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年末年始休業のお知らせ

2020年12月22日

いつもお世話になりありがとうございます。

誠に勝手ながら12月29日(火)~1月4日(月)まで年末年始休業とさせて頂きます。

ご迷惑をお掛けいたしますが宜しくお願いいたします。

2021年も皆様にとって良い1年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎えください。


カテゴリー:お知らせ

令和2年版 厚生労働白書

2020年12月01日

令和2年版の厚生労働白書が10月23日に公表されました。白書では、平成30年間の社会の変化とこれから2040年にかけて、これからの日本社会がどう変化していくかという見通しが書かれています。2040年は、このまま推移すると、高齢者となった男性の約4割が90歳まで、女性の約2割が100歳まで生存するといわれている年です。さらに、海外の研究では、2007年(平成19年)に生まれた子どもの半数が107歳より長く生きるとも推計されているそうです。まさに「人生100年時代」が、現実化する一方で、20~64歳人口が人口全体のちょうど半分くらいに減少すると推計されています。

こういった寿命が伸びる中で、人々が「高齢者」ととらえているのは何歳以降かという意識の変化が起きています。2014年において「高齢者とは何歳以上か」という質問に対して「65歳以上」とする人は1割に満たず、「70歳以上」と「75歳以上」がそれぞれ約3割、「80歳以上」が約2割といった状況にあります。過去の調査では「60歳以上」「65歳以上」とする回答が多かったことからすると、人々の意識における高齢者像は変化してきていることがわかりますし、 最近では「年齢では判断できない」とする割合がかなり増えてきているそうです。また、高齢化が進んではいますが、それとともに健康寿命が延伸しているため、高齢であっても労働力として社会に貢献できる人も増えています。そのため、日本の人口は減少しているにもかかわらず、労働力人口や就業者数は、1990年代後半の水準を維持しています。この数字には、高齢者だけでなく、女性も大きく貢献しています。1989(平成元)年と2019(令和元)年を比較した労働力調査では、25~39歳の男性が大きく減少していますが、同じ年齢層の女性は約1割増加し、65歳以上の男女についても大きく増加しています。その結果として、その間、15~64歳の人口は8500万人から7500万人と1000万人減となっていますが、就業者数は6100万人から6500万人に拡大しました。人口が減少していく中で、この点については、厚労省のこれまでの法改正等の苦肉の策が功を奏したといえるのではないでしょうか。

少子化対策の一つに、男性の育児休業の取得促進があります。男性の育休取得率を2025年までに30%に引き上げるという目標を掲げるとともに、その目標達成のために男性の育休取得を義務付けるという検討がされていました。ぼくも労働局の方からは、「来年は男性の育休の義務化の法改正がありますよ」と聞いていたので義務化されるものだと思っていましたが、やはり経済界からの反発はかなり強かったようです。日本商工会議所の杉崎友則氏は「中小企業の7割が義務化に反対だとする調査結果を報告していて「深刻な人材不足が続く中、コロナ禍で企業に影響が出ている。残業時間の上限規制や有給休暇の義務化など度重なる労働規制の強化、負担増もあり、強制力を持った施策には反対する」と話していて、男性の育休取得の義務化は立ち消えになったようです。

その代わりなのでしょうか、厚生労働省は、男性の育児休業取得促進制度についての方向性を打ち出しました。経済界からの取得義務化に対して反発があってすぐに修正を行ったようです。検討案の内容は、男性がより育児休業を取得しやすいようにするため、とくに子の出産にあわせて取得しやすいような仕組みになるそうです。新制度の方向性としては、取得できる期間を子の出生後8週間とし、取得できる日数を4週間程度に限定するとしているそうです。現在、育児休業を取得している男性の半数近くが、子の出生後8週間以内に取得していることを考慮していて、現行の育児休業制度と同じく「義務」ではなく労働者からの「申出」により取得することができるとするそうです。また、2回程度に分けて分割取得できるようにもなるようです。また、新制度では、あらかじめ予定した曜日や時間に出勤することができるようにすることも検討されているそうです。この新制度は、来年の通常国会に育児・介護休業法改正案として提出される予定です。

今年はコロナ禍でこれまでの自分や社会を見つめ直す年になったように思います。最後に高名な教育者である東井義雄氏の言葉で1年を終わりたいと思います。

「根を養えば樹は自ら育つ」

「高く伸びようとするには、まずしっかり根を張らねばならない。基礎となる努力をしないと、強い風や雪の重みに負けてたおれてしまう」

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

中小企業7割が反対 男性育休の「義務化」

日本商工会議所の「多様な人材の活用に関する調査」によると、中小企業の7割が男性育休の「義務化」に反対しています。

イクメンということばが流行しましたが、男性の育休取得率は今も8%というレベルにとどまっています。休業の取得促進のため、厚労省では、休業の取得要件緩和や分割取得の導入等の検討をスタートさせています。

日商の調査では、中小企業2939社から回答を得ましたが、全体の70.9%が「反対」「どちらかというと反対」と回答しました。

「運輸業」(81.5%)、「建設業」(74.6%)、介護・看護業(74.5%)など、人手不足が深刻な業界で、とくに「反対」とする割合が高くなっています。

会社が経費負担を テレワーク時の通信費等

連合は、「テレワーク導入に向けた労働組合の取り組み方針」を策定しました。新型コロナウイルス禍への緊急対策として、テレワーク導入が急速に進められましたが、十分な環境対策が行われていないのが実態です。

6月に実施した調査結果等を踏まえ、労組サイドとして、使用者に対し提案・要求すべき事項を示したものです。モデルとなるテレワーク就業規則(在宅勤務規定)も作成しました。

導入時のパソコン・ソフト・照明・事務機器等の費用について、使用者が上限付きで補償するほか、勤務時のランニングコストとしての通信費・水道費などについても月払いの手当を付加するのが望ましいとしています。

生活時間の確保のため、「つながらない権利」に対する配慮も重要と指摘し、時間外・休日・深夜のメール送付、即時に対応できなかった際の不利益取扱い等の禁止も求めました。

届出の押印・署名を廃止 行政手続き簡素化へ

政府の規制改革実施計画(令和2年7月閣議決定)で行政手続きに関する押印見直しが明記されたこと等を受け、厚労省は、労基法関連の省令様式から、押印欄を削除します。

対象となるのは労基則、年少則、最賃則、事業附属寄宿舎規程などで、省令改正により、使用者・労働者双方の押印・署名を求めない規定に改めます。これを受け、電子申請時の電子署名の添付も不要となります(令和3年4月1日施行予定)。

協定の当事者である過半数労組(ないときは過半数代表)の適格性については、新たにチェックボックスを設けて確認します。

このほか、労働委員会規則に基づく不当労働行為審査の申立て、あっせん・調停申請などの手続きに関しても、押印不要とする方針です(令和3年12月施行予定)。

◆監督指導動向

「介護労働」の現場を査察 残業・割増等の違反めだつ 北海道労働局

北海道労働局は、介護労働者を使用する事業場を対象とする監督指導結果(令和元年)を公表しました。

介護労働者の人材確保のためには「魅力的な職場づくり」が求められますが、実際の労働環境をみると改善すべき点が少なくないようです。

監督指導が実施された203事業場のうち、68.0%(138事業場)で労基関連違反が指摘されました。主な違反項目は、「労働時間」97件、「割増賃金」74件、「安全衛生管理体制」49件などです。  労働時間関係では「36協定を超える時間外労働」、割増賃金関係では「割増賃金の算定単価の誤り」等の事案が報告されています。

監督指導が実施された203事業場のうち、68.0%(138事業場)で労基関連違反が指摘されました。主な違反項目は、「労働時間」97件、「割増賃金」74件、「安全衛生管理体制」49件などです。

労働時間関係では「36協定を超える時間外労働」、割増賃金関係では「割増賃金の算定単価の誤り」等の事案が報告されています。


カテゴリー:所長コラム

同一労働同一賃金がついに決着

2020年11月04日

今年、2020年4月1日にパートタイム・有期契約労働法が施行されており、同一労働同一賃金への対応が企業に求められています(中小企業における同法の適用は2021年4月1日)。同一労働同一賃金とは、同じ仕事をする正社員と非正規社員(パート、期間契約社員や派遣労働者)との待遇差や賃金格差をなくすという考え方です。これまでの日本では、長期雇用を前提とした終身雇用制度のもとで正社員は非正規社員よりも給与面はもちろん、福利厚生面でもより良い安定した待遇を保障し、そして会社は正社員に対する社員教育を充実させることにより生産性を向上させ企業は業績を伸ばしてきました。

弁護士の丸尾拓養氏は、旧安部政権のもとで行われてきた「1億総活躍」や「働き方改革」は正社員制度を否定するものであると話します。その背景にあるのが、「正社員ではない女性や高齢者の活躍が企図されると同時に、正社員にも変革を迫る。これまでの男性中心の正社員は強い雇用保障の下で高い賃金水準を享受してきた。この改革の背景には、高成長・安定成長の終焉という経済的要因とともに、非婚・離婚者の増加という社会的要因もあろう。父親(家庭)に対し賃金を安定的に支払う仕組みが社会で機能しなくなっている。」ことといいます。また、「正社員制度がなくなれば『非正規雇用』という言葉は不要となる。『多様な正社員』論は、実は『多様な社員』論である。」とも。

今、同一労働同一賃金の取り組み状況について労働局が県内の企業に実施状況の調査に入っています。調査に立ち会って感じたのは同一労働であればもちろんのこと、国は正社員だろうとパートであろうと全社員を基本的には同じ扱いに近づけたいのだろうということです。

そんな中で、この10月に同一労働同一賃金の考え方に重大な影響を与える最高裁判決が出されました。大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件、日本郵便(東京、大阪、佐賀)事件の5件についての最高裁での上告審判決です。これまで基本給については性質や目的を判断するに当たっては、いくつかの要素を総合的に検討することが必要となるためその金額の差については使用者の裁量が認められる傾向にあったようです。今回、大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件で争われたのは、非正規労働者であることを理由に賞与や退職金を支払しないことの是非です。これまでは、高裁での判決を理由に、非正規社員にも支給すべきといった流れに傾いていましたが、判決では、「各企業などにおける賞与、退職金の性質や支給目的を踏まえて検討すべきだ」とした上で、支給していなかったことについて「不合理な格差」には当たらないと結論付けました。

また、もうひとつの日本郵便(東京)の契約社員らが正社員と同様に各種手当や休暇を与えるよう求めた3件の訴訟では各種手当など「不合理な格差で違法だ」として、契約社員にも認める判断をしました。今回、認められたのは、扶養手当、病気休暇、年末年始勤務手当、夏期・冬期休暇、祝日休の5つとなっています。手当について正社員だけとする合理的な理由はないと結論づけていて、こちらのほうは非正規労働者の待遇改善につながりそうです。

今回、賞与と退職金についての格差是正が認められなかったことで、賃金について正社員と非正規社員の格差是正がわずかながらも進み始めようとしていた空気が一変することになると思います。結果として使用者側の裁量が広く認められましたが、「不合理な格差と認められる場合はあり得る」との考え方も示されていて、企業は賞与、退職金の支給目的を明確にしておく必要がありそうです。

最高裁は、配置転換や転勤を受け入れて、業務においても重責を担う日本型の長期雇用を前提とした正社員という存在を認めざるを得なかったのでしょうか。企業の側に立てば正社員に対して功労報償的な意味合いで賞与を支給したり、継続的な勤務に対する退職金を支払ったりすることで、正社員として職務を遂行できる人材をいかにして確保し、そして定着させるかということが大きな課題となっています。

労働局の調査で、「なぜパートには賞与を支給していないんですか?」と問われた企業の担当者は、「正社員はやる気を出して生産性を上げるなど担当の業務をしっかりがんばって欲しい。だけど、パートは言われたことを確実にこなしてもらえたらそれでいい。」と言います。本来は、丸尾拓養弁護士が言われるように、正社員制度そのものがなくなることが一番の解決方法かもしれないです。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

10年ぶりに前年割れ 令和3年3月の高卒求人

新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う景気停滞により、令和3年3月の新卒者の就職活動は、大きな影響を受けています。

厚生労働省は、令和2年7月末現在で、ハローワークにより受け付けた高校・中学卒業者の求人・求職状況をとりまとめました。

高卒の集計データをみると、企業等による求人数は33万5757人で、前年同期に比べ、10万7589人少なくなっています。率換算で、24.3ポイントの大幅減です。

産業別では、「宿泊業、飲食サービス業」(49.6ポイント減)の落ち込みが目立ちます。その他、「製造業」で28.8ポイント減、建設業で4.4ポイント減といった状況です。

生徒からの求職者数も、率換算で8.0ポイント低下しました。結果として、求人数を求職数で除した求人倍率は2.08倍で、前年比0.44ポイントのダウンです。求人倍率が前年を割り込むのは10年ぶりのことです。

事務所衛生基準を改正へ トイレや更衣設備の充実めざす

働き方改革関連法は平成30年に成立しましたが、その附帯決議では事務所等の清潔・休養に関する関連法令の見直しを求めていました。

これを受け、厚生労働省では、検討会を設け、事務所衛生基準規則および関係指針等の改正に向けた論議をスタートさせています。

事務所則は事務作業に用いるオフィス等に適用されますが、その中では環境管理(第2章)、清潔(第3章)、休養(第4章)等について基準を設定しています。

検討会では、事務作業面の照度(現行は精密作業で300ルクス以上等)、二酸化炭素の管理(含有率100万分の5000以下等)などについて見直しを行います。

トイレ(男女別に一定数を設置)に関しても、小規模事業所で男女別の設置が遅れている現状等を改善する方針です。

監督指導動向

新型コロナで内定取消急増 悪質事案の企業名も公表 厚生労働省

厚生労働省の発表によると、今年4月に就職予定だった大学生・高校生等のうち、内定を取り消された人の数は、令和2年8月末時点で174人(76事業所)となっています。新型コロナの影響で、前年度・同時期(35人)の5倍に急増しました。

内定取消には至らないまでも、入社時期繰下げの対象となった学生・生徒数は1,210人(87事業所)の多数に上っています(前年度はゼロ人)。

併せて、大学生28人の内定を取り消したとして、神奈川県横浜市の生活関連サービス業者(旅行業)が企業名公表の対象となっています。

職安則では、告示で定める基準(取消者10人以上など)に合致する場合、学生の適切な職業選択に役立てるため、企業名を公表できる旨の根拠規定を置いています(17条の4)。


カテゴリー:所長コラム

人についての悩み

2020年10月01日

ある小学校の先生が子供たちに「雪がとけたら何になると聞いた時に、ほとんどの子どもが「水になる」と答えた中、たった一人だけ「春になる」と答えた子どもがいた(『朝日新聞』深代惇郎氏の天声人語より)

この先生は、「水になる」を〇にして、「春になる」を✕にしたそうです。理科の授業だったのでしょうか、国語の授業なら正解のように思いますが、これこそ日本人ならではの感性だと思いました。「春になる」とこたえた子どもの発想は、四季という感性を持つ日本人ならではですね。最近は、四季という感覚がなくなってきていますが、こういった情緒のある生活が懐かしいようにも感じます。

先日、ある方が話をしてくれました。「70、80歳代以上のおじいちゃん、おばあちゃんに『身体でなにか悪いところありますか?』と聞くとほとんどの人は「はい」というでしょ。会社の経営者に『経営する会社でなにか人事労務の問題ありますか?』って聞くとほとんどの経営者は「はい」ってこたえるよ。今はそういう時代になったんだね。」。人のことでこれほど頭を痛める世の中になるなんて以前には考えられなかったのではないでしょうか。

松下幸之助さんについての話で好きなものがあります。上甲晃氏という長年にわたり松下幸之助の薫陶を受けてきた方が、月刊誌「致知」でその話をされているのでご紹介します。

「松下幸之助は1918年、23歳で松下電気器具製作所を興して以来、奥さんや社員と共に真面目に熱心に商売に明け暮れ、創業12年で社員数500人の規模になります。経営は順調に進んでいるけれども、何か物足りない。

ある時、非常に熱心なお得意先に、『それはあんたに宗教心がないからだ』と言われて、ある宗教団体の本部に連れて行かれるわけですね。そこであまりにも熱心に働いている人たちの姿に驚く。一体どれだけの給料を、もらっているかと聞いてみたら、一銭ももらっていない。聞くところによると電車賃も自分で払っている。にも拘らず、給料をもらっているうちの社員よりも、なおこれだけ熱心に働いているのはなぜかと。」とても衝撃を受けたそうです。「帰ってきてからもずっと考え続けるわけですよね。そしてある日、突然稲妻のごとく走るものがあった。あの人たちは信者として仕事の意義、使命というものを感じているからあれだけの力を発揮できるんだと気づくんです。そういう観点でうちの社員を見たら、真面目に働けとか、お客さん第一とか、常識的なことは教えてきたけれども、この事業が持っている本当の使命を教えてこなかったということに目覚める。これ、私の好きな場面でしてね。それですぐ翌日に社員を集めて、我われの事業の真の使命をついに感じ取ったということで、社員に発表して創業記念日をつくり替えるんです。」

松下幸之助さんが、人の問題を抱えていたということと、このことがあるまでは松下幸之助さんが人は金のために働いていると考えていたんだと思うと驚きます。またこの時に、「産業人の使命は貧乏の克服である。そのためには、物資の生産に次ぐ生産をもって、富を増大しなければならない。水道の水は価あるものであるが、通行人がこれを飲んでもとがめられない。それは量が多く、価格があまりにも安いからである。産業人の使命も、水道水の水のごとく、物資を無尽蔵たらしめ、無代に等しい価格で提供することにある。それによって、人生に幸福をもたらし、この世に楽土を建設することができるのである。松下電器の真使命もまたその点にある」と自社の真の使命を語ったそうです。

この時から、松下電器は松下幸之助さん自身が、想像もできないくらいに伸び始めたそうです。それで、当時、一番苦労したのは何かというと、あまりにも社員が一生懸命働くので「早く帰れ」と言わなければならないことだったそうで、それくらい社員は使命に燃えて猛烈に働くようになったということです。

「会社」という言葉は、「社会」を逆にしたものです。社会のためにならない会社は、社会が受け入れてくれないと聞きました。今、コロナ禍で多くの企業は苦しんでいますが、日本はきっと良くなると信じて社会のためにお役に立とうとする会社こそが、この厳しい時代を生き残れるのでしょうね。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆ニュース

技術・技能系で月額19万円台 令和3年高卒初任給

労働新聞社の調査によると、高卒初任給は月額ベースで底上げ傾向が続いています。来春(令和3年4月)に卒業を予定する高校生に対して企業が提示した求人票を、高校の就職窓口に出向いて調査したものです。

今年1月から求人票の様式が変更されたことから、固定残業代などの諸手当を含む初任給額を集計しています。

職種系統別にみると、技術・技能系で19万2115円(うち基本給17万5753円)、販売・営業系19万6403円(同16万6403円)、事務系17万9122円(同16万1497円)という結果でした。

基本給ベースでみれば、概ね16万円~17万円にとどまる一方、固定残業代や地域手当で初任給を底上げする傾向が改めて明らかになった形です。

賃上げ率が0.18~0.31ポイント低下 令和2年春季交渉

大手企業を対象とする賃上げ集計が、2種類公表されました。いずれも「新型コロナ禍」の下で行われた交渉の厳しさを示しています。

厚生労働省の「令和2年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」は、資本金10億円以上かつ従業員1000人以上で労働組合のある企業321社を対象とするものです。

平均妥結額は6286円(前年比504円減)、賃上げ率は2.00%(同0.18ポイント減)でした。賃上げ率は、平成25年の1.80%以来の低さです。

一方、経団連も会員大手企業の妥結結果を公表しました。対象は、一部上場の従業員500人以上企業187社です。加重平均によるアップ率は2.12%(7096円)で、前年を0.31ポイント下回っています。

派遣先にも配慮求める 「同一賃金」で自主点検表 厚生労働省

厚生労働省は、派遣労働者の「同一労働同一賃金」の実現に向け、派遣先・元を対象とする自主点検表を作成し、周知を図っています。

人材ビジネス業者(派遣元)は派遣法のプロですが、派遣社員を受入れる側の企業(派遣先)は細かな規制内容を熟知していないのが実情です。

派遣先に対しては、派遣先管理台帳などに「派遣労働者の従事する業務に伴う責任の程度」、「派遣労働者が協定方式の対象か否か」等に関する記載を行っているかなどについて、チェックを促します。

派遣料金に関する配慮(派遣元が同一賃金を実現するために必要な派遣料金引上げ)に関しては、派遣先が派遣元の要請に一切応じないとき等は、指導の対象になると注意喚起しています。


カテゴリー:所長コラム

よい発振をしよう!

2020年09月01日

うちの息子ですが、コロナのためアパートでの一人暮らしから離れて数か月になりますが、「ここにずっといようかなぁ…」なんて言い始めました。アホか!なんて言っていますが、親元が楽なのでしょうね。そして今年の新入社員も大変なことになっています。コロナのために入社研修の終了後、自宅待機になっている人がたくさんいるそうです。そんな新入社員の話がネットで取り上げられていました。新入社員研修の1週間後に自宅待機を命じられて、待機中は課題を与えられたが、その課題は指定された本を読んで感想文を書くというもの。そして、週に2回、リモートで研修を受けていたものの4月と5月はろくに働らくこともなく、課題と研修の時間以外は、やることもないのでずっとゲームをしていたのに、給料が8割支払われたそうです。雇用維持のための雇用調整助成金が、新入社員も対象になるためにこのようなことになったわけです。働きもしないで、給料をもらえてしまったこの新入社員は、「働くことへのモチベーションが完全になくなりました」「このまま働かずに給料をもらい続けたい…」と話していました。とんでもないような話ですが、同情してしまいます。

日本の2020年4~6月期の実質国内総生産(GDP)が、前期比年率27.8%減と戦後最悪のマイナス成長に落ち込み、安倍政権が7年余りのアベノミクスで積み上げてきた「果実」はあっという間に消し飛んだと新聞報道がありました。新型コロナウィルス禍の経済活動縮小の影響は、自動車産業にまで広がりを見せています。また、これまで訪日客の恩恵を受けてきた観光産業も外国人の入国制限で様変わりしてしまいました。その他の産業にも今後、広がる様子を見せていて日本経済にとっては予断を許さない状況と言えるのではないでしょうか。

日本のGDPは、2020年4~6月期の年換算では約485兆円となっており、ピークとなった2019年7~9月期の約539兆円から約50兆円も減らしました。これは、東日本大震災後の2011年4~6月期以来の水準だそうです。そもそも安倍政権によるアベノミクスでは、2020年頃をめどにGDPを600兆円に引き上げることを目標にしていたわけですから、コロナはこれも吹き飛ばしたことになりそうです。

今のところ、この企業業績の悪化による失業者の急増ということにはなっていません。それは、先ほどの雇用調整助成金が雇用維持の役割を十分に果たしていることにあります。ただこの6月時点で、失業には至っていないものの、仕事を休んでいる人は236万人にもなっています。あるエコノミストは、2021年前半には新たな失業者が265万人、失業率は戦後最悪の6%台という最悪のシナリオが起こり得るといいます。雇用調整助成金の取り扱いが拡充された特例措置は9月末に期限を迎えますが、厚生労働省は特例を打ち切れば失業者が増えかねないとして、延長する方針ですが、当初は潤沢だった雇用保険の積立金は急減していて、延長するための財源をどうするのか政府内で調整しているということです。

イヤな話ばかりですが、ここで自分の周りを幸せにする話をご紹介します。月刊誌致知に学習塾「開華」を主宰している村松大輔さんが取り上げられていました。「思いは実現する、人は自分が考えた通りの人生を歩む」ということはよく言われることですが、近年、この世の中の真理といわれることが科学的に実証されつつあるというのです。村松さんの塾では、「心の本質に火を点ければ、子どもたちはどんどん成長していく」として能力開発にも力を入れているそうです。例えば、小学一年生で塾に入ってきて、何を教えても「分かんない、分かんない」って弱音を吐いていた女の子がいたそうですが、「大丈夫、できるから!」「すごいじゃん!」ってポジティブな言葉をかけ続けたら一年後にはどんどん勉強ができるようになって、スポーツでも卓球で全国大会に出場するまでになったそうです。どうしてこのような劇的な変化が起こったのでしょう。それは、量子力学という学問にあるそうですが、量子力学では、人の意識や感情には実体があり、フォトンという素粒子でできていることがわかっているそうです。そして自分たちは普段から無意識のうちにフォトンに意識や感情を載せて発振、つまり周りに飛ばしているそうです。それを「自分発振」というそうです。また、このフォトンを飛ばすと同じような波が返ってくることもわかっていて、「嬉しい!」というフォトンを発振すると嬉しい現象が共鳴して返ってくるし、「ムカつく!」と発振するとムカつく出来事を呼び寄せてしまうそうです。つまり、私たちの人生では自分が発振した感情の通りにそれが現実化するのだそうです。今、私たちはコロナウィルスのため、日常的にストレスを感じる生活を強いられています。村松さんはこんなときこそ、私たちは我欲に囚われることなく、人間を磨いて少しでも社会によい思いを「発振」していかなければならないと話されていました。

特定社会保険労務士 末正哲朗

◆最新・行政の動き

急ピッチで引き上げられていた最低賃金ですが、新型コロナウイルスによる経済停滞を受け、令和2年度は、一転して「現状維持」に方針転換されました。

地方最低賃金は中央最賃審議会が「目安」の引上げ幅を示し、地域最賃審議会で具体的な額が決定されます。

昨年(令和元年)は、都道府県ランク(A~Dに区分)別に26~28円の幅で目安が示され、最終的に全国平均27円(3.09%)の引上げが決定しました。

しかし、今年度の中央最賃審議会では「目安を示すのは困難で、現行水準を維持することが適当」という答申が出されました。目安として具体的な数字が提示されないのは、リーマン・ショックの平成21年度以来となります。

◆ニュース

副業で「簡便な管理モデル」 労働時間を包括して決定

厚生労働省は、副業・兼業時の労働時間通算方法を示した「管理モデル」案を明らかにしました。

労基法38条の現行解釈によると、ダブルワーカーの労働時間については「異なる事業主間(資本・取引関係なし)でも通算する」必要があるとしています。

一方、改正労基法に基づく時間外の上限規制では、通算の時間外数を単月100時間未満、複数月平均80時間以内に収める必要があります。

このため、管理モデルでは、本業の所定内労働と所定外労働、副業の労働時間(所定内労働+所定外労働)を考慮し、時間外が上記の法定範囲内に収まるように、事前に本業の所定外労働、副業の労働時間の「上限枠」を設定する方法を提唱しています。

本・副業の事業場がそれぞれこの上限枠内で労働時間管理を行えば、相手方事業場の就労状況をリアルタイムで把握する必要がなくなります。これにより、労働時間管理に関する作業負担を大幅に軽減するのがねらいです。

パワハラで適応障害発症 「熱心な指導」の範囲超える

病院の事務課長が「パワハラで適応障害を発症した」と訴えた事案で、東京地裁立川支部は、病院の運営元に慰謝料100万円の支払いを命じました。

原告主張によると、上司の事務次長は毎日のように「バカ」「子ども以下」「1回精神科に行ったら」等の暴言を繰り返し、叱責は長いときには1時間に及んだといいます。

病院側は、「労働者の成長を願って、熱心に助言・忠告したもので、指導の範囲内」と主張しました。厚労省のパワハラ指針でも「客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる指導については、パワハラに該当しない」と述べています。

しかし、裁判所は「次長は『言い訳とウソの塊り』『生きている価値がない』など、親身な相談相手としてはあり得ない言動を連ねていた」として、叱責は精神的苦痛を与える違法なものだったと判示しました。

事務次長の上司である事務局長も適切な注意を怠るなど病院側の管理体制にも不備があったとして、安全配慮義務違反も認めました。


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