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「時効消滅」

2018年03月26日

先月号に書きましたが、「年の初めに、まずは自分を律しなければ」と心機一転。でも、年が明けてもなにかダラダラと。「これまでがんばったから、ゆっくりすればいいのかも」なんて自分に甘く考えていたわけですが、しだいに何か時間がもったいないと思うようになり、なぜか禁酒することにしてみました。禁酒は、これまでにも何回もチャレンジして、いつも3日で終了となっていましたが、今回は、もう2週間以上(この原稿を書いている時点で)お酒を飲まない日が続いています。当たり前なのかもしれませんが、お酒を飲まないと体調がよくなるんですね。休みの日にはジムで体を動かし、お茶の代わりに青汁を飲み始めました。布団にいても「早く朝にならないかな」と思うほど、いつの間にか健康志向に大変身です。毎朝、5時前に目が覚め、そして6時前には事務所で仕事を始めるようになりました(笑)。

そんなこんなで、働き方改革とは、真逆の生活をおくっているぼくですが、働き方法案のほうは、今国会で議論が始まりましたね。「脱時間給制度」の導入や裁量労働制の拡大が含まれており野党から問題視されていますが、この数年越しの法改正もやっと今回で決着がつきそうです。法案が成立した場合には、残業時間に年720時間までの罰則付き上限規制が設けられ、また、正規と非正規で不合理な待遇差をなくす同一労働同一賃金が実施されます。どちらについても中小企業にとっては頭の痛い問題になりそうです。実施時期は原則2019年4月からとなっていましたが、中小企業はその予定からいずれも1年延期する方針ということで、準備期間が与えられ、残業規制は2020年度から、同一労働同一賃金は2021年度から施行となるようです。いよいよ中小企業は、これから本腰を入れて対策を講じなければなりません。

もうひとつ注目すべきなのが2020年4月に施行される改正民法です。昨年、民法が改正され短期消滅時効がほぼ全て廃止されました。労基法は、民法の特別法なので民法改正においては、唯一、対象外とされました。そこで厚生労働省は、労働基準法における短期消滅時効のあり方について検討を開始し、労基法自体の改正により短期消滅時効を見直すことになったようです。

労基法で消滅時効を2年としているのは、第24条(賃金の支払い)、第26条(休業手当)、第37条の1(時間外・休日労働に対する割増賃金)、第20条(解雇予告手当)、第39条(年次有給休暇)となっていて、退職金の請求権は5年間となっています。

改正民法における債権の消滅時効は、「債権を行使できる時という客観的起算点から10年によって債権は時効消滅するといった改正前の民法の制度が維持される一方で、新制度として、債権を行使できることを知った時という主観的起算点から5年によって時効消滅するといった規定が設けられる」ことになっています。労働基準法においても、その規定に基づき改正がなされると考えられます。そうなると、たとえばこれまで残業代の未払いがあった場合に、労働者からの訴えであれば2年間遡って残業代の清算を行っていたのが、これからは倍以上の5年間分について行わなければならなくなるかもしれません。弁護士が過払い金請求の次に、未払い賃金の請求を商売にしてくるのではと言われながらも思ったほど増えなかったのは、残業時間の把握に多くの時間がかかるのに弁護士報酬が多くないことなどいくつかの理由が挙げられると思います。しかし、時効が延長されることによって、これまでの倍以上の請求金額になるならば今まで以上に弁護士がからんだ事業主への残業代請求訴訟が増えるのは予想がつくところです。

また、年次有給休暇はこれまで2年の時効だったので労働者は最高40日を持ちましたが、時効が5年になったとすると、5年×20労働日=100労働日の有給休暇を理屈上、労働者は持てることになります。事業主としては、そのままほってはおけませんね。

このように、これからどんどん労務管理が複雑化していきます(笑)。お役に立てるよう、健康に気をつけて元気でいなければ!ですね。   ※参考 労働新聞第3146号「民法改正と人事労務」

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム

「集合知性」

2018年03月26日

皆様、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

また新しい年が始まりますね。今年は少しでも多くのかたのお役に立てるように、そして仕事を通じた地域貢献が出来るようしっかりと身を引き締めて参りたいと思います。

先日、国際コミュニケーション・トレーニング株式会社の岩崎イチロー氏と岩崎クレア氏のお話しを聞く機会をいただきました。岩崎氏は脳科学者で医学博士でもあります。岩崎氏によると、人間の総合脳力は、認知脳力(学力や知識、技術などの能力)と非認知脳力(考え方や熱意など、いわゆる人間力)からなっているということです。

米国のシカゴ大学のヘックマン博士(2000年にノーベル経済学賞を受賞)の研究によると人の役に立ち、幸せで豊かな人生を歩むには、認知脳力よりも、非認知脳力が大切であることがわかってきたそうです。

岩崎氏は、人間の総合脳力というのは、稲盛和夫氏のいう人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力と同じ考え方が成り立つと言います。認知能力は、「能力」を指しIQ、学力、記憶力をいいます。また、非認知脳力は、「熱意」と「考え方」を指していて、「熱意」は意志力、闘魂(諦めない力)、情熱をいい、「考え方」は感謝心、謙虚、素直、信頼、勤勉、利他心などをいうそうです。

最初は認知脳力「能力」が低くても、ようするに学校の成績が悪かったりしても、非認知脳力「熱意」「考え方」を鍛えることで、認知脳力も次第に高まるということがわかっているそうです。頭が良いという人よりも、情熱があり、人に感謝でき、謙虚で、素直で、他人のために尽くす気持ちのある人のほうが成功しやすいということだそうです。IQや学力が高いというだけの人は成功しないとも話されていました。

次に、興味深いのは、「集合知性」という話です。これは、個人ではなく組織の話です。たとえば、どのような集団が、一番、力を発揮するのかという実験を行った場合に、どういう結果になるでしょうか。能力が低い集団、能力が低い中に天才が一人いる集団、普通の能力が集まる集団、天才ばかりの集団など。当然、天才ばかりの集団が一番、優れた力を発揮することになるわけですが、これを超える集団があるんです。それが集合知性を発揮する集団です。集合知性を発揮する3つの要素は、①全員が対等に発言できる②メンバー同士が理解し合っており、お互いの気持ちをくみ取れる③チームに一体感があるとなっていてこの状態に組織がなったときにとてつもない力を発揮するということです。

会社の売上を上げたい、生産性を上げたいというときには社員を集合知性の状態にもっていく必要があります。集合知性を発揮している組織では、メンバー全員の脳が活性化し、お互いの良さを出し合うことで高いパフォーマンスが可能になります。

会社の経営者としては、自分の会社の社員を集合知性の状態にしたいと思いますよね。では、どのようにすれば社員を集合知性の状態にできるのかを岩崎氏は次のように話されていました。「集合知性を発揮するには、リーダーの心のあり方が重要」であると。集合知性は、人の脳力を引き出し、組織を強くします。そのためには、リーダーの心のあり方に「熱意」「考え方」があるかということが問われるのだということでした。経営者の心に「熱意」「考え方」があるか、もしくは「熱意」「考え方」を持とうとしているか。心の持ちようはとても大切です。

よく社員に、「熱意」や「考え方」を学ばせようと考える経営者は多くいますが、岩崎氏によると、まずは「おまえが学べ!」ということになりそうですね。社員に高い人格を持たせたいと思ったらどうします?一番、簡単なのは社長が高い人格を持つことだそうです。子どもが親のマネをすることと同じで、社員は社長を見ています。年の初めに、まずは自分を律しなければと心を改めました。

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム

「時代の変化」

2018年03月26日

先日、お世話になっている株式会社マネーフォワード様が主催したMFクラウドExpoに参加してきました。クラウドサービスやフィンテック、そしてAIがもたらす未来を体感するというのがテーマで開催されており、これからの私たちの仕事や社会がどのように変化していくのかとても興味深かったです。

社会の変化について、例えば銀行を例に見てみます。今、銀行はフィンテックの浸透で店舗中心の営業手法の変更を迫られています。これから私たちは、銀行の店舗に行く必要がなくなり、スマートフォンのアプリで銀行決済が完了する、そんな時代が目の前に来ているということでした。また、いきなり新聞記事になり驚きましたが、みずほフィナンシャルグループが、11月13日、傘下のみずほ銀行の支店など国内拠点の2割に当たる約100店舗を削減、2026年度末までにグループの社員を1万9000人減らす方針を打ち出しました。その他のメガバンクも人員の削減や業務量の削減を決めています。ぼくが就職活動をしていた頃は、メガバンクに就職できればこれで人生安泰!と考えていましたが(現在も同じだと思いますが)、銀行員の方たちには大きなショックだったと思います。銀行の店舗が無くなるなんてこれまでは考えられないことが突然起きてしまうのがこれからの社会だということです。

最近よくAIによってなくなる職業といったことが、ネットなどで数多く議論されていますが、ホントだなと実感できる情報がたくさんありました。Expoでは、ホリエモンこと堀江貴文氏が講演をされ、その話を聞くことができましたが、その中で堀江氏は「10年以内にこの会場にいる人の仕事の多くはなくなっていますよ」と話されていました。とくにホワイトカラーと言われる生産性の低い事務仕事は全てなくなると言っても過言ではないようです。

このようにものすごい勢いでこれから社会は変化していくわけですが、堀江氏はこれからどのように私たちは生きていけばよいのかについて次のように話されました。

「新しい時代へ対応していくには、こだわりを捨てることが必要。ようするにこれまでの当たり前であった価値観にこだわらない生き方をすればいい。たとえば、家をもつ、車をもつ、スーツを着て仕事にいく、結婚する…などこれまで当たり前だったことにとらわれない生き方をすればよく、遊んで暮らしたいというのでも全くOK。自分の感性にあった生き方が認められる時代になる。しかし、「自由」というのは逆に言えば大変であって、これまでは世の中の当たり前を目標に生きていけば良い人生となったが、これからは、誰かについていけばよいという時代は終わったということ。」

幸せになりたい、なれるはずとメガバンクへの就職を決めてもどうなるかわからない時代です。ならば自分の生きたいように生きようと決めた人が、会社に従業員として入ってくるわけです。これからの経営者は大変ですね。これまでの仕事をがんばって給与を稼いで家族を幸せにするぞ!と「当たり前のこと」を考えている従業員だけではなくなることになります。これからは、一人一人異なる人生に対する価値観を持った従業員をまとめていかなければならなくなるということになりそうです。

「独裁すれども独断せず」この言葉は、近鉄で名経営者と評判の高かった佐伯勇さんのものです。(小宮一慶「経営者の教科書」より)物事を決めるまでは、率直に謙虚になって衆知を集める。そしてそれを最後は自分の判断で決める。この衆知を集めたうえでの決断は独断ではなく、その決めたことを徹底してやらせる。それが「独裁」だということだそうです。時代は変わっても、経営には、譲ってはいけないものがあるということではないでしょうか。

今年ももう終わりですね。2017年も本当に多くのかたにお世話になり、また新しいご縁もたくさんいただき、大変感謝しています。ありがとうございました。

特定社会保険労務士 末正哲朗


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「人の才能」

2018年03月26日

今年の7月17日に50歳になりました。なんとなく感慨深いものがあるもんです。感謝を伝えたくて母親にネックレスをプレゼントしました。最近、人からよく言われることがあります。「末正さんって若く見えますよね!」って。で、「何歳くらいだと思ってたんです?」って聞くと「44、45歳くらい」って。「50歳とほとんど変わらないじゃん!」っていつも突っ込んでます。

息子も大きくなりました。高校2年生になり、先日は修学旅行に行ってきました。あっという間ですね。中学生の時の修学旅行は、大阪のUSJだったので、お土産にキャラクターモノのネクタイがいいなとお願いしたところハリーポッターが映画でしめているそのまんまのネクタイをもらいました。さすがに身に着けるのは恥ずかしくて大切にとっておいてあります。良い思い出です。もう少しで息子も家を出ていくんだなぁと思うとさみしいものです。

オリエンタルラジオの中田敦彦さんが今月、「天才の証明」という本を出しています。中田さんはさまざまな場面においてすごい才能を発揮している芸人さんです。その中田さんが「才能」について語っています。

「僕は常々、1つのグループや企業の中にいて合わないとか力を発揮できないと感じている人は、環境を変えるべきだ。フィットする環境さえ見つかれば、どんな人も誰にも負けない才能を発揮できるし天才になれる。そう確信しています。

ある場所で無能と呼ばれる人間が、ある場所では天才と呼ばれることがあります。もちろん、その逆も。天才物理学者のホーキング博士だって、漁船に乗れば無能です。彼に漁業はできませんよね。あまりにも当たり前のことなのに、多くの人は「これがルールだから」と自分のいる場所の評価基準でがんばってしまいます。」

東芝が「サザエさん」で48年間続けてきた番組スポンサーを降板しなければならなくなるほど経営が悪化していたり、神戸製鋼が検査データを改ざんしたり、相次いで自動車メーカーが新車の無資格検査が発覚したりと大企業の経営基盤が揺らいでいます。こういった大企業は、有名大学を出て入社することさえできれば、将来は安泰と言われてきた企業ばかりです。これまでの、一生懸命に勉強して良い大学に入って、良い会社に入ることに価値がありましたが、そうではなくなってしまったということなのではないでしょうか。他人の価値観で生きることに幸せがあるのではなくて、自分の価値観を大切にして生きることに意味がある時代になったように感じる出来事です。

あるお客様とお話をしていてなるほどと思ったことです。「ダメな社員を辞めさせたいときの話し方です。あなたはこんなところが出来ていないし、うちの会社に合っていない。だけど、あなたには他に良いところがたくさんあると思っています。他の会社では、良いところを活かして活躍できるかもしれないけれど、うちの会社にいる限りあなたはダメだと私は注意し続けなければいけない。それはお互いに不幸なことじゃないかな。」こんな話を面談でするそうです。経営者は、従業員を見るときにダメなところに目が行きがちになりますが、よく言われることですが良いところも見る必要があると話されていました。

松下幸之助さんは、「道をひらく」の中で、「この世の中は持ちつ持たれつ、人と人との協同生活によって、仕事が成り立っている。暮らしが成り立っている。この協同生活を円滑に進めるためには、いろいろの心くばりが必要だけれども、中でも大事なことは、おたがいにまわりの人の長所と欠点をよく理解しておくということである。」と書いています。暖かい心で長所を活かし短所を補うことが経営者にとって大切ということです。しかし、これからの時代は、人はイヤなことやしたくないことはしない、したいことだけやるという生き方もありそうです。

特定社会保険労務士 末正哲朗


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「身近に感じること」

2018年03月26日

うちの事務所に内容証明郵便が届きました。詳しくは書きませんが、ドキドキするもんですね。お客様には、普段は強気な話をしているぼくですが、自分のこととなると頭が回らなくなりました。おかしなもので、人の感情というのは、北朝鮮が日本を越えていく大陸間弾道弾ミサイルを何発撃っても何とも思いませんが、自分に直接、降りかかってくる手紙が一通届くだけで全く違うものなんだと感じました。不思議なものです。要するに具体的にイメージ出来ないものに対しては、反応したり、考えたりできないんですね。

 

10月には衆議院選挙が行われます。選挙戦では、社会保障についての議論も行われると思います。大学教授の権丈善一氏が「ちょっと気になる社会保障」という本の中で、国民の計数感覚について書いていますので、ご紹介します。

社会保障の財政規模ですが、社会保障には年間100兆円以上ものお金が使われています。年間100兆円と言われても、それがどのくらい大きなお金なのか、すぐには分からないですよね。

いま、1万円札を100万円分積み上げると、大体1センチの高さになります。とすると、1千万円は10センチ、10億円は1メートル。では、1兆円分の1万円は10キロメートルです。

1兆円は1万円札を積み上げて10キロというような規模感や計数感覚を持つということは、公共政策を考える上ではとても重要になるそうです。

選挙になると、「総予算の1割から2割くらいは簡単に切れる」「この政策に必要な財源は、○○から捻出します!」とか一生懸命に訴えますが、政治家、マスコミ、そして私たち普通の国民もその計数感覚をもっている必要があります。

権丈氏は、計数感覚に欠ける人たちは「政治主導」という呪文に弱いという弱点を持っているといいます。「官僚任せの政治から政治主導の政治で財源を!」という話をついつい信じてしまう。日本に蔓延している政府不信、官僚不信の源には、こうした「計数感覚」というのがかかわっていて、計数感覚というのは我々国民が、生活や社会保障を政治から守るために大切なセンスであると書かれていました。いかに身近なものに置き換えて具体的にイメージするのかが必要ですし、自分を守ることにつながりそうです。

 

こんな話を、美容室を経営されるお客様とお話ししていたところ面白い話をしてくれました。髪をカットするときは、男性と女性で喜ばれるポイントに違いがあるそうです。男性は、「全体的にこんなスタイルにすると似合いますよ」と先を見せてあげると喜ばれるのに対して、女性は「この部分の髪が跳ねないようにしておきました」のような感じでその女性の具体的な悩みを解決してあげたほうが喜ばれるそうです。

よくあるじゃないですか?男が、「将来こうしたい!こうなりたい!」と話すのに対して、その話を聞いていた女性は、「先のことばっかり言わないでよ!今日の○○はどうするのよ!」といった場面。

 

最後は、話がそれてしまいましたが、相手に何か伝えようとするときや理解してもらおうとしたときにはちょっとした工夫をするだけで大きな違いが出るようです。

特定社会保険労務士 末正哲朗


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