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「働き方改革実行計画」

2017年08月08日

先日、労働基準監督署の窓口で監督官と話をしていると隣に若い男性が座りました。すると、窓口の相談員に今、勤めている会社に調査に入って欲しいと話し始めたんです。当然、意識して聞くつもりもありませんでしたが、その男性は勤務先での労働基準法違反、パワハラ、いじめなどありとあらゆることを監督官に申し立てていました。

ぼくは、用件が済んだので窓口を離れましたが、こういった勤務先での労働条件の救済を申し立てる人は多いそうです。ただ、その全案件で、会社側が一方的に悪いということではなく、労働者側にも原因や責任がある場合もあります。

関与先で労働条件調査があったとき、雑談の中で担当の監督官が言っていたことです。「経営者が労働基準法について細かい知識がないのは当たり前。なぜなら経営者の仕事は、会社の運営全般に始まり、資金繰り、労務管理、会計など幅広くいろいろな責任が求められる。でも、労働者は、1日8時間の仕事が終わればいくらでもネットで労働基準法について調べることが出来る。そんなの経営者より労働者のほうが労働基準法に詳しくなるのは当たり前ですよ。しかもネットの情報なんてウサンクサイですし、本当かどうかもわからない情報で会社を攻撃してくるんですよ。」と。そのとおりだと思いました。よく監督署は労働者の味方しかしないと言う人がいますが、決してそんなことはないとぼくは思っています。デキる監督官は、会社側の事情も十分に理解してくれているものです。

政府は3月28日、「働き方改革実現会議」を開催し、働き方改革実行計画をまとめました。安倍総理は「これまでやっていないことをやる。」と宣言し、この時から世の中は一変しました。特に注目される今後の長時間労働規制ですが、次のようになりそうです。

【原則】 時間外労働の限度は、月45時間、かつ、年360時間とする。

【特例】 1. 臨時的な特別の事情がある場合、かつ、現在の特別条項をつけたとしても

年720時間(月平均60時間)を上回ることはできない。

2. また、年720時間以内であったとしても、上回れない上限を設ける。

その上限は、① 2か月から6か月の平均で、休日労働を含んで80時間以内。

② 単月では、休日労働を含んで100時間未満。

③ 原則の労働時間を超える特例の適用は年6回まで。

以上のように厳しい時間外労働時間の制限が設けられます。特徴的なのは、原則には休日労働時間数を含められませんが、特例では休日労働時間数を含めることになったことではないでしょうか。この特例に使われている上限の時間数は、脳・心臓疾患の労災認定に用いられる基準と同じものです。時間外労働の限度時間に労災の認定基準が持ち込まれることになったんですね。

先日、いつも勉強させていただいている石嵜信憲弁護士のセミナーに参加してきたんですが、石嵜先生は、この特例のために年間960時間まで働かせることが出来る抜け道があると話されていました。というのは、上記の特例1で上限を720時間と決めているにもかかわらず、2.①で休日労働を含めたために、720時間+法定休日労働が枠となってしまい、実質的に2.①を使って計算すると、80時間×12月=960時間が1年間の上限になってしまうということでした。

業務量によりどうしても働かせたい会社は、土日休みの場合、土曜日を法定休日とし、高い割増賃金を払ってでも労働時間を確保してくることが予想されます。石嵜先生は、これからは週休1日にもどる会社が出てくることも考えられると話されていました。

※ この原稿の後、厚生労働省は休日労働の抑制を努力義務とするガイドラインを出しています。

特定社会保険労務士 末正哲朗


カテゴリー:所長コラム


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