲食店を見つけることが得意です。旅先や初めて訪れた土地で、何気なく入ったお店でも当たりの場合が多いので、うちの奥さんによく感心されます。ぼくはそこのお店が細かいところにまで気を配っているかどうかがポイントだと思ってます。

昨年、セブン&アイHDがカナダの企業に買収を提案され拒否することがありました。セブン&アイHDのコンビニ店の1日あたりの平均売上額は69万2千円でローソン、ファミマを大きく上回ります。しかし、この数年で伸び率が、セブンは5%台、他のコンビニ店が8%台と逆転していて、セブンに対しては他の点でも手厳しい批判が多くなっていて、顧客心理を甘く見ているとの指摘も受けているそうです。たしかに最近のセブンは魅力的な商品が減ったように思います。セブンイレブン創業者の鈴木敏文氏は「顧客心理」を大事にしなさいというのが口癖だったそうです。鈴木会長は社員に対して30年間、「欠品をするな」「掃除しろ」「挨拶しろ」「お客さんに親切にしろ」と同じことを言い続けてきたといいます。セブンでは、月に一度、全国の幹部が東京の麹町にある本社ビルに集まり会議をしていると聞いたことがあります。会議が終わり、その幹部たちが駅に向かって一斉に帰る姿は錚々たる様だったそうです。その会議で鈴木会長は毎回、同じことを話されたそうですが、当たり前のことを言い続けて、それが積み重ねられていくことによって普通が普通でなくなるということが起こるそうです。

九州旅客鉄道相談役の唐池恒二氏は、若い頃に飲食店の経営を勉強するため繁盛する飲食店に通い詰めたところ、繁盛する店と繁盛しない店には決定的な違いがあることに気がついたそうです。唐池氏は「それは『気』です。繁盛店には店全体に強烈なオーラが出ています。隅々まで掃除されていたり、スタッフの表情が自信に満ち溢れていたり。そういう店は料理やサービスも間違いない。これが『気』の正体なのでしょう。」といい、その気を呼び込むための5つの法則を話されています。それは、「夢見る力」「スピードのあるキビキビとした動き」「明るく元気な声」「隙を見せない緊張感」「(成長しようと努力する)貪欲さ」の五つだそうです。

経営コンサルタントの小宮一慶氏は「GoodはGreatの敵である」といいます。「ビジョナリーカンパニー2」からの言葉です。一定の成功をおさめるとそれで満足してしまって「もうこれでいいか」という考えになってしまう。これではダメだという意味です。「Goodであることに満足しているとGreatにはなれない」ある程度の成功をしたとしても、それで安住するのではなく、謙虚になり、なれる最高の自分になることが「自己実現」だと小宮さんはいつも説きます。

ホテルオークラ創設から支配人を務め伝説のホテルマンといわれた橋本保雄氏も「一定のレベルで満足してしまうか、それとも一つひとつに真心を込めて、さらによいものを目指していくか。それが大きな違いになるんです。」と言いました。朝食の目玉焼き1つ作るのにも「どうしたら喜んでもらえるかと精一杯工夫を凝らして出すのとでは、お客様の喜びもまったく違う。そういうふうに、感性を働かせて仕事をしていくこと。私はこれがとても重要だと思いますね。感性を精一杯働かせ、お客様に喜んでいただけることを発想し、それを行動に移す。これがやっぱりプロだと思います。」ちょっとした心遣いが大きな差になるのです。もうひと手間が大切なんですね。

東京工業大学名誉教授の本川達雄氏の著書で「ゾウの時間 ネズミの時間」には、動物は「息を1回吸って吐いての繰り返しの間に心臓は4回打つ。これは哺乳類ならばどの大きさでも当てはまる。そしてどの動物も一生の間に心臓を20億回打つため、呼吸する時間で割れば一生の間に約5億回息を吸って吐くを繰り返すことになる。」と書いています。ゾウは長命、ネズミは短命な動物ですが、人間も含めて哺乳動物の一生は、ほぼ5億回の呼吸で終わると決まっているそうです。ということは、人生の価値というのは、長さで決まるのではないということです。決められた呼吸回数を使い切るまでに、何を成すのかではないでしょうか。ひと呼吸を大切にしたいものです。  (参照:月刊誌「到知」、到知出版社「生き方の教科書」)

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

悪質行為への対処方針周知 カスハラ抑止狙う 厚労省指針素案

厚生労働省は労働政策審議会雇用環境・均等分科会で、カスタマーハラスメントについて雇用管理上講ずべき措置に関する指針の素案を示しました。

素案ではカスハラについて、①顧客等の言動、②労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超える、③労働者の就業環境が害される――のすべてを満たすものと定義。顧客等には取引の相手方や駅・空港など施設の利用者およびその家族も含むとしました。

講ずべき措置には、(1)事業主の方針の明確化と周知・啓発、(2)苦情・相談に応じ、適切に対応するための必要な体制整備、(3)事実関係の迅速・正確な確認など事後の迅速かつ適切な対応、(4)カスハラ抑止のための措置――などを盛り込みました。

(4)の抑止のための措置では、労働者に過度な要求を繰り返すなど、とくに悪質なものへの対処方針をあらかじめ定めます。管理監督者を含む労働者に方針を周知し、定めた対処を実行できる体制を整備しなければなりません。具体的な対処の例として、「行為者に対して警告文を発出する」、「法令の制限内で商品の販売・サービスの提供をしない」、「店舗・施設等への出入りを禁止する」などを示しています。

分科会では、求職活動におけるセクシュアルハラスメントの防止措置を含め、新たなハラスメント防止措置義務の施行日を令和8年10月1日とする案も示しました。

◆ニュース

建設業向けクマ対策で 事例集を作成 東北地方整備局

国土交通省東北地方整備局は、クマの出没が頻発している状況を受け、工事現場など屋外の作業現場向けに、クマ対策の事例集を初めて作成しました。

事例集は、同整備局発注の公共工事現場で実施している取組みを中心に、計53事例をまとめています。土木工事は緑が豊かな現場が多く、クマに遭遇するリスクも高い分、受注業者ごとにさまざまな工夫に取り組んでいます。地方公共団体発注の公共工事や民間工事にも横展開するため、写真付きで1冊に集約しました。

たとえば遭遇した際に有効なクマ撃退スプレーについては、ただ携行するだけでなく、訓練を行っている様子を紹介しました。スプレーの噴射距離を体感させ、スムーズに取り出すための方法を教育することで、万が一の場合に確実に使用できるようにしています。

クマを寄せ付けないための工夫も解説しています。クマ鈴やホイッスル、大音量スピーカーなどで人間の存在を知らせている事例を紹介しました。唐辛子粉末を練り込んだ線香を携行したり、クマの天敵であるオオカミの尿を設置したりすることも有効だとしています。 同整備局企画部は、「事例集の作成は、昨年度までは考えられなかった。被害の未然防止への取組みが今後も必要になってくる」と状況を危惧します。事例集の内容は、今後も随時更新していく予定です。


カテゴリー:所長コラム

年末年始休業のお知らせ

2025年12月23日

いつもお世話になりありがとうございます。

誠に勝手ながら12月27日(土)~1月4日(日)まで年末年始休業とさせていただきます。

ご迷惑をお掛けいたしますが、宜しくお願いいたします。

2026年も皆様にとって良い1年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎えください。


カテゴリー:お知らせ

福利厚生の充実

2025年12月01日

外食大手のトリドールホールディングスは、傘下の「丸亀製麺」の店長の年収を、最大2000万円にすると発表しました。現在の店長の最高年収は約520万円ということなので、約4倍近くに引き上げるわけで、今後3年間で10名が「年収2000万円」の店長になる予定だそうです。この背景には人手不足があります。官公庁の統計データによると、2025年7月の飲食業の有効求人倍率は調理従事者で2.06倍、接客・給仕従事者で1.77倍になっています。実際、トリドールに限らず、こうした待遇の向上は他の飲食企業でも行われていて、例えば、すかいラークグループは昨年、店長の年収を800万円から1000万円にまで引き上げることを発表しています。店長全員の年収がそうなるわけではないようですが、働き手にとっては「夢」のある話となっています。現在の厳しい状況下で、自社を働き口として選んで欲しいという企業の思いが感じられます。

ここ数年の初任給の上昇スピードはまったく衰える兆しを見せません。大企業に中小企業はなかなかついていけないというのが実情ではないでしょうか。そこで最近、よく聞くのが賃金面以外の労働条件について、充実させる企業が増えているということです。「福利厚生」というのは、休暇制度、住宅手当などの各種手当、研修制度などさまざまなものがあります。ある調査によると、学生が企業選びにおいて重視していることの上位は「福利厚生が整っている」(44.3%)、「給与の高さ」(39.8%)、「職種に興味がある」(32.8%)となっていて、福利厚生の注目度が最も高くなっています。また、「企業の福利厚生について魅力を感じるものは何か」という調査では、「休暇制度(病気休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇など)」(53.8%)が半数以上でトップとなり、「働き方(フレックスタイム制度、テレワークなど)」(50.8%)、「住宅(社宅、住宅手当など)」(37.5%)が次いだということです。就活で企業を選ぶ際は、仕事内容や企業の規模、給与などさまざまなポイントがあると思いますが、その中でも福利厚生が充実しているかどうかも重要なポイントになっているようです。

トップに挙がる休暇制度ですが、相談を多く受けるのが「入社時の有給休暇付与」制度です。労働新聞が行った調査では、首都圏の求人企業770社のうち27.1%の209社が制度に取り組んでいるそうです。この数年で年次有給休暇の計画的付与の活用が増えていることや入社直後の体調不良による欠勤で賃金が減ることを避けられるということもあって、導入する企業は増えています。また、住宅手当を支給する企業も増えています。その支給額の幅は広くて、5000円程度から20000円を超える手当を支給する中小企業も見られます。住宅手当の支給は、遠隔地からの人材募集という意味もあるので、若い人材を募集するにはとても有効な手段だと思います。

人間はどのようなときに不平不満を持つものなのか、コンサルタントの一倉定先生が昭和基地の越冬隊の例を示しています。「4か月間にわたるプラトー基地に向けた雪上の移動は困難を極めた。基地にたどり着く前の2週間は、標高三千メートル以上の希薄な空気で、氷点下60度に近い極寒を、ブリザードに襲われる中、移動を続けた。眠る間もない悪戦苦闘の末に、ようやく基地にたどり着いた。基地で一休みした以後の移動は順調だった。天候は回復し、気温は上がり雪上車のスピードも上がった。しかし、環境が順調になると、まず食事に対する不満が起こった。そしてちょっとしたことでも、空気がトゲトゲしくなったのである。同じ人間が、基地にたどりつく前の2週間の悪戦苦闘の間には、食事に対する不満どころか、食事をする間も惜しんで、難関突破に全員一致して死力を尽くしたのである。『人間とは奇妙な動物だ』と隊員は語った。」

一倉先生は「立派な本社ビルを建てると、かえって不満とホンワカ・ムードが高まることは、しばしばである。」と言います。不満というのは物理的環境が悪い時には起こらず、良くなった時に起こるものといわれます。「人間は満足感を持てば、その瞬間から働かなくなり、進歩も止まる。人間とは、このようなやっかいな動物なのだ。」そうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

小規模事業場ストレスチェック 手引作成へ議論開始 厚労省・有識者検討会WG

厚生労働省は、ストレスチェックの実施義務が労働者50人未満の事業場まで拡大することを受け、小規模事業場向けの実施マニュアル作成に向けた有識者ワーキンググループの初会合を開催しました。

初会合では厚労省が、関係労働者の意見聴取や、実施者となる外部委託先の選定、調査票、医師の面接指導、集団分析・職場環境改善、プライバシー保護などの論点ごとに、対応案を示しました。

高ストレス者に対する面接指導については、労働者が安心して申出しやすくなるように、事業者に直接申し出るのではなく外部委託先を経由して申し出るなど、具体的な方法を記載するとしました。

ストレスチェックの実施や個人結果の通知・保存、面接指導の実施・申出勧奨、事後措置の各段階におけるプライバシー保護のあり方も検討事項に挙げました。厚労省は、面接指導を行う際の個人結果の取扱い方法として、事業者を経ずにストレスチェック実施者である外部委託機関が面接指導を担当する医師に直接提供すること、または本人が直接持参することを求める案を提示しています。

ストレスチェックの実施義務の対象事業場の拡大は、今年5月公布の改正労働安全衛生法に盛り込まれました。努力義務とされていた50人未満の事業場にも実施を義務付けるもので、令和10年5月までに施行されます。マニュアルは来年3~4月頃の公表を予定しています。

◆ニュース

外食産業の現状を分析  エリア責任者 心身負担大きく 過労死防止白書

 政府は令和7年版の過労死等防止対策白書を閣議決定しました。今年の白書では、重点対策業種である外食産業の調査結果を紹介。エリアマネージャーは長時間労働の傾向にあり、店舗で接客や調理を担当する従業員に比べてハラスメントを受けたことがある者の割合も高いなど、とくに心身の負担が大きい様子が浮彫りになりました。

白書では、エリアマネージャー(スーパーバイザー含む)、店長、店舗従業員(接客)、店舗従業員(調理)といった職種ごとに、労働時間の状況やハラスメントを受けた者の割合などを示しました。

それによると、1週間当たりの平均労働時間が60時間以上の労働者割合は、外食産業全体で14.9%なのに対し、エリアマネージャーは24.0%、店長は29.0%と、店舗の責任者に長時間労働の傾向がみられました。

パワハラやセクハラの経験割合についても、エリアマネージャーがとくに高い水準にあります。たとえば、パワハラの類型の1つである精神的な攻撃の経験割合は22.0%に上り、産業全体(13.6%)との差が大きくなっています。カスハラを受けた経験がある割合も、エリアマネージャーが30.0%で最も高く、店舗従業員(接客)が21.3%、店長が19.5%などと続きます。

15%が偽の会議案内クリック サイバー攻撃訓練で 東商

 日常的に目にするオンライン会議の案内メールでも、心当たりがない場合は注意を――東京商工会議所は、会員の中小企業84社1146人を対象に行った電子メールによるサイバー攻撃訓練の結果をまとめました。「オンライン会議への参加案内」を装ったメール内のURLをクリックしてしまった参加者は14.9%に上りました。そのうち31.0%が「怪しいと思ったが、開いてみないと判断できないと思った」としています。

訓練は2019年から毎年、偽装メールの内容を変えて行っています。各社が事前に提出した社員のメールアドレスに、訓練を請け負う会社から偽装メールを送信するもので、今回のメールでは、本文の「参加情報を確認する」という文字の下にURLを配置していました。

過去の訓練では、「偽の研修案内」のクリック率が7.8%、「偽のシステム提供者からの通知」では6.1%だったのに比べ、今回は倍以上となっています。東商では、企業の経営者や人事担当者に向けたセミナーの開催を通じ、従業員への啓発を呼び掛けていきます。


カテゴリー:所長コラム

日本の若者

2025年11月04日

ぼくが会社勤めだった頃は、上司やお客様から注意されると、事をスムーズに運ぶために、たとえ自分に非はなかったとしても、まず「すみません」とひとこと謝っていたように思います。でも、最近は「謝らない人」が増えているそうです。「申し訳ありません。」と言えば済むところを絶対に自分の非を認めないということだそうですが、心理学博士の榎本博明氏は、その原因のひとつに「褒めて伸ばす」という方針が広く浸透し、子どもを叱ることが少なくなった最近の学校教育が原因ではないかといいます。榎本先生は、「『傷つけてはならない』として、たとえ義務を果たさなくても受け入れる風潮の中で育った若者は、失敗を指摘されることに慣れておらず、注意されると人格を否定されたように感じてしまいます。まずは『すみません』と謝ってから事情を説明するという基本的な対応ができないまま、社会に出てくる人が増えているのです。」と指摘しています。今の若者が受けた学校教育の「褒めて伸ばす」という教育方針で、子どもは教師から叱られることは少なくなっているし、部活動やサークル活動への参加が減って、他者との人付き合いが苦手な子どもが増えているということのようです。(「PRESIDENT」2025.9.12号)

しかし、世界を舞台に大活躍している若者もたくさんいます。大谷翔平、八村塁、羽生結弦選手といったスポーツ界のスーパースターの存在や、経済協力開発機構(OECD)の令和4年国際成人力調査では、日本が「問題解決能力」「数的能力」「読解力」において世界トップクラスとの評価を受けていて、若い世代ほど成績が良かったという結果が出ているそうです。また、若者を中心としたアニメやゲーム産業も世界有数のクオリティを誇り、世界には多くのファンがいます。これは、日本の若者が高い専門性とグローバルな視点を備えた人材である証といえそうです。

このどちらもが今の若者の実態です。企業にとって今の若手社員は「宝物」のような存在だともいわれています。その理由は、そもそも人数が少ないということもありますが、「スマホネイティブ世代」といわれるように、IT、デジタル力が強みだからです。生まれたときからスマホをおもちゃにしているので、ソフトを駆使して情報やデータを収集する能力が高いうえに、変化への対応力もあります。残念ながら、こういった能力は、多くの中高年にはないものばかりです。三菱電機が、53歳以上の正社員を対象にして、募集人数を定めない早期退職を募集すると発表しました。三菱電機は2026年3月期に最高益が予想される一方で、従業員には早期退職を促しています。三菱電機の場合は社内の年齢層が高めに偏っている人員構成を是正して「若返り」をはかり、次世代への継承を推進することが目的だといわれています。今、このような若返りのための黒字リストラを行う企業が相次いでいるそうです。

このように切り捨てられていく高齢者ですが、日本経済においてはそういった人たちの活用も大切な課題になってきています。この30年間で15~64歳の生産年齢人口が8700万人から7300万人に激減する一方、65歳以上の人口が1800万人から3600万人に倍増しました。健康寿命は、男性が73歳、女性は75歳に達しているため、日本の生産年齢人口は、少なくとも70歳にまで引き上げるべきだといわれています。総務省によると、高齢者の就業状況は、2024年の65歳以上の就業者が930万人(うち男性538万人、女性391万人)となり、ちょうど生産年齢人口の減少分を補っているようにも見えます。大企業に比べ中小企業はこれからますます採用が出来なくなります。会社を存続させるために今後も採用をしなければならないことは変わりませんが、まずは今いる社員の定着を良くすることです。中小企業では大企業のように優秀な人ばかり入ってくるわけではないので、今いる社員が育つ職場環境を整えることも必要になります。

冒頭の謝らない人たちに対して職場での対応はどうすればよいのでしょうか。榎本先生は、「こうした人たちの性格を根本的に改善させるのは、ほぼ不可能」「まずはこの現実を受け入れて、過度な期待を持たないことが先決です。」といいます。どうもガマンするしかなさそうですね。 

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

個人事業者業務上災害 注文者に報告義務課す 安衛則改正案・厚労省

厚生労働省は、建設業の一人親方など個人事業者の業務上災害の報告制度の創設に向け、労働安全衛生規則などの改正案要綱を労働政策審議会に諮問し、「妥当」との答申を受けました。令和9年1月に施行する予定です。

昨年5月に公布された改正労働安全衛生法および作業環境測定法では、個人事業者などの業務上災害報告制度の創設を盛り込みました。個人事業者の業務上災害を網羅的に把握する仕組みがなかったことから、報告制度により、効果的な労働災害防止施策などの検討につなげるのが狙いです。報告主体や報告事項などの詳細については、省令などで示すこととしていました。

改正省令案要綱によると、個人事業者と同一の場所で仕事を行う直近上位の注文者(特定注文者)に対し、労働者と同一の場所で作業を行う個人事業者が業務に起因する負傷・傷病によって4日以上休業したことを把握したとき、所轄労基署に遅滞なく報告するよう義務付けます。罰則は設けません。特定注文者が存在しない場合には、災害発生場所を管理する事業者が報告義務を負います。

被災者である個人事業者が災害発生の事実を伝達できる場合には、個人事業者本人が特定注文者または管理事業者に遅滞なく報告する必要があります。報告を受けた事業者は、必要事項を補足したうえで労基署に遅滞なく報告しなければなりません。

脳・心臓疾患および精神障害事案については、本人が直接、労基署に報告できることとします。

◆ニュース

建設など8分野は2年 育成就労の転籍制限期間 入管庁案

 外国人技能実習制度に代わって令和9年4月に開始される育成就労制度を巡り、出入国在留管理庁と厚生労働省は、分野ごとの転籍制限期間に関する案を有識者会議に提示しました。外国人本人の意向で職場を移る「転籍」を制限する期間について、建設や工業製品製造、飲食料品製造、介護など8分野で、就労開始から2年としました。宿泊や物流倉庫、ビルクリーニングなど9分野は1年での転籍を可能とします。

 今年3月に閣議決定した基本方針では、「転籍制限期間については、1年とすることをめざしつつ、当分の間、育成就労産業分野ごとに、業務内容を踏まえて、1年から2年までの範囲内で分野別運用方針において設定する」としています。1年を超える期間を設定する分野の受入れ企業は、原則として、分野ごとの基準を満たす待遇向上策を講じなければなりません。

 出入国在留管理庁などの案では、各分野の制限期間をその理由とともに示しました。たとえば、建設分野では、外国人が安全に作業を行えるようになるために、一定の時間をかけて安全衛生教育を行う必要があることなどを理由として、2年に設定しました。

 政府は、分野別運用方針について、年内の閣議決定をめざしています。

店長年収2000万円へ 部下の満足度で評価 トリドールHD

㈱トリドールホールディングスは、運営するうどんチェーン「丸亀製麺」の店長職をアップグレードし、主な役割を従業員のハピネス(満足度)の最大化と顧客の感動づくりに設定します。新役職「ハピカンキャプテン」は4段階で処遇し、最上位では年収2000万円に到達可能としました。ハピネスについては、音声対話型生成AIによるヒアリングで測定します。

従来の店長の年収は520万円が上限となっていました。新役職のキャプテンは500万円を下限とし、3年で300人体制をめざします。そのうち10人程度は最上位の2000万円クラスとなることを見込んでいるとしました。

キャプテンにはハピネス向上のため、従業員の誕生日を祝ったり、交流会を開く予算を与えます。従業員や顧客と直接触れ合う機会を増やすため、シフト作成・発注管理、帳簿管理などの管理業務は副店長に移管します。

顧客の感動度は、食後に記入してもらうアンケートの結果から分析し、スコア化します。


カテゴリー:所長コラム



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