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国民年金保険料滞納者の強制徴収の徹底へ

2015年02月10日

先日、製造業の社長さんに「最近、会社と社員との間で労働条件について問題が起こった時に、社員本人ではなくてその方の親御さんから疑問や苦情を申し立てられることが増えてきているとよく聞きますよ。他の会社で社長さんが、そこの社員のお父さんに、人の使い方について怒鳴られて、すっかり落ち込んでいることがありました。」と話をしたところ、その社長さんは「へぇ、会社で社員との間に問題が起きると昔は、社員の親が呼び出されて会社に叱られたものだが、今は親が会社に文句を言ってくる時代になったんだね。」とおっしゃっていました。

労働条件について、社員が納得していても、その周りの家族が監督署に異議を申し立てることは、以前からよくあることでしたが、あらためてそんなふうに話を聞くと「なるほどなぁ」と思ってしまいました。

1月21日の日本経済新聞に、「年々ずしり 社会保険料」といった記事が取り上げられています。記事には、消費税の再引き上げは先送りになったが、社会保険で見直しや改定が相次ぐため家計の負担が重くなると書かれています。そこで、記事にある社会保険制度の見直しの中でも、私が気になったところだけを取り上げてみます。

まずひとつめです。厚生年金では、今年の4月に「特例水準の解消」が予定されています。そもそも年金の支給額は、完全自動物価スライド制のもとで年金額が決定されてきたわけですが、ある時期に、政治的な意味合いから、物価が下がり続ける中でも年金額が据え置かれてしまい、本来より2.5%高い水準のままになっていました。その“もらいすぎ“の解消が、これまでに行われており、最終回となる今年の下げ幅は0.5%で予定されています。

また、少子高齢化がすすむ中で、保険料の伸びを抑制するために、年金額を、物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」の実施が予定されています。それにより、年金額は、本来の物価上昇分から、1.6%低く抑えられます。そこで日経新聞では、「今後も年金額は絞り込まれ実質減額が続く」とされていました。

社会保険制度の給付の絞り込みと併せて、行われているのが社会保険料のアップです。厚生年金保険料は毎年0.354%ずつ上がり、2017年9月以降18.3%になった時点で固定されます。また、健康保険については、まず2016年度に保険料率の上限が13%に引き上げられ、その後2017年4月に保険料率自体が、その上限である13%に増えることになっています。負担額の試算をしてみると、2014年と17年の年収が同じ500万円の方であれば、社会保険料は10万円以上増える見通しとなり、かなり厳しいと言わざるをえないのではないでしょうか。(日経新聞参照しています)

また、最近、よく聞くのが国民年金保険料の強制徴収です。数年前までは、国民年金保険料を納めてなくてどうしよう… みたいな話を聞いても、将来もらえる年金額が減るだけですよって答えていましたが、今は違います。督促が来たと思ってほったらかしにしていたら、差し押さえられたという話を聞くようになりました。

厚生労働省が今年度の国民年金保険料の収納対策と厚生年金保険の適用促進対策に必要な経費を予算に計上しており、これまで以上に保険料滞納者への対応は厳しくなると思われます。平成27年度においては、控除後所得400万以上かつ未納月数7月以上のすべての滞納者に督促を実施するとし、督促状を送付し、指定期限内の納付を促しても納付がない場合には、財産の差し押さえ等の手続きに入ることとすると公表しています。

いずれも厳しい話ではありますが、当たり前のことを当たり前に行うことが、ますます必要になっていくのでしょうね。


カテゴリー:所長コラム


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